厚生労働省の発表によると2023年9月現在の100歳以上の方の数は92139人。
前年よりも1613人も増え、年々増加し続けています。
いよいよ100歳は当たり前の時代になってきましたね。
しかし、長く生きることができても、
その時間は意義あるものでなくてはいけません。
ただ時間の浪費ではなく人生にとって意味のある充実した時間にできないと、悲しいです。
高齢者本人と家族にとって「認知症」という病気は脅威です。
昔は「トシとったからボケたね~」なんてある程度仕方がないことのように思われていた時代もありました。
しかし、近年、認知症は予防も治療も可能な「病気」として
さまざまな予防、治療法が研究されています。
そのひとつに「回想法」があります。
回想法(Reminiscence Therapy)とは、
過去の出来事や思い出を振り返りながら、感情や記憶を思い出し、認知機能や感情面の向上を図る心理療法です。
具体的には次のようなアプローチ法があります。
1、写真やアルバムを見る
高齢者の過去の写真やアルバムを見せることで、当時の出来事や人々との交流について思い出します。
その写真の場所や写っている人についての思い出を共有し、会話を盛り上げましょう。
2、音楽や歌をいっしょに聴く、歌う
好きだった音楽や歌を聴かせたり、いっしょに歌ったりすることで当時の感情や思い出がよみがえります。
思い出を話し始めたら、しっかり聞いてあげてくださいね。
3、香りを楽しむ
特定の香りは記憶と強く結びついていることがあります。
例えば、懐かしい香りを嗅がせることで、過去の出来事や場所についての記憶が呼び起こされます。
煮物の香りを嗅いで、故郷のお母さんを思い出したり、
ある香水の香りで、昔の恋人を思い出したり・・・なんてよく聞く話ですね。
香りと記憶が結びつくのは、私たちの脳の仕組みと関係があります。
香りを感じる嗅覚は、脳の喜怒哀楽をつかさどる大脳辺縁系、および記憶をつかさどる海馬に直接信号を送るのです。
また、人間はもちろん、野生動物や爬虫類、昆虫に至るまで、臭覚は生命の危険を察知するために大事な感覚です。
ガス漏れの匂いとか、何かが燃えている、焦げている匂い、腐った匂いなどはしっかり感知できなければなりません。
臭覚を衰えさせないためにも、いっしょに香りを嗅いだり話題にしたりして、楽しんでみてください。
4、昔の話を聞く
何度も同じ話を繰り返す、というのは高齢者によくあることです。
あー、またあの話が始まったよ~、なんて嫌がらないで、何度でも聞いてあげてください。
同じ話にはそれなりの思い入れがある大事な思い出や感情がこもっています。
自慢話に多少の誇張があっても否定せず、聞いてあげましょう。
ただし、まったく同じストーリーの繰り返しにならないように、
聞き手が話の内容に関連する別の話題に振ったり、質問をしたりしながら話の深掘りをするようにしてください。
いつもの話を核にして、その枝葉の記憶や感情の変化も思い出させてあげるのです。
認知症の治療のためのセラピーだと固く考えずに、
会話に興味を持って参加し、楽しくおしゃべりできればよし、くらいの気持ちでどうぞ。
5、グループ活動をする
今まで述べた方法を、数人のグループでやってみましょう。
参加者の様子に合わせて、思い出発表会とか、懐メロカラオケ大会とか、楽しく、やりやすい方法を工夫してください。
正解はありません。
複数の人数での交流活動は、お互いの理解や共感が深まり、社会性・コミュニケーション能力を高めます。
一人暮らしの高齢者には特におすすめです。
高齢化社会が、
高齢者にとっても、若い世代にとっても、豊かで温かい社会でありますように・・・
本日も最後までお読みいただいて
ありがとうございました。
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