私が大学4年になった時、
友人に言った。
「私、働きたくない。」
もちろん、
アルバイトはしていた。
でも、
正社員として会社へ勤める姿が、
まるで想像できなかった。
友人は笑いながら言った。
「けいこ姉、クズだよね(笑)」
……
当時はイラっとしたけれど、
正論だった。
実際、
私は高校1年生を3回やった。
大検を取って、
数年遅れて大学へ入った。
就職活動では、
最初から不利なのは分かっていた。
だから、
「正社員は無理かな。」
と、
かなり早い段階で諦めていた![]()
でも、
今思えば、
理由はそれだけではなかった。
私は大学へ入るのが遅かった。
そのおかげで、
同い年の友人達が、
一足先に就職活動をしている姿を見ていた。
すんなり就職も決まる子もいた。
コネで入社した子もいた。
大学時代のアルバイト先へ、
そのまま就職した子もいた。
ブラック会社に就職して即辞めた子もいた。
一方で、
偏差値が高い大学で、
何社も受け続ける子もいた。
面接。
不採用。
また面接。
また不採用。
その繰り返し。
私は横で見ながら、
思っていた。
「就職って、こんなに大変なの?」
そして、
世の中では毎日のように、
「就職氷河期」
という言葉が流れていた。
私は単純だった。
「就職氷河期だし、
私なんて就職なんて無理でしょ。」
そう思って、
就職面接の本は、
見事に置物になった。
さらにまた、
人生を踏み外した瞬間である。
でも、
投資を始めてから、
当時の経済を調べるようになった。
すると、
「あぁ、そういうことだったのか。」
と、
初めて納得した。
私は昔、
一つ不思議だった。
少子化。
少子化。
テレビではずっとそう言っていた。
だったら、
若い人は貴重なんじゃないの?
なんで、
就職できないの?
ずっとそう思っていた。
でも、
実際は違った。
バブルが崩壊した。
企業の利益は急激に落ちた。
ところが、
日本企業は終身雇用が当たり前だった時代。
今いる社員を、
簡単には辞めさせられない。
すると、
企業が最初に削ったのは何だったのか。
新卒採用だった。
さらに、
その少し前からは、
人口の多い団塊ジュニア世代が就職活動を迎えていた。
応募する人は多い。
でも、
企業は採らない。
その厳しい就職市場は、
私たちの世代まで続いていた。
つまり、
私たちは、
「新人が一番いらなかった時代」
に社会へ出ようとしていたのである。
なるほど。
そりゃ、
就職が大変なわけだ。
今の日本は、
当時とは景色がまるで違う。
団塊世代の大量退職。
少子化。
人手不足。
初任給アップ。
企業は、
若い人を確保するために必死だ。
同じ日本なのに、
二十数年でここまで変わるのかと驚く。
今は投資家として、
会社を見る立場になった。
だから、
あの頃、
企業が新卒採用を絞った理由は理解できる。
利益が落ちた。
社員は簡単には減らせない。
だったら、
採用を減らす。
経営として考えれば、
合理的だったのだろう。
結果として、
私は大企業で働くという経験を、
しないまま今日まで来た。
でも、
仮にあの頃、
運良く就職できていたとしても、
多分、
続かなかったと思う。
私は、
そういう人間だ。
ただ、
やっぱり思う。
もう少し違う時代に生まれていたら、
人生は少し違っていたのかな。
そんなことを、
たまに考える。



