エニアグラムとは何か~その簡単な歴史 | 立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

立命館大学ビジネススクール教授 高橋慶治のブログ

立命館大学ビジネススクール教授、合同会社人間開発研究所代表社員、元臨床心理士、元JOC強化スタッフ(メンタルトレーニング、コーチング)の高橋慶治が、マインドフルネス、メンタルタフネス、ストレスマネジメント、コミュニケーション&人間関係など色々書いています。

本来のエニアグラムとは、円周上に9つの点を持つこの図形のこと言います。エニアグラム(Enneagram)の「エニア(ennea)」はギリシャ語で数字の「9」を「グラム(gram)」は図を意味しています。
 


この図そのもの自体は20世紀初頭にロシアの神秘思想家G.I.グルジェフによってアフリカから中近東のどこか奥地の修道院で発見されたものだと伝えられています。

 

グルジェフは、エニアグラムを人間の本質を探求するために使ったようです。彼はムーブメンツと呼ばれる神聖舞踏の中の一部にエニアグラムの法則を反映させ、さまざまな気づきをもたらすワーク(実践修行)を行っていたといいます。しかし、現在のようなエニアグラムによる性格分類には言及していないようです。

 


エニアグラム図と9つの性格タイプの関連について、最初に言及したのはボリビア出身のい神秘思想家オスカー・イチャーゾです。彼はアリカ研究所を設立し、1960年代以降にアメリカに西海岸において「エニアゴン性格類型学」として性格学という形で紹介したといいます。

 


それは、1960年代からアメリカの西海岸で興った「幸福」「創造性」「自己実現」の主体である人間の「人間性」や「人間の潜在能力」を、回復・発展させることを旨とする。主に心理学分野を中心にした人間性回復運動(Human Potential Movement)の流行とともに広がっていったようです。


また、カソリックのイエズス会の賛同とともにヘレン・パーマーやドン・リチャード・リソらのカソリック系の心理学者などもエニアグラムの指導者として性格学としてのエニアグラムを広めることに貢献しました。


その広がりの中でスタンフォード大学の精神医学と心理学の研究者であったD,N,ダニエル博士とV,A,プライス博士らがエニアグラムの人間理解のや気づきの効果に感銘し、心理学的な統計処理を行い、その信頼性を確認しています。

そして、2000年頃に話ですが私がスタンフォード大学に行ったときは、ビジネススクールで授業の中に取り入れられて人気講座になっていました。


私と木村氏(株式会社ヒューマックス代表)は、15年前にD,N,ダニエル博士とV,A,プライス博士らの著作でスタンフォード大学の授業のテキストになっていた「スタンフォード式エニアグラム診断と解説」を翻訳出版しました。


また、同じ頃に米国の代表的なエリクソン催眠、NLPとエニアグラムの指導者トーマス・コンドン氏を日本にお招きしセミナーやワークショップを開催し、私もコンドン氏から多くを学びました。

 

私は20年ほど前から木村氏とエニアグラムを指導していますが、1994年にJリーグのサンフレッチェ広島の全選手やコーチングスタッフにチームビルディングのためにエニアグラム研修を受けてもらいました。その年に優勝という結果にはエニアグラムが少なからず貢献したと思っています。

 

今の私のエニアグラムのスタイルはスタンフォード式とコンドン氏の教えがベースになっており、それらをビジネスエニアグラムという方向で教えています。


さて、日本では、聖心女子大学教授の鈴木秀子博士が中心になり1989年に「エニアグラム」を普及する機関として日本エニアグラム学会が発足しました。そして、1997年に鈴木秀子博士の「9つの性格」がベストセラーになりちょっとしたブームが起きました。

 

現在は日本エニアグラム学会と国際コミュニオン学会などでエニアグラムを学ぶことができます。