クリスマスソングがあるように、クリスマスを舞台にした映画ってよくありますよね。
ドイツでクリスマスのカルト映画といえば
『小公子』Der Kleine Lord (1980年)
なんですが、
(題名間違っていたので直しました。^_^:)
今日ご紹介したいのは
原題 It’s a wonderful life
『素晴らしき哉、人生!』です。
似た題名の映画が幾つかあるようですが、これは1946年のアメリカの白黒映画で、ジェームス・ステュワート主演。
私は初めて観ましたが、かなり有名な映画のようです。
(ちょっとさわりを…) 起
気のいい、明るい少年ジョージは住宅金融会社を営む父、母、弟と小さな片田舎に住んでいます。
住宅金融会社というのは住宅を建てるために融資する会社なので彼らはお金持ちかと思いきや、返済取立てもなく信用貸しで、ジョージの家族は慎ましい暮らしをしています。
ジョージはとっても良い子、好奇心も強く、大きくなったら世界中を旅して建造物を見学し、建築家になるのを夢みています。
(ここからネタバレ) 生
が、
氷の張った池に落ちた弟を助けた時拗らせた風邪で左の聴覚を失う不運に見舞われたり
世界旅行に出ようと列車に乗ろうとした矢先に父親が倒れて金融会社を継がなければいけなくなったり
弟が大学を卒業したので会社は弟に任せて今度は自分が進学しようと待っていたのに、逆玉の輿に乗った弟の前途のため諦めたり
新婚旅行は豪勢に過ごそうとニューヨークへ車で向かう途中、世界恐慌になったり
いろいろとついていないのです。
(ここからもっとネタバレ) 転
そしてあるクリスマスの夜、一緒に仕事をしている叔父さんの不注意から会社に大きな損失金が出て、倒産の危機、今まで見せた事のない荒れ様で奥さん、可愛い子供達、友達に辛く当たり、自分に掛けてある生命保険のために自殺しようとします。
そこに、天国から彼の守護天使クラリスが現れ、彼を思いとどまらせようとしますが、ジョージは自分なんて不運続きでつまらない人間だ、この世から居なくなって良い、それが願いだと言います。それなら、と、守護天使クラリスは
ジョージが存在しない世界をジョージに見せるのです。
ジョージがいなかったら
弟は氷の池に落ちて9歳で亡くなっていた
子供の時のアルバイト先の薬局店の店主は(ジョージが未然に防いだ事故が起こったせいで)刑務所に入っていた
町はがめつい権力者に乗っ取られて町の名前すらその男の名前になっていた
ジョージの金融会社のおかげで作られた住宅地が存在していなかった
奥さんは独身を通していた
そして何より
可愛い子供達が全く存在していなかった
ジョージは知らずして偉業を成していたのです。
自分がいかに幸せだったか、どんなに周りのいる人達が大切だったかを思い知るジョージ。嘆き悲しみ深く後悔する彼を、守護天使クラリスはまた『会社倒産の危機に瀕する元の状態』に戻してくれます。
今度のジョージは同じ倒産寸前でも、みんなへの感謝の気持ちで幸せいっぱいです。
しかし家には既に金融調査官が来ていて、ジョージあわや逮捕される、というところ。
奇跡が起こるのです!!!
(ここから全くのネタバレバレ) 結
ジョージを心から愛し支えるきれいな奥さんメアリーが、叔父さんと一緒に債権者にジョージの窮状を訴えたところ、みんなが少しずつ彼の会社のためにと寄付してくれたんです!金融調査官までも…
正直者は救われる。
誠実でいる事、それは損得勘定だけで繋がった間柄ではなく、真の信頼関係を築く。
情けは人のためならず、誰もが自分の家を構える事が出来るようにとジョージが尽力してきた人達は、今、喜んでジョージにその恩返しをしてくれている。
感謝と人との繋がりの輪が(白黒映画なのに)キラキラ輝いて広がっていくような、温かい素敵な映画です。
以下、私の感想です。
守護天使クラリスはこれで翼をもらって1級天使になれました。ついてないと思うことがある人は、守護天使はまだ翼を持っていない2級天使なのかも?^_^;
ジョージはいろんな人生の場面で、ついていない様に見えるけれど、それは彼の選択だった、彼が選んだ事だったんだと思います。
お金持ちになるチャンスも権力を持てる誘いもあったのに断ってしまった。
偶然だった事もあるし、不本意でもあった。でも自分が損になる方を選択した。それは彼が誰に対しても、何より自分に対して誠実でありたかったから。
そしてその選択は、不器用ではあったけど、本物の愛情と友情と人々の信頼を得る、素晴らしい選択だった。
この映画で憎まれっ子世に憚るで、金亡者の町の名士がいるんですが、その人は裁かれません。そういう意味で勧善懲悪ではない。
でも悪い奴なんてジョージには関係ないんです。ジョージはジョージ、誠実な人柄のまま奥さん子供達、家族、友人、町のたくさんの人に愛されている。それが分かって自分は幸せだと知った事に意味があるわけで、最後の奇跡が起こらなくてもこの映画はハッピーエンドです。(そりゃあ奇跡が起こった方が話が締まるけど。(≧∀≦))
人生、いろんな岐路に立たされ、選択を迫られる。偶然でもちょっとしたタイミングのずれでも、意図的だろうが無意識だろうが、もし違う選択をしていたら、違った人生を送って違った人々と巡り合う。
でも、(憎悪や犯罪は別として)間違った選択なんていう物は本当はないんだと思う。
何故ならちょっと見方を変えただけで同じ状況でも不幸のどん底から幸せになれたり、前向きになれたりするから。
でも、その見方を変えるのが難しいから困るんですよね。
今の時代よく扱われるパラレルワールドの要素もあって、とても78年も前の映画と思えません。
アマゾンプライムで見られますよ。^_^v
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。