「みっともない老い方」 の著者である川北義則さんは、1935年生まれなので間もなく89歳。どのような老い方がみっともないかについて、自分自身の体験を通して語ることができる方です。

 

【みっともない老い方】

 

 私は30代から40代にかけて、国際交流協会の役員や学会の事務局長を務めたので、事務所を提供し事務機器を使わせてくれるスポンサーや大学の大先生とのお付き合いがありました。

 

 そうした方々の中には、思いがけないことで怒り出す方がいるので、大変な思いをしました。ショボーン例えば、会議に参加して、長々と本題から外れたことを話すので話を遮ったとか、宴会の席で自分に挨拶の出番を用意しなかったとかつまらないことです。

 

 私の場合、どちらも無報酬のボランティアとしてやっていたことなので、頭ごなしに怒られても気分が悪いだけのことでしたが、その方が使用者だったり、元指導教官で自分はその弟子という立場だと、逃げ場が無くて辛いだろうなと思いました。ショボーン

 

 この本には、「こんな年寄りは嫌われる」として、5つの例が紹介されています。

 

【こんな年寄りは嫌われる!】
① かつての肩書にこだわる
② 人と比べて文句を言う
③ やってもらって当然と考える
④ 不機嫌を周囲にまきちらす
⑤ 家事をパートナーに丸投げ

 

 どれも「あるある」だと思いますが、①~③は社会的地位が高かった方にありがちなことです。これらは、長年かかって形成されたその方の習性なので、死ぬまで変わらないと思います。ショボーン

 

 ただ、社会的地位が高い方の中には、本当に尊敬に値する方もいるので、社会的地位が人間性を傲慢な方向に歪めるというよりは、それぞれの個性が晩年になって露わになるのではないかと思います。

 

 ④の「不機嫌を周囲にまき散らす」というのは、気に入らないことがあると怒り出す、キレやすい老人のことです。私も若い頃は、人生経験を積むことで人格が磨かれ、いつもニコニコしているような人間になれるのではないかと期待していましたが、全然そんなことにはなっていません。ショボーン

 

 この本を読んで欲しい「みっともない老人」は、この本を読んだとしても自分のことだと思わないでしょう。ショボーンそれでも、「みっともない老人」予備軍の中で少数でも、自らを振り返って「みっともない老人」への道から引き返すようなことがあれば、この本が世に出た価値があると思います。