2024年元旦、北海道新聞の特集記事のタイトルは、「ラピダスが変える未来 世界で開発競争激化 2ナノメートル級の実力とは<半導体新時代>」でした。
【北海道新聞 2024年1月1日】
半導体の先進技術開発を巡り、世界各国の投資競争が激化している。日本ではラピダス(東京)が千歳市で回路線幅2ナノメートル級(ナノは10億分の1)の次世代半導体の量産を目指しているほか、全国で工場の建設が相次いでいる。米中対立の激化を背景に、国家の安全保障を担保する「戦略物資」となった次世代半導体は、私たちの生活も大きく変えようとしている。
【ラピダス千歳工場 完成予想図】
2023年9月に千歳市内で工場建設をスタートしたラピダスは、25年4~6月に試作ラインを稼働し、27年4月にも回路線幅2ナノメートル級の次世代半導体の量産を実現する計画です。生産拡大に伴い、工場は3~4棟に増やす方針で、将来的にはさらに高度な技術が必要な1ナノメートル級の半導体生産も視野に入れているとのことです。
ラピダスは、2ナノメートル級品の試作に成功した米IBMや、半導体の微細化に必要な極端紫外線(EUV)露光装置に強みを持つベルギーの研究機関imec(アイメック)から技術協力を受けることになっています。
わが国では、半導体製造装置のシェアが大きいことから、日本はその気になれば最先端の半導体を作る技術力があるという論調がありますが、既に、海外企業との連携なしでは、日の丸半導体の量産を事業化する力はないことが分かります。
【IBM等との連携】
ラピダスにはNECなど国内8社が計73億円を出資しています。国は22、23年度に計3300億円の補助を決め、24年度は研究開発費などで5900億円の補助を検討しています。25年4月の試作ライン稼働時には、24時間態勢で千人規模が働く見通しです。
ラピダスについては、1月1日の記事以降あまり報道がなかったので、どうなっているのか気になっていたところ、3月21日の北海道新聞に現状が分かる記事が掲載されました。
【ラピダス量産27年「間に合う」 北海道新聞2024年3月21日】
米IBMで半導体の研究開発責任者を務めるケムシュ・カレ博士が19日、米東部ニューヨーク州の研究所で共同通信などのインタビューに応じ、協業先のラピダス(東京)が千歳市で目指す2027年の最先端半導体の量産について「難しいスケジュールだが、間に合うよう進んでいる」と説明した。量産に向け「歩留まり(良品率)を上げていかないといけない」と課題を述べた。
IBMの研究所では生産技術が確立しているので、今後の課題は、2025年4月に千歳工場で試作ラインを稼働させること。そして、2027年に量産を開始することです。
今のところ、予鈴通りに進んでいるということなので、期待して待ちたいと思います。