2週間ほどAirbnbに滞在しながら家を探す。

滞在先だが、スーパー、公園、市街地、徒歩圏内、1軒家で自炊できるところを選択。
予約の時は我が家だけのつもりで予約したが、トイレ・風呂・キッチンなど共用スペースがあり、私たちの他に、オーナーと2組泊まれるこじんまりした一軒家だった。

私たちは2週間の滞在だが、他の客は数日で入れ替わる。

中国語、フランス語、英語、どこの国だかわからない言葉が飛び交っていた。

みんなが食べている食事をチラッと見るのが毎日の楽しみのひとつだった。

ある人たちの朝ごはんは、洗い残しのフライパンとキッチンに漂う匂いだけで食べていたものが想像できた。

フライパンにバターを挽き、卵を割り入れパンを焼いてパッと済ませる男性。連れの女性2人は、スープや飲みものを片手に優雅におしゃべりタイム。
冷蔵庫を開けると、無造作に置かれた食材。卵、ブロッコリー、アボカド、オリーブ、チーズ、バター、ワインなどシンプルな食材が入っていた。

フランス語を話す彼らの最後の晩餐日はステーキだった。ナイフとフォークを皿に置く気品ある音やソースはおそらく手作りだろうか、ステーキのいい香りがこちらの胃袋を刺激する。

私たちは、他の客と比べると生活時間帯が全て早かった。7時ごろ起床し20時半ごろベッドに入る。
ある晩のことだ。17時ごろチェックインをし21時ごろに夕飯をとっていた人たち。

「初日から自炊か」ってベッドに入りながら感じていた。

弾むような話し声と調理音が鳴り響く。キッチンや各部屋は扉が閉まっているので、そこまで音は漏れないが、この晩の調理音は大きかった。何度も鍋を混ぜる、叩く音が聞こえる。あまりにもその音が長く聞こえるので、何を作っていたのか気になりすぎて寝れない。

翌朝、冷蔵庫の脇に大きな袋が置いてあったので中を覗くと食材がたくさん入っていた。特に調味料や缶詰が目立つ。みな食事の時は話し声が軽やかで弾んでいてとても楽しそうだ。盗み聞きしているこちらも気持ちがいいほどだ。

最後はオーナーだ。中国人のご夫婦。キッチンスペースと庭の洗濯干しスペースは供用だが、あとのスペースは私たちとは別だった。

必ず毎日顔を合わせる。英語は流暢ではないが簡単な単語で通じる。綺麗好きで、無駄な物が置いていない。シンプルで質素な生活感が私には心地よく感じた。困っているときは、自然に手を差し伸べるそんな雰囲気のオーナーだ。

客たちは自分で調味料を持参することがほとんどだったが、私たちはオーナーの持っている調味料でじゅうぶん賄えた。
中国語で書かれた、醤油、オイスターソース、紹興酒、ビネガーが置いてあった。

ある日は、大きなまな板に新鮮なサーモンを置き、「ばんっ」と大きく音を立ててぶつ切りにしたり、たくさんの餃子を蒸したり、小豆から餡子を作ったりしていた。料理や食べることが好きそうだ。