政府は6月4日、「金融・資産運用特区」に北海道・札幌市が提案していた「GX金融・資産運用特区」を選定しました。
【北海道新聞 2024年6月5日】
政府は4日、国内外の資産運用会社の参入や業務拡充を促す「金融・資産運用特区」に、道・札幌市が脱炭素社会に向け提案していた「GX(グリーントランスフォーメーション)金融・資産運用特区」を選んだ。同日の国家戦略特区諮問会議で、道内全域を国家戦略特区に初めて指定することも決めた。行政手続きの英語対応や銀行によるGX関連事業への出資緩和など幅広い規制緩和を進める。
そもそも「GXって何?」という疑問が浮かぶので、調べてみると次のとおりです。
【GXとは?】
GXとは、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略称で、カーボンニュートラルの実現に向け、化石燃料中心の現代社会をクリーンエネルギーによる社会へと変革していくこと、そのための取り組みを指します。
GX金融・資産運用特区の主な取り組みは、次のとおりです。
【GX金融・資産運用特区の主な取り組み】
● 洋上風力発電の設置・保守に係る外国船籍の船舶の活用
● 圧縮水素の貯蔵上限の緩和
● 行政手続きの英語対応など外国人の創業促進
● 外国人銀行口座の開設支援
● 銀行業高度化等会社におけるGX産業関連の規制緩和
● GXスタートアップ投資家向け在留資格の条件緩和
● 国内外の金融・資産運用業者等に対する地方税の減免
具体的には、2024年度中に「拠点開発サポートオフィス」が道内に設置され、金融・資産運用業者の集積に向け、事前相談や登録手続きを英語で受け付けるサービスがスタートする他は、検討レベルの取り組みが多いようです。
金融・資産運用特区には、東京都、大阪府・大阪市、福岡県・福岡市も同時に選ばれました。
西日本新聞を読むと、記事のタイトルは「望んだ税優遇却下、独自策1項目のみ・・・「特区の冠もらっただけ」期待外れた福岡の嘆き」という厳しいものです。
アジアのゲートウェイを目指す福岡県・福岡市が金融・資産特区に期待していたのは、距離の近さを生かしてアジアからリスクマネーを集め、地場のスタートアップを図るというものなので、アジア諸国の投資家が福岡に拠点を置いても国税を優遇されないのでは、シンガポールや香港と競争にならないという失望が福岡にはあるのです。
北海道・札幌市にしても「GX金融・資産運用特区」という肩書きをもらっただけでは、道内へのGX関連投資が激増するほどのインパクトはないので、選定されないよりは選定された方が良いという程度のものでしかないような気がします。