エスメ・クァルテット | tricleのブログ

エスメ・クァルテット

1月22日(月) サルビアホール

 

前回ははっきり言って失望した。なのに、また聴きに行ったのは、セット券だったからというのが正直なところ。

前回はとりわけテンポの速いのに驚いた。まあ、ブラームスがあのテンポだと面白く聞けるかもと思ったのも事実。

 

最初はベートーベンの2番。

冒頭から落ち着いたテンポでじっくり聞かせてくれるという感じ。前回の1番のあのすさまじい速さとはまさに対照的。

ベートーベンの最大の特徴と思っている第2バイオリンの活躍も実に見事。ビオラやチェロも見事で、4声の充実度が半端ない。

全体的に非常に劇的に盛り上がる感じで素晴らしかった。

 

次はメンデルスゾーンの2番。

これは第一楽章から劇的に盛り上げて見事としかいいようがない。元からそういう曲とはいえ、ここまで劇的に演奏されたのは聞いたことはない感じ。

第2楽章は、じっくり聞かせてくれるという感じ。第3楽章も同様で、第2バイオリンとビオラの活躍。それ以上に印象に残るチェロ。そうした上で思う存分に歌いまくるという感じの第1バイオリンと充実の極み。

そして、終楽章。元からそういう風といえばそれまでだが、実に劇的に盛り上がる。最後に冒頭の序奏が戻って終わるまで圧倒してくれた。

 

休憩を挟んでブラームスの1番。

はっきり言って、ブラームスの弦楽四重奏曲は面白いと思っていなかった。それを見直させる名演だった。

前2曲の演奏を引き継いで、実に劇的に盛り上げて見せた。この曲のこんな演奏は聞いたことがないという感じ。充実の中音と低音に支えられてこその第一バイオリンというのをここまで感じさせてくれた演奏はない。

こんないい曲だったのか。

個人的な経験から、それまで分からなかった曲を分からせてくれる演奏というものがあると思う。今回はその一つ。

これを体験できただけでもこの演奏会に来た甲斐があったと言えるが、その前の2曲もまた素晴らしかったわけで、これは本当に素晴らしい演奏会だった。

 

ちなみにアンコールはシューマンのトロイメライだった。