私の運用場所は、東京の中野区です。周囲は高層ビルに囲まれた環境で、通称「バケツの底」と呼ばれています。開局から53年が経過しましたが、FT8を利用する以前は、ヨーロッパやアフリカとの交信はまったくありませんでした。北米や南米とはCWでの交信がかろうじて可能でしたが、FT8の登場までは約53カ国との交信にとどまっていました。
しかし、FT8の運用を始めてから約2年で、ついに念願のDXCCを達成することができました。高層ビルが信号を遮る環境ですが、UHF帯ではビルの反射を利用して意外にも1.2GHz帯では良好に通信が成立します。
また、430MHzや144MHzでも良好なコンディションの時には、3エリアや7エリア、0エリアとも交信可能で、非常に興味深いです。
装備としては、HF帯では八重洲のFTdx-5000、UHF帯ではICOM IC-9700を使用しています。アンテナは、7MHzではV型ダイポール、14MHz、21MHz、28MHzでは4エレメントのミニマルチ、50MHzでは6エレメント、144MHz、430MHzではシングルスタックの5エレメント、1.2GHzではシングルスタックの5エレメントを使用しています。
出力は50Wに制限しています。パソコンはノートパソコン1台と新型iPad Air 13インチを使用し、WSJTとTurbo Ham Logを起動しています。iPadのsplit view機能を利用して、左画面にpskreportを表示し、右画面にDX clusterを表示してDXのチェックを行っています。
DXCCを達成するためには、JTAlertが非常に便利で、DXを追跡するのに最適です。また、LoTWとの連携により、DXCCが確認されるのを毎日楽しみにしています。FT8は、高層ビルや多くの雑音がある環境でもDXが可能であることが最大の魅力です。オートシーケンスを使用することで多数のQSOも可能となり、アクティビティが向上しました。FT8の登場がなかった場合、多くのハムライフは今とは異なるものになっていたでしょう。
リグやアンテナは、それなりに重要ですが、ロケーションが悪いとSSBやCWではノイズに埋もれてしまい、国内以外の交信が困難でした。FT8の運用により、HF帯からUHF帯まで満足のいくQSOが可能になり、これに大変感謝しています。