時々の電車通勤で読書する時間が確保され、時間は掛かりましたが一冊読み終える事が出来ました。


シュテファン・ツヴァイクの短編集です。


全部私の個人的な感想なので、勝手な事書いてます。ご了承下さい。


ドイツ語の本を一冊丸々読んだのは久しぶり。

短編、と言ってもドイツ語だし私には十分長い。

それに、この人の小説、冒頭部分がだらだら長くて、投げ出したくなるんです。


でも急にテンポが良くなって話に引き込まれます。そこまで我慢。(*≧∀≦*)


この短編集の中で一番面白かったのは


女の24時間


という作品


最初に出て来る話を中心に物語が展開して行くのかと思いきや、その話についての議論を聞いていたある淑女の告白がメインなのです。


彼女の話も、ふーん、なるほどね、とそのままエンディングを迎えるのかと思ったらどんでん返しがあり、シュテファン・ツヴァイクもなかなかのストーリーテラーだなと思いました。


でもね、やはりこの人は男性の視点からしか書けていない。(なんなのでしょう、巨匠に向かって、私、偉そうに!(*≧∀≦*))


特に


見知らぬ女の手紙


片想いの男性にずっと想いを寄せる女性。

こんな女の人いる訳ないでしょ!と何度も一人突っ込む…もしいたら、ホラーです。

実際は絶対いません。女性は男性より諦めも良いし潔いのです。


女と風景


これも、こういう女性がいたらいいな、という男性側の願望でしかない。しかも最初の風景、気候の描写が細かすぎて長すぎて、いい加減読むの止めようかと思った時にやっと話が始まる。


そのくせ最後は「え?そこで終わる?!」というような尻切れトンボ。なんだかな。作者は続きを書くのが面倒になったのかな。(勝手な妄想(*≧∀≦*))


アモク


これも男性の視点から小説、だと私は思う。主人公のエゴと支配欲をキッパリ跳ね除けた女性の悲劇。どうして悲劇にするかな。この主人公を悲劇のヒーローではなく公に成敗される結末にすべき。表現が婉曲的なので、意味がはっきり分からず、もう一度読んで、あ、なるほど〜。


原題のAmokläuferは『通り魔』という意味。

通り魔というよりストーカーですな。


燃える秘密


これは少年の成長記と言って良いのでは。子供は何かのきっかけで急に大人になるものです。

映画にもなっていて、ドイツ語ですがYouTubeで視聴出来ます。


サラッと見ましたが、最後の場面を除いて原作に忠実な映画でした。この美少年は一体どんなおじさんになったんだろう?^_^;




チェス奇譚


これは最近この話を元に映画が出来たそうで、UKさんのブログで知り、シュテファン・ツヴァイク短編集を読み始めるきっかけにもなりました。UK さん、ありがとうございます♪(*^^*)


この話も最初に出て来た人が主人公かと思いきや、途中で出て来る人の話が物語の中心に入れ替わる所が面白い。


過去の話、身の上話、現在進行形の話、と移り変わるのですが、これは映画を見るより本を読んだ方が分かりやすいかも知れません。映画は違う結末になっているようなので、今度見てみたいと思います。




レマン湖でのエピソード


これ!実は大学の時、購読の授業で扱った小説なんです。


今になって読んでみて、


こんなのドイツ語をたかだか1年勉強しただけで読めるような内容じゃない!(*_*)


ってビックリです。(確かに会話部分はドイツ語学習歴1年でもいけそうですが。)多分難しい部分は先生が訳して下さったのでしょう。


内容は、今の時世に重なる部分があります。故郷ウラジオストックから遥か遠く離れたフランスの戦地に送られたロシア人脱走兵が避難民となり絶望する話。


感情の混乱


あのね…これは読んでる方が混乱するわ…~_~;

ごちゃごちゃごちゃごちゃ、心理描写が何ページも続き、辛抱たまらん!諦めて、字面だけ追って斜め読み、結末だけ知った、といういい加減さ。^_^;


しかし、この内容は当時斬新で発禁図書だったのでは?プラトニックな同性愛の話、だと思う。(ちゃんと読んでないので分かりません。(*≧∀≦*))


読了と思ったら、あら、あと一つお話が残っていました。∑(゚Д゚)


目に見えないコレクション


嬉しいような、悲しいような。^_^;

そそる題名ですね。読んだらこの記事に追加します。


追記:


目に見えないコレクション読みました。

短編集の中で一番短い?


そしてこれが。。。


素晴らしかった!(*゚▽゚*)


芥川龍之介かO.ヘンリーを思わせるような

短くも起承転結のはっきりした、そして爽やかな読後感、(人に伝えている形なので)文章も簡潔で読み易い。


ここに描かれているのは、第一次世界大戦後のドイツ、ハイパーインフレの困難な時代に生きる小市民です。『蒐集家とは幸せ者である』

この登場人物全ての幸せを祈り、気持ちが温かくなるお話でした。


シュテファン・ツヴァイクは伝記もたくさん書いた人です。歴史物も。彼の切り口でどんな風に語られるのか、そっちも読んでみようかなと思います。(*^^*)


最後まで読んで頂き、ありがとうございました♪