アニアグラム~その目的 | 立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

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立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

エニアグラムは、ギリシャ語の「エネア」、つまり数字の「9」を語源として、人間の性格は9つのタイプのいずれかに属すというのがエニアグラムの基本的な考えです。


では、何のために性格分類するのか、エニアグラムの目的についてまとめてみました。



■自己理解


自分の性格による強みと弱みを知ること。社会でうまく生きていくために、それらを知れば、知らないよりはコントロールがうまくできるはずです。


しかし、弱みを少なくして、強みを多く出す、というだけではありません。エニアグラムでは強みをやりすぎると弱みになるとも教えてくれます。例えば「行動力がある」とは一般的には強みですが、「行動力がありすぎる」とリスクを考えなかったり、根回しをしなかったりして弱みになってしまうこともあります。


さらに、強み弱みを社会でうまく生きていくためだけに無理にコントロールしても、自分自身が楽しくなかったり、自分らしく生きていると感じられなくなるかも知れません。


エニアグラムは自分の価値観、自分らしさとは何かを教えてくれます。そして自分らしく、この社会でより良く生きていくヒントを与えてくれます。


■他者理解


これは「他者の心を見抜いて操れるようになる」という事ではありません。価値観や考えの異なる多様な他者の存在を理解することです。所謂、多様性受容力の向上です。


相手を知れば、知らないよりは摩擦や葛藤も少なくなり、対応や対処もうまくなるでしょう。


さらにエニアグラムは、人々の異なる「やる気、動機付けの源泉」が何かも教えてくれます。



さて、さらにエニアグラムの目的を3点にまとめてみました。



1.自己を認知し、自分が人に与える対人影響力を理解する


自分自身の動機、大切にしている価値、コミュニケーションスタイル、仕事の進め方のスタイルを知ること。対人関係において、自分のコミュニケーションの仕方や仕事への取り組み姿勢が、メンバーや上司、部下、お客さまなどに与える影響力を知る


2.自分とは異なる価値観を持った様々な人がいる事を理解し、受け入れる     

 『敵を知り、己を知る』ということです。自分と異なる価値観に対しておかしいとか、変だ、異常だという判断をせず、多様性を受け入れること(多様性受容力を高める)。


自分の強み・弱みを理解し、さらに他者の強み・弱みを理解することで、より良いコミュニケーションの基礎となります。


3.対人関係や仕事の進め方に対して、自分のパターンを認知して、対人関係や行動に際して異なるパターンの選択肢を増やす


多くの場合、性格によって私たちの行動はパターン化しています。常にストレートなアプローチをする人は常にストレートであり、いつも相手を気遣う人は常に気遣いがちです。


「選択肢を増やす」とは、状況に応じた、より効果的で建設的な言動を選択することです。


仕事の進め方や対人関係、指示命令やコーチング、お客さまとの対応などで、今までと違った選択肢を増やすことです。自分を知って他者を知れば、より建設的な選択肢が見つけやすくなります。