ブログをご覧の皆さん、こんにちは。
4年前主将の田中博也です。
約1ヶ月に渡って繋がれてきた引退ブログリレーも、とうとう最後になりました。
青くて熱い、思いの丈を綴った文章の数々は、僕たちが4年間やり抜いたことを示す証です。
多くの方々にそれを見届けて頂くことができ、きっと皆清々しい気持ちで一杯だと思います。
信頼する自慢の同期達が繋いでくれたこの襷をしっかりと握りしめながら、この代を締めくくりたいと思います。
まずは、今年の振り返りから始めます。
今シーズンは「刻む」というチームスローガンのもと、総勢50名の部員で戦いました。
47年振りの学生リーグ4位をはじめ、早慶戦勝利、日本選手権本選出場など、慶應水球が勢いづいてきたことを示す1年になったのではないでしょうか。
それぞれの大会や思い出についてはこれまでのブログで書かれていたと思うので、少し別の、主将としての観点から話すことにします。
この1年間、何よりも大事にしたのが一人一人の主体性でした。これは、人数が増えて規模が大きくなった今の慶應水球部において非常に重要なものだと考えています。
受け身になった瞬間、練習をこなすだけの毎日になり個人は全体に埋もれてしまいます。それはもはや時間が過ぎていくのをただ待っているだけの状態で、運が悪ければ、上の学年になるまで気付かない、そんなことだって起こり得ます。
自由で貴重な大学生活、もっと有意義な時間の使い方ができるはずです。
この大きな組織、決して水球だけで全てが成り立っているわけではありません。活動を支える人がいて初めて存在でき、しかもその支え方は無数にあるのです。
だからこそ、水球のプレーだけでは表しきれない自身の良さを理解した上で、自分の役割を自分で考え、組織に最大限貢献する。そしてその延長線上にある自分の目標を達成する。
これが今の部員に求められていることであり、そこで必要になるのはやはり主体性です。
大切にしてきたフレーズがあります。
「何のために水球をするのか」
「何のために水球部に所属するのか」
この一年間、折に触れて部員に投げかけ、考え続けてもらいました。
一般化すると「今自分が多くの時間を割いていることは、一体何のためにやっているのか」というこの問い、誰しも一度は考えたことがあると思います。
僕は、この答えこそが、主体的な人になるために最も必要なことであると考えます。
言い換えれば、その答えこそがその人の意志です。
「何のため」を認識すると、一つ一つの選択にしっかりとした意志が伴います。
そんな選択の積み重ねであるその人自身は、きっとその人にとって誇れるものになるでしょう。
部員一人一人にとって、それが成長と後悔しない4年間に繋がり、その結果、チームはそれぞれが尽くせる場所、一体感や思いやりの溢れる場所になることへ繋がる、そんな考えのもとチーム作りを行ってきた1年でした。
これまで敢えてあまり自分のことは話してきませんでしたが、せっかくの引退ブログなので自分の思いや考えを記そうと思います。
何のために水球をするのか。何のために水球を頑張ったのか。
以下の二つが、その答えとなる僕の軸でした。そしてこれは水球の枠を超え、今後の道標にもなることと思います。
まず一つは、『人のため』です。
どんな時も応援してくれ、支えてくれた両親、祖父祖母に成長したことを示し、安心してもらいたい。
自分を育てて下さり、心から尊敬する栗原監督、畔田さん、中田さんに結果で恩返しをしたい。
とてもお世話になり、いつも気にかけて下さった桐朋、慶應のOBや先生の方々に、後輩として活躍することで母校を誇りに思って頂きたい。
大好きな先輩たちを勝たせたい。全て報われたと、心から思える終わり方をしてもらいたい。
後輩たちに「水球部に入って良かった」と思ってもらいたい。彼らが思い描く目的地まで伴走してあげたい。もし無いなら、一緒に見つけてあげたい。
最高の同期たちと、最高の代を作りたい。
周りの人がいて初めて挑戦することが出来、
周りの人が楽しんで初めて自分が楽しめると僕は思います。
決して一人では何も出来ず、
一人だけ楽しめることはないのです。
だからこそ、誰かのために自分に出来ることがあれば真剣に取り組む。自分の在り方が人に影響を与えられるように、そして応援してくれる人を裏切らないために、真面目で、決してブレずにいる。その上で、「誰かにとっての『あなたで良かった』」になる。
それが一つ目の信念でした。
そしてもう一つは、『今の自分が、自分の歩みうる人生の中で絶対的であるため』です。
きっかけは高校生の頃、全く異なる二つの道を前にしたときでした。まさに、人生の岐路に立っていると感じた瞬間です。
当然、結果として片方の道を選んだわけですが、初めて「別の選択をした自分」を想像し、色々な可能性をイメージしました。前述した「選択の積み重ねが自分自身」という考え方は、この時に思ったことそのものです。
その際に生まれたのが、この二つ目の理由です。
沢山の可能性の中で、今の自分が一番誇れると思えるように精一杯歩んでいくこと、一貫した考えを持って選択を続けることを決めました。
妥協は嫌いです。妥協しなかった自分に勝てる自分はいませんから。
失敗や挫折に動じること、諦めることや弱音を吐くこと、後悔することなどありません。
起こる全てが自分の選択の結果であり、それが絶対的になるよう尽くすことが、今の自分に出来る唯一のことだからです。
自分に対して全責任を負う、これが覚悟です。
この2つが、僕の軸です。
そして、そんな思いや考えに至るこれまでの多くの経験の集大成が、最後の1年でした。
「これまでの全てを出して1年間走り抜ける」
そんな想いを込めて、僕はこのシーズンの初めに「全て」という個人スローガンを掲げました。
今、胸を張って言えます。
自分の全てを出し切りました。
どの瞬間も熱意は絶えることなく、仲間と、時には障壁と真摯に向き合い、どんな運命をも受け入れる、むしろ、引き受けるという強い意志を持って駆け抜けました。
真剣に選び抜いた答えを、その積み重ねである今の自分を、誇らしく思います。
そして、
これまで関わって下さった方々が、
忘れたくないと心から感じる思い出の数々が、
これまでの水球人生10年間が、
僕の全てです。
その全てをもって、
これから先も力強く歩み続けます。
振り返りと決意を存分に語ったところで、
これまで一緒に走ってくれた頼もしい後輩たちに一言。
どんなに些細な行為も、選択の一つです。
どうか、自分の持つ正しさに従って、一つ一つを自分で選択してください。
自分で選ぶことで、そこに覚悟が生まれます。
覚悟は、困難に直面した時に力となります。
そして、その覚悟が強ければ強いほど、それに惹かれた仲間が集まってきます。
今の水球部は、そんな素晴らしい組織です。
だから大丈夫。
自信を持って、強く、前に進んで下さい。
そして最後に。
いつまでも、いつまでも応援しています。
頑張れ!!
これまで私たちを支えて下さった全ての方々へ、改めて感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
慶應水球の更なる飛躍と発展を、
心より祈っています。
田中博也