2020年3月26日付の大阪日日新聞に、週刊コラム「金井啓子の現代進行形」第200回分が掲載されました。 本紙のホームページにも掲載されています。

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若者と中高年で異なる指導者像 米大統領選が今年秋に実施

 

 今年の秋は4年に1度の米大統領選挙が行われる。トランプ大統領と激突することになる民主党候補が誰になるのかが大きな焦点となっている。

 州ごとに異なる日に予備選が行われ、最初は数多くいた候補者が徐々に脱落し、撤退する人は残った誰を支持するのかをたいていは表明する形で進んでいく。

 私が滞在しているカリフォルニア州では、3月3日に予備選が行われた。その日に投票を行うのが14州と非常に多い上に火曜日に行われるため「スーパーチューズデー」と呼ばれる日だった。

 その様子をすぐ身近で見聞きできると知った。というのは、私がお世話になっているサンフランシスコ州立大学の中にも投票所が設けられていたためである。

 その日の朝、学内で「投票しました」と書かれたシールを胸に貼った人たちを見かけたので、キャンパス内の投票所を見に行った。投票所の入り口では投票前の学生たちがA4サイズより少し大きめの紙に何か書き込んでいる。これは投票のための事前登録用紙とのこと。選挙になると住民票がある自治体からお知らせが自動的に届く日本とは違い、米国民は投票したいという意思を自ら登録する形で示さなければならない。選挙が近づくとキャンパスの一角で「選挙のための登録をしましたか」と呼びかける人も目撃した。

 こうやって授業のある日に大学で投票ができるシステムは便利だ。また、投票所入り口では手順を詳しく教えてくれる係の人たちが待機しており、質問をするより前に声をかけてくれるほどなので、初めてでも安心な雰囲気が漂う。

 投票所の外では、同大学ジャーナリズム学科の学生たちが運営するメディアGolden Gate Xpressの記者たちが出口調査を行っていた。ここで投票しているのは学生がほとんどのようだった。後ほど発表された結果によると、投票した候補はバーニー・サンダース氏が90・7%で圧倒的な首位。左派・急進派とされるサンダース氏はやはり若者に人気が高いのか、キャンパスの中で彼を推すポスターを何度か見かけた。「2番目に選ぶとすれば」という問いには、エリザベス・ウォレン氏と答えた回答者が52・3%だった。カリフォルニア州全体の得票率で見ると、サンダース34・9%、バイデン27・9%、ウォレン13・3%、ブルームバーグ12・5%となった。世代間の差がかなり如実に表れている。

 ただ、私が話した中高年の人々の中には「どの候補ならトランプ大統領を倒せるのか」を考慮に入れると、自分が本当に選びたい候補よりもトランプ大統領に勝てそうな人を選ばざるを得ないと話す人もいた。

 新型コロナウイルスの影響で、予備選の日程も変更されている。11月にはこの病気の広がりはどうなっているのか、そして誰がこの国を率いることが決まっているのか、目が離せない。

 (近畿大学総合社会学部教授)