先生と対決?! | オーストラリア子連れ冒険記

オーストラリア子連れ冒険記

シングルマザーになり損ねた脳腫瘍を患った日本人ママが、子ども二人を連れてのオーストラリア珍道中冒険譚。

 

EAPコースの話で、以前書いた

ことのある、オーストラリア人の

おじいさん先生は、元々は

オーストラリアの地元で

化学の先生をしていたとの事で、

大好きな(?)フランス人生徒達に 

受けようと いつも面白い事を

言おうと頑張っていました。

それはそれで、微笑ましいとも

言えたのですが、ちょいちょい
やりすぎて、私達の授業に

支障を与える事もあったので

ちょっと大人げないのでは?と

何となく不満を持っていました。

 

ある日の授業で、オーストラリアの

言い回しを面白おかしく説明して

くれていたおじいさん先生。

皆んなを笑わせようと、

「今は”メイドインジャパン”は

良い製品というイメージだけど

昔は 壊れやすい製品が多くて

オーストラリアで、よくトイレに

行くような奴がいたら、

”おまえ、日本製の膀胱持ってるな!”

と笑い者にしたもんだよ。」

と笑いながら話しました。

 

戦争中、オーストラリアを唯一

攻撃した国が”日本”で、戦争世代の

大抵のお年寄りは、”日本人”を

毛嫌いしています。うちの叔母が

オーストラリアに渡豪した60年前は

「”Jap” と”Dog”は立ち入り禁止!」

と堂々とお店に張り紙がしてあった位

日本人は嫌われていたと話してますし、

昔のオーストラリア人の子供達も

簡単で 朝飯前な事があると、

「Easy!Easy-Peesy-Japanesy!」

=イージィー ピージィー

ジャパニージー!」と言います。

これも実は、その

日本人のトイレが近い事

=”出来の悪い日本製の膀胱”

に、端を発する子供達の

悪口フレーズなのですが、

”Pee”は英語の”おしっこ”

に当たる言葉なのです。)

なので、このおじいさん世代には

このフレーズは馴染みのある普通の

言い回しにすぎなかったのは

理解できます。でも授業中に

日本人生徒のいる前で言う冗談

ではないのでは?と 私達日本人は 

笑えませんでした。

 

次の日の授業は、「オーストラリアの

多国籍国家としての未来」について

何でも良いから、プレゼンテーションを

皆んなの前でする事になっていました。

私は ちょっと皮肉を込めて

”昨日の授業中に、オーストラリア人の

教師が 昔の敵国への冗談を言って、

笑ったが、私は笑えなかった。

そういう事実は、昔あった

のかもしれないけれど、今後は

多国籍国家としての自覚を持ち、

もう少し、他国の人の気持ちにも

気をつけていくべきじゃないか?” 

と 面白おかしく話しました。

生徒達は笑って聞いていましたが、

みるみるそのおじいさん先生は

顔を曇らせ、最後に「君は

昨日わしの言った事に 不満が

あったのか?」と聞きました。

「もちろん、私は日本人なので

気分が良かった訳ではないですが

あなたの言いたい事もよく

分かっています。」と言いました。

他の生徒がどう思ったのかは

分からなかったのですが、

少なくともクラスにいた他の

日本人2人は、「よく言って

くれました!」とニッコリ。

意見のはっきりしている

フランス人生徒達は、なぜか

「君は普通の日本人と違うね!

良いプレゼンテーションだったよ。」
と口々に賞賛してくれました。

私は自分なりに、「頑張って

言いたいことは正当に伝えた。

これで、この先生も

大人しい日本人に

少しは気を使うように

なってくれるのでは??」

とだけ思っていました。

 

次の日、学校に着くと、

女性のカウンセラーの先生に

別室に呼ばれ、「昨日の

授業中、日本人生徒を不愉快にさせる

発言をした〇〇先生の事を耳に

したんだけど、あなたもあの先生に

不満があったんでしょう??

あの先生を辞めさせる事も

出来るけど、貴女はどうしたい?」

と聞かれました。私はそんな

大問題になっているとは

思っていなかったので驚いて、

「確かに〇〇先生の冗談を

批判するプレゼンをしましたが、

辞めさせたいなんて

そんなつもりは全くないです。

ただ公平に授業を進めて

もらいたいだけです。」

と素直な気持ちを伝えました。

その話は、そこで終わったはず…

なのですが、気づくと、いつの間にか 

その先生は 学校で

見かけなくなっていました…。