8月9日(現地)に行われた女子サッカー決勝 アメリカー日本戦は2-1でアメリカが勝利、優勝した。
準決勝でカナダと120分の死闘を演じて疲労を見せるとも思われていたアメリカ代表だが、それどころかこれまでパワーで押し切る形から一変して見事に効率的なパフォーマンスを見せた。
一方かえって日本の動きは固く、序盤アメリカの縦攻撃の形をつくられた。
そして8分、やはりスウェーデンでの一戦と同様に日本の右サイドHeathからMorganにつながれ、Wambachにラストパス、と思いきやその前にうしろから入ってきたLloidがヘッドでゴール
Carli Lloidは10番を背負い、北京オリンピックでは決勝点をあげ大活躍した選手でこのオリンピックでもグループリーグで2点取っている。
しかしBoxxのケガ以来守備にまわっていたが、この試合ではBoxxが復帰して守備が安定して、本来攻撃的なLloidは今までのうっぷんを爆発させるように暴れまわった。これはオリンピックのビデオを見ていたなでしこにとっても計算外だったろう。
ともかくWambachのケアで、完全にマークを怠った日本は序盤から後手にまわってハンデを負ってしまった。
日本はラインをあげて攻撃するが、アメリカのディフェンスは素晴らしく、中盤から組織的に、日本のパスサッカーに備え、常にボールの先を予測して容易に形をつくらせない。
攻撃面ではRapinoeがボールを自在に動かしチャンスをつくる。
しかしそれをしのいで16分は大儀見のキープから澤→川澄→大儀見、17分に川澄の左サイド突破から大野のシュート
だがいずれも最終的に守備を崩しきれず、Soloのファインセーブ
25分、ボックス横のFKからHeathのハンドだったが主審は判定せず。このハンドについては試合後、アメリカ選手も認め、ドイツのWeltも、ドイツの主審を批判している。
日本はいくつかのチャンスをつくり、特に32分に大野→宮間選手のシュートを放つが、これもSoloに読まれておりクロスバー
しかし日本も27分に危うくオウンゴールのピンチもあった。
後半、日本は最初からチャンスをつくるが、54分、RapinoeのパスからLloidがドリブル、左右にMogan、Wambachが走り、DFがそのケアで対応できずさらに阪口選手が下がっていくところを絶妙のミドルで決定的な2点目。完全に日本の弱点を狙われたゴールだった
2点差になったアメリカは、守備固めに入り、57分Rapinoeを下げてCheneyに。日本も59分に阪口を下げて田中選手投入で澤選手をあげて前がかりに。
すると63分、大野選手の飛び出しに宮間選手のスルーパスがきちんと合って、フェイクから澤に送ってシュート跳ね返しを取って大儀見にパスしてゴール
ようやく崩しきって1点差
77分には鮫島選手を岩渕選手に代えて3トップにして攻撃へ。
そして82分、GKから出したボールを岩渕が遠くから猛ダッシュで奪い1対1でシュートしかしSoloこれもファインセーブ
これが最後のヤマとなり、あと1歩のところで日本はアメリカを崩すことができず終了のホイッスルを聞いた。
アメリカはこれまでのパワープレーを一転させ、前半と後半の最初に一気に個人の力で得点、その後は組織的なディフェンスや中盤でのボールまわし、クレバーな試合運びで逃げきった。
米Sundhage監督は、試合後、「途中ゲームプランの変更を余儀なくされた。」と語ったのはこの守って逃げ切る戦略への転換だったと思われるが、それにしても見事であった。いや選手のガッツが見事だったというべきだろうが
残念ながら日本は後手後手にまわり、ワールドカップでの経験を生かして中盤から守備にまわってくるアメリカをあと一歩のところで崩しきれなかった
2年にわたる日米対決は、アメリカをより組織的に進化させた。
一方、日本は進化したものの、不幸な故障もあってアメリカの組織を崩しきるまでの個人の力を手にいれることはできなかった。
しかしこの物語は一旦ここでピリオドを打つことになる。
また3年後、4年後の新たな物語に向けて。
そのときには、女子サッカーをめぐる環境がもっともっとよくなって、よりすばらしい物語が生まれることを期待したい。その過程を見守っていければ幸いである。
エンディングはマイケル・ジャクソンで『We are the World』
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