札幌は、ジャガイモ(=馬鈴薯(ばれいしょ))の花が咲く頃になりました。

 

【ジャガイモ(馬鈴薯)の花】

*北大保健科学研究院中庭

 

 石川啄木(1886-1912年)は、馬鈴薯の花を次のとおり詠んでいます。

 

【馬鈴薯の花咲く頃となれりけり】

馬鈴薯の花咲く頃と

なれりけり

君もこの花を好きたまふらむ

 

 啄木は、1907年(明治40年)5月から1908年(明治41年)4月まで北海道内を、函館、札幌、小樽、釧路と転々とした後、上京して、1912年(明治45年)4月13日に27歳の若さで亡くなっています。

 

 この歌に詠まれている「君」は、函館の弥生尋常小学校の同僚でした。

 

 上京後に詠んだのが、次の歌です。

 

【馬鈴薯の薄紫の花に降る】

馬鈴薯の薄紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に

 

 啄木は岩手県出身ですが、生前、「おれは死ぬ時は函館へ行って死ぬ」と言っていました。そのため、啄木の墓は、函館山の麓にある立待岬の墓地にあります。雨の日の東京で思い浮かべた「馬鈴薯の薄紫の花」は、函館で見たものだったのではないかと思います。

 

【函館市 立待岬、啄木小公園】