「プッシャー3」
間の空いた「プッシャー」と「プッシャー2」と違い「プッシャー2」の翌年(2005年)に続いて公開された作品。
主人公は予想通りというか期待通りというかミロ(ズラッコ・ブリッチ)。
冒頭はミロが薬物中毒者のグループセラピーに参加しているという意外な場面から始まる。
新入りが自己紹介した後、ミロが自分の話をする。
薬を止めて5日目。今日は娘の25歳の誕生日で忙しいと話します。
おなじみの顔と役名が続くタイトルの前の最初はもちろんミロ。
タイトル後は、ミロの部下たちが、自動車に隠されている麻薬を探している場面になります。
自分は薬を止めても麻薬の売買は相変わらず続けている。
見つけたのは期待していたヘロインでなくエクスタシー。
ミロはエクスタシーのことを知らない(!)。部下は知っていて説明する。
娘のミレーナの誕生パーティが開かれるレストラン(自分のレストランではない)に行って娘のミレーナと準備を進めるがミレーナが風船やら花やら見積にない要求をしたため、もらった金では足りないとレストランのオーナーに言われる。
それくらい負担しろというミレーナを抑えて、ミロはポケットから札束を渡す(さすがと思ったのですが、実はヤバいことをしてしまったと後でわかります)。
次は、冒頭の車での麻薬の密輸を手配したルアンのところに行って文句をつけるが言葉がうまく通じない。ルアンは通訳にレジョを呼ぶ。
ミロがマケドニア出身で、ルアンはアルバニア出身らしい。
事情を聴いたルアンが調べて、手違いで別な車が来たが、本物は明日来るという。
エクスタシーをどうするかで揉めるがミロが自分で売るということになる。
ミロはエクスタシーの相場を聞くが、レジョはルアンが言った金額を水増しした金額をいう。(これだけでなく、レジョの通訳は怪しいところがある)。
ミロは自分のレストランに戻って誕生パーティのための料理を作り始めるが、それを食べたミロの部下たちに不評。
モハメッドがやってくる(彼は2でトニーが銃を買いに行った奴)。ミロに売ったヘロインの金を取りに来たのだ。ミロは金を渡すが、モハメッドは足りないのに気づく(さっき、誕生パーティのレストランに払った分)。
文句を言うモハメッドにミロはエクスタシーを持っているのでそれを売ってくれないかと言う。モハメッドは二つ返事で承諾する。
ミロは出かけて最初と別なグループセラピーに参加する(本当に忙しい)。
戻ってくると部下たちはみんな腹痛で苦しんでいる(明らかにミロの作った食事のせい)。
モハメッドがエクスタシーの買い手が見つかったと戻ってくる。ただし、1時間以内に持っていかなければならないとう。
いつもなら部下をつけて監視させるのだが、みんなダウンしているので、モハメッドに「1時間で戻ってこい」とエクスタシーを渡す。
誕生パーティのワインを取りに行くのも一人でやるしかない。
誕生パーティには三々五々人が集まってきている。
モハメッドから連絡がこない。
ミロは一旦出した自分の料理を回収する(部下のように食中毒になるのを恐れた)。
ミレーナがどうするんだ、と聞くと「代わりを持ってくる」
中華レストランに行って食事を買おうとするのだが・・・
という誕生パーティを巡るドタバタと、モハメッドから連絡がないのにイラつくのが重なり、ついに薬にまた手を出してしまう。
エクスタシーの件はとんでもないことになって、前2作のミロの取引相手がミロに対して行ったようなドジをミロが行うようになってしまったことがわかる。
レストランで一人でいると、レジョが男と女を連れてくる。女は若くて怯えていて、ポーランド人らしい。レジョはミロに分からない(だろう)言葉で男に「こいつは俺の部下だ」みたいことを言って、ミロに色々させる。女がやってくる。どうやらポーランド娘を買いに来たらしいが、「こんな女ではダメ」と帰ってしまう。
レジョが出かけた間に男がポーランド娘をいたぶりだす。ミロは止めようとするが、「俺の女だ。口をだすな。」
熱湯をポーランド娘の手にかけだしたのを見たミロはたまらなくなって、男をハンマーで殺してしまう。
氷を出して娘の手を冷やしてやると「早くここから出ていけ」
戻ってきたレジョもミロは一撃で殺してしまう。
ミロは車で向かったのは、かつてミロの部下だったラドヴァンのところ。
ミロは足を洗ったというラドヴァンに頼みこんで死体の始末をしてもらう。死体を解体していくこの場面はかなり強烈。
ラストシーンはミロの現在を象徴していて見事。その後のレフンの表現の方向性がここに見ることができると思う。
ズラッコ・ブリッチは1作目からいい味だしていたのですが、ここでは魅力が全開している感じです。
3部作を見事に締めてくれたと思います。
蛇足ですが、近年のズラッコ・ブリッチの活躍はめざましく、マーベルにもDCにも登場していたりします。
「THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女」
「ホール・イン・ザ・グラウンド」のアイルランド人監督リー・クローニンの新作。
かなり変わったミイラものの設定と思っていたら、よくある悪魔憑きものになってしまう。
それでも135分という長尺をダレないで見せる力のある映画と思う。が、突っ込みどころに欠けない映画でもある。
特に一番重要であると思う封印の呪文を包帯のように巻き付けていたというのが途中から忘れられてしまっているのは致命的ではないか。
異状な状態で見つかったのに家庭での治療が一番という医師の判断はあり得ないでしょう。
一番の問題は怖いというより不快に感じる場面が多いということ。
出演者の好演は特筆していいと思うし、それが映画を見られるものにしていると思うが、それでも見にいくことをお勧めできる映画とは言えない。
「プッシャー2」
ニコラス・ウェンディグ・レフンの2004年の作品で長編第4作になる。長編第1作だった「プッシャー」との間に大分間が空いているわけだが、3作目の「フィアーX」が興行的に失敗して破産したため、新規一転で昔に戻って映画を撮ろうということだったらしい。そうした裏にはマッツの存在が大きかったようだが、パンフのマッツの言葉では「破産したから金のために作る」と誘われたそう。
1作目同様本物のギャングや売春婦が出演者の大半を占めているそう。
1作目と同じくタイトル前に主要な登場人物5人の顔が名前と共に紹介される。1作目と共通なのはトニー(マッツ・ミケルセン)だけ。そのトニーが今回の主人公。
男がどうやって自分が他人に恐れられるようになったかを話している。聞いているトニーを写すと場所が監獄の中だとわかる。トニーの表情が何とも言えない(マッツうまい!)。
トニーに借金があるのがわかる。「出たら返すから」とトニー。
「お前には無理だろう」「どうしたらいい?」
その後の展開はなんともいえません。
出所したトニーは父親の自動車修理工場に行く。叔父やら昔から知り合いがたくさん働いている。
父親が「いくらほしいんだ」と聞くとトニーは見えをはって「借金はないよ」
とりあえず試用ということで自動車修理工場で働くことになる。
しかし、実はまともな修理工場ではないのがやがて分かります。
修理工場のみんなでカーディーラーを襲って車を盗んだりしている。
まだ子供のバルデマーという腹違いのトニーの弟がいて、父親は大事にしている。
バルデマーの親権を巡って父親はバルデマーの母親と争っている。
トニーも売春婦のシャルロットがトニーの子供を産んだと言われる。
一方、修理工場で働くダチのカートに頼まれて麻薬の取引に関わるですが、カートがドジを踏んで、借りた金を返せなくなりその穴埋めに奔走するのに付き合わされることになる。
トニーはシャルロットとまだ赤ん坊の子供に会うのですが、シャルロットは彼と一緒に暮らすつもりはなく、子供の養育費がかかるから金だけよこせと言う。
何度も会ううちにトニーに赤ん坊への愛情が芽生えていくのがストーリーの核。
1作目同様に主人公を追い続けるカメラがすごい。しかし、1作目のような熱気はあまりない。これは話自体のせいもあるでしょう。
暴力的な展開とまともすぎる倫理感が併存しているのがレフンの特徴と思っていますので、ラストは予想がついてしまったのですが、それが悪いわけではありません。