◆我が家の例
これだけはやり方はまさに十人十色だ。
どのようなカタチで私がトランスジェンダーであるということを娘にカミングアウトするか?
子どもをもつと決めてから、妻と二人でこのことについてはよく話していた。海外で出版されている、発達段階に合わせたカミングアウトの書籍も読んだ。
私たちが考えていたカミングアウトについて
・とにかく子どもに隠すことは絶対しない。フルオープンにしよう。
・子どもの発達段階に合わせて、タイミング的には、娘の方から質問や疑問が出た時に伝えよう。
私は、娘が3才くらいになったら、お風呂などで私の身体を見て疑問に思うことが出てきた時に、伝えようと思ってその瞬間を待っていた。
しかし,一向に私の身体を見ても気づかないし、全く身体のどこの部位にも興味関心はない様子で過ごしてきた。
ちょうどカミングアウトの2週間前に、身体の仕組みが子ども向けにわかりやすく書かれた本に興味をもちはじめ、それを毎日読んでいた。その本の中に命の始まりで赤ちゃんができるまでのプロセスが書かれた章があった。
そこの章に来た時に、カミングアウトをしようかなと悩んでいた時だった。以前娘に赤ちゃんはどうやってできるの?って聞かれたらことがあったので、本を通して教えたかった。しかし、最後の章だったのでそこまで読めていなかった。
カミングアウト当日
いつものように男子トイレの洋式に二人で入る。ようを足し終わると、小便器を指差し
娘「ここは男の子が入るところだよね。なんでお父さん入らないの?」
私「入りたくないからだよ」
3時間後
スーパーでの帰り道
娘「娘はお母さんのお腹の中から産まれてきたんだよ。」
私「そうだね。娘はお母さんのお腹の中から産まれてきたんだよ。」
娘「お父さんもお腹から産まれてきたの?」
私「そうだよ。娘と一緒だよ。」
娘「お父さんは男の子で産まれてきたんだよ。」
私「お父さんは、生まれてくる時は女の子で産まれてきて、大きくなったら男の子になったんだよ」
娘「そうなの。」
全く驚く様子もなく、なんの疑いもなくすんなり受け止めていた。
私なりにすんなり受け止めた理由を考えてみた。
一つは、男の子、女の子や途中で男女が変わるなどの概念がない。二つ目は、子どもには相手の本当の心が読める力がある。その為、私の中に女性性と男性性があることをなんとなくわかっていた。
自分の身体の仕組みを知るというのは、幼いうちから絶対に必要なことだ。一緒に過ごしていると、難易度の高い質問が多いことがよくわかる。
赤ちゃんはどうやってできるの?
死んだらどこ行っちゃうの?
血ってどこから出るの?
骨って何?
魚のひらひらってなんであるの?
毎日たくさんの質問をされる。
生きていく上で基盤となる質問だ。学校で習うより確実に大切な質問しかない。
その年齢に適した噛み砕いたわかりやすい表現で返答する。
興味のあることは、再び年齢が上がってからまた質問するはずだ。その時はもっと説明に肉付けして話したい。
うちみたいに親に特性のある場合は、親が自分の身体のこと心のことをしっかりと教えることが望ましい。
娘は産まれた時はどうやって性別を分けるか、稀に身体が両性で産まれてくる場合もあることは知らない。
男女の身体の仕組みや、違いも知らない。
こういうことも、娘の発達段階に合わせて教える日も近いだろう。
カミングアウトにフォーカスしていたが,普段から身体と心のことを細かく丁寧に受け答えできれば、なんの疑問も質問もないだろう。そこに当たり前がうまれる。
子どもは大人の本当の心が見える。
見えることを上手に表現できないだけだ。
嘘をついたらすぐ見抜かれる。そしてそこに信頼関係はうまれない。
これを踏まえれば隠したり、良かれと思う嘘もつけないはずだ。