第二話 | 紫陽花の咲く頃に

紫陽花の咲く頃に

a la carte な毎日を書いています。      ** start 2010.10 **



父と再婚した 義母。


中学に上がる春からその生活はスタートした。

慶子との関係が上手くいっていたのは、ほんの数ヶ月。

すでに義母のお腹には父との子供が宿っていた。

そして弟が生れる。


とても可愛い赤ちゃん。


初めて自分が体験した不思議な気持ちだった。

けれど・・弟が生れて以来義母は急激に変わった。


冷蔵庫の物は全て申告をしないと食べられない。

祖母が可哀相にと思って買ってくれた洋服を‥

タンスから全て出し、その前で3時間にわたって説教。


外食の時、決まって慶子は留守番。


5時の門限に一分でも遅れたら‥

夕食時家族の前に立たされてご飯も食べれないで

父の叱咤が数時間に渡って始まる。


食事もまばらに出るだけ。




毎日が地獄だった。




その頃から実は学校でも虐めが始まっていた。

同じクラスに居た虐められっ子をかばってから始まった事だった。

全学級から無視の対象。

正直根をあげたのはこの頃が初めてだったのかもしれない。


少し早めに帰宅をした慶子は・・・

照明の近くにあった柱に「紐」をくくりつけた。

祖母が慶子の為にこしらえてくれた着物を着る時に使う紐。

本気で死のうと思った。

世の中になんの未練も無かった。

ただ世の中が、人間が大嫌いで仕方なかった。



首をかけて踏み出した。




瞬間・・・床に叩きつけられる。




死ね無い事の情けなさ、怖い思いで泣きまくった。

泣くしかなかった。




これを境に自分で出来る事を少しずつ考え始めた。

死ねないなら死ねないなりに

自分を守らないといけないと思った。


慶子が「強くなる事」しかなかった。


どんな言葉にも怯えず、自分の思いを守る。

言葉は凶器でもあり、安らぎも与えてくれる唯一の武器だとこの時知った。



家庭内は相変わらずだったが・・

それからして少しずつ学校では変わっていった。

恐らく自分を貫く慶子に誰もが敵わなかったのかもしれない。

人の事よりまずは先にある高校を目指した。

高校さえ決まればどうにかなると確信もあった。


そして・・中学最後の冬、無事に高校が決まった。

私立ではあるが推薦入学で合格。

本当にホッとした。

推薦が決まったのが誰よりも早かった為‥


周りの人間達が慶子にはとにかく焦っていたように見えた。




初めて笑った。

焦る人間を見て心の中で大いに笑った。

仕返しが出来た満足感を初めて知った。




悪魔の自分が両手をあげて喜んでいた。

天使の自分は守った事に満足してた。



こうして「くだらなかった3年間」が・・・

足早に過ぎた。


<第3話に続く>