セルフイメージを成功誘導装置に | 立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

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立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

今日の情報社会を支えている一つの理論にサイバネティクスというものがあります。第二次世界大戦の後、アメリカの数学者ノーバート・ウィーナー博士によって提唱されたものです。

 

もともと、サイバネティクスという言葉はギリシャ語の「舵とり」という言葉からきており、通信工学と制御工学を融合し、生理学、機械工学、システム工学を統一的に扱うことを意図して作られた学問です。

 

自動制御学ともいいます。制御・通信・情報処理の問題や理論を、機械だけの理論なとど枠を作らず、生物にも当てはまるものとして統一的に解釈する学問でもあります。

 

ウィナー教授がこの概念を思いつくきっかけは、第二次世界大戦のさなか、空爆にきた戦闘機を地上から撃ち落とすために、飛んでいる戦闘機の位置を予測する研究であったといいます。

 

 

開発初期のミサイルは、発射されて飛行機に近づいていても、飛行機のほうが避けると、そのまま外れてしまっていました。ところが、「サイバネティクス」理論の登場により、飛行機が避ける方向に向かうようにミサイルを調整する機能を搭載した、誘導ミサイルが誕生しました。

「サイバネティクス」理論がミサイルの性能を飛躍的に向上させ、命中率を高めたのです。

 

ウィナー博士が体系化したサイバネティクスの理論は、今日では情報社会を支えている概念の一つとなり、オートマトンという人工頭脳機械をはじめ、多くの分野で実際に適用されていますが、その一方で、人間の成功理論にも多大な影響を与えました。

 

ごく大雑把に言えば、プログラムされた目標と現在の位置とのズレ・差を検出し、その差を縮めるために適切な行動をとっていくという考えを人間の心の働きに応用したマルツ博士のサイコサイバネティクス理論です。

「サイコ・サイバネティクス」の考え方によると、人間の「潜在意識」が「自動成功メカニズム」としての役割を果たします。

そしてその第一の機能は目的志向性です。

 

「潜在意識」にいったん目標を与えておくと、自動追尾式のミサイルや魚雷がターゲットを探して向かっていくように、自動的に目標を達成しれくれます。

 

これは前回にブログでセルフイメージの話をしました。セルフイメージは、自分らしく安心して行動できる一定の領域であり、この領域の間にいる限りセルフイメージは平穏で何の干渉も起こりません。これは「快適領域」(comfort- zone)と呼ばれていて自動的(無意識)にその領域に留まるように行動が調節されるとボウリングの例で説明しました。

 

 

サイコサイバネティクス考えは、簡単に言うと、人間はいったん成功(目標を達成した)イメージをセルフイメージにしてしまうと、それを意識するしないにかかわらず、そこへ向かって行動するようになるということです。

 

潜在意識が「成功誘導装置」として働くのか逆に働くのかはあなたがセルフイメージ次第なのです。