「ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワー」
ニナ・メンケスが2021年に行った講演を元にその内容を映画化したもの。講演の場面もあるが、これがその時のものか後で映画のためにおこなったのかは分からない。
内容は、いかに映画が男性視線(Male gaze)でつくられており、それがいかに社会全体に影響を与えるかを、多数の映画クリップを元にしながら説くもの。
使われている映画はほとんどが有名作ばかり。しかし、それだからこそ影響力があることがわかる。
また、「Male gaze」という言葉を最初に使ったというローラ・マルヴィをはじめとして、ロザンヌ・アークェットやキャサリン・ハードウィックなどの有名人を含めて様々な人のコメントがあり、
Visual language of Cinema
Employment Discrimination
Sexual Abuse/Assault
この3つが相関関係にあるという説が極めて説得力ある形で語られています。
ただし、異論を感じる場面もあるのは確か。特に映画の表現として意図的に使われているということを故意にか無視しているのはどうかと思う。特に「ブレードランナー2049」につけは、監督の意図を理解してほしいという思いがしてしまう(「こんな映画がアカデミー賞の候補になるのか」とまで言われるし)。
もっともこの映画にかぎらず、内容に100%賛成なんてことはないわけですし、どの程度納得するかは別にして極めて説得力ある論点を提示して見せてくれていて、必見と思います。