「IMAGINE イマジン〈想像〉」 ジョン・レノン詩 ジャン・ジュリアン絵 ヨーコ・オノ・レノン序文 岩崎夏海訳 岩崎書店(2017年11月30日) 1700円
ジョン・レノンのIMAGINE。
アムネスティ・インターナショナルとの共同企画で絵本になりました。
日本での発行は11月末ですから、まだ最近のことですね。
第一印象は、なんとなく「平和絵本(というジャンルがあるのかわかりませんが・・・)」ぽい感じの本。
個人的には、平和絵本は、どちらかというと苦手なのですが、
この本のあっさりした感じ
見開きの海の場面の色調と広がりの爽快感
絵の色と線のクリアな感じ
そのあたりがなんとなく気持ちよく、手に取りました。
先日紹介した、夫の友人が推進中のOne World Kimono Project(オリンピック参加196カ国の着物と帯を製作し、日本の和の心、平和を願う気持ちを発信するプロジェクト)。
このプロジェクトも、明らかにジョン・レノンのIMAGINEから着想を得ていると思うので、この絵本がなんとなく気になり、ブックレビューとして取り上げてみようと思います。
主人公は平和の象徴、オリーブを運ぶ鳩。
なのですが、画風のせいか、ちょっとすっとぼけた表情で街や海を飛んでいきます。
英語の歌として聞いていたIMAGINEを日本語の詩として読むのも、また違う入り方をしてきて、よいものですね。
この絵本は、戦争との対比での平和を願うという性質もあると思いますが、改めて言葉を追ってみると、詩(歌詞)の中に「平和」という言葉が出てくるのは、一度だけ。
しかも、「人生を平和に生きてる(living life in peace)」と、日々を平安に過ごす、というようなニュアンスですね。
あぁそうか。この歌は、日々の平安、幸せな日常を願う気持ちを歌ったものだ。
だから「そのとき世界はひとつになれる(and the world will be as one)」「そのとき世界はひとつに生きる(the world will live as one)」。
ただ平穏に幸せな日々を生きたい。人間として共通の願いに光をあてること。そのことを歌っていたのかもしれません。
ケネディ大統領の演説の、私の好きな一節につながってきました。
So, let us not be blind to our differences--but let us also direct attention to our common interests and to the means by which those differences can be resolved. And if we cannot end now our differences, at least we can help make the world safe for diversity. For, in the final analysis, our most basic common link is that we all inhabit this small planet. We all breathe the same air. We all cherish our children's future. And we are all mortal.(Washington, D.C. June 10, 1963)
「だから、私たちの違いに目をつぶるのではなく、私たちの共通の願いに、そして、これらの違いを乗り越える方法にも目を向けましょう。
もし、今、われわれの違いをなくすことができないとしても、私たちは多様性を認める世界を作る手助けをすることはできます。というのも、究極的には、私たちが共有するもっとも基本的なつながりは、私たちはみんなこの小さな惑星に住んでいるということなのです。
私たちはみな、同じ空気を吸い、私たちはみな、子供たちの未来をいつくしんでいるのです。そして、私たちはみな、死にゆく存在なのです。」
(1963年6月10日 ワシントンD.C. 筆者仮訳)
これは何かとても大切なことのように思うのですが、この大切なことを、コンパクトに、おちゃめな鳩と鳥で表現しきっている。絵本ってすごいです。
参考:
働くあなたのための絵本ブログ「『せかいのひとびと』 ピーター・スピアー えとぶん」