1月7日付Bildにこの新聞としては驚くべき真面目な記事が載っている。
ドイツ代表でフランクフルト所属のBajramaj(バイラマイ)さんと、故郷コソボのこと。
僕が知る限り、Bajramajさんが、コソボ時代と難民時代を語ったのは初めてのことだ。
彼女は故郷に帰ったときに、民族が違う3000人の子供が学び暮らすプロジェクトを訪問したとのことだ。
このプロジェクトについては彼女はこう語っている。
「1999年の戦争終わってから始まったの。それまではお互いに交流がなかったけれど、最初の一歩を踏み出さなきゃいけないから。戦争になれば救ってくれないのは子供たち」
記事では彼女自身のことを語っている。
彼女は1992年、4歳半のとき難民としてドイツに来た。
彼女はアルバニア人だが、セルビア人の間で十分だったが、父の親戚のトルコ人は殺されたとのことだ。
トルコ人もアルバニア人の学校も閉鎖され、彼女は秘密裏にセルビア人の学校に行った。
しかし、警察の巡回がだんだん増えていき、学校で捕まることの危険性が大きくなり、脱出を決意した。
「マケドニア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリー、そしてチェコスロバキアを通ってドイツに行ったわ。
バスで、車で、ボートや徒歩でね」
幼いBajramajさんにとってそれはちょっぴり怖い冒険のようだったとのことだ。しかし静かにしなければならないことは知っていた。
「チェコスロバキアでね、密輸している12人とVWGolfにぎゅう詰めになってた、その中には9ヶ月の妊婦もいたのよ。
警官が車を止めて、20マルク払って、行くことができた。幸運ね。
このオデッセイ(冒険話)で2000マルクぐらい払ったわ」
彼女が15歳のとき、ようやくもとの家に戻ることができたが、その家は1998年に略奪され、焼かれていた。そして今はプロジェクトの学校になっている。
「それは過去。未来はもう二度と憎しみが支配してはいけない。リラ・バイラマイはコソボ人」
さて、今日のエンディングは「バルカン室内管弦楽団」のサラエボ公演
この楽団は2007年日本人指揮者柳澤寿男氏によって設立された、バルカンの諸民族の混成楽団。同じ主旨の有名なものでは、ダニエル・バレンボイムのイスラエルとアラブ民族が混成でできた「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」がある。
バルカン紛争処理には実はサッカードイツ代表も役割を果たしている。
まだ安定していない時代にはバルカン地方に親善試合に行かされたものである。
その際はまず派遣されているNATO軍への慰問から始まり、軍に護衛されて試合会場へ。
悪役ドイツ代表は現地のちょうどいいうっぷん晴らしになるというわけだ。当然選手は行きたくないし、クラブも行かせたくないから欠席続出で補欠ばかりの弱い代表になって、当時キャプテンだったオリ・カーンだけが必死でセーブしまくりかろうじて引き分けという試合。試合後とうとうオリ・カーンもキレてしまったという記事がBildに書かれていた。
先日のドイツ女子ワールドカップでも、アメリカ女子代表は、アメリカからドイツ駐留中のアフガンに派遣されている兵士たちの慰問に行った。おかげで兵士たちはすっかり女子代表のファンになって、アメリカのTVでは点を入れるたびに大喜びする兵士たちの様子が映った。
サッカーはそういう役割も果たしているのは事実なのだ。
そしてバイラマイさんのような当事者が、その有名な立場を使って発言することはすごく立派なことだと思う。
今週のスケジュール
いよいよ1月19日よりカナダのバンクーバーでオリンピックサッカー女子北中米予選です
試合日程
放映日程
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