蘇 軾(そ しょく)(1035ー1101年)は、中国北宋時代に活躍した政治家にして詩人です。
【蘇 軾(そ しょく)】
蘇軾(蘇東坡)は、中国北宋の政治家、文豪、書家、画家。政治家としての活躍の他、宋代随一の文豪として多分野で業績を残した。文学以外では、書家、画家として優れ、音楽にも通じた。
「春宵一刻値千金」の句で知られる漢詩の作者であり、東坡肉(トンポーロウ)の考案者として名を残す人物ですが、次のような言葉を残しています。
【漁隠叢話】
なにもせずにじっとしておれば、一日が二日みたいな気になるものだ。もし一生涯を全部こんな気分に切りかえることができれば、七十まで生きたとしても、それは百四十歳の寿を得たことになる。こんなすばらしい長生きの薬は、めったに有るものではない。副作用もなければ、金もかからぬ。人間だれでも、この処方をそなえておるのに、困ったことには、よい白湯がないために、せっかくの薬が服めぬという始末だ。
私は、リタイアする前は、毎日やらなけらばならないことがあって、「なにもせずにじっとして」いるという状況を知ることができませんでした。今でも、歯医者に定期検診に通ったり、来客や打ち合わせが入るなどやらなければならないことが出てきます。それで半日振り回されたりすると、うんざりします。
蘇軾の伝記を読むと、北宋末期の政争に振り回わされて何度も左遷されており、平穏とはほど遠いものでしたが、そうした外部環境とは別の、精神的な自由を獲得していたのかも知れないとは思います。
【春夜】
春宵一刻値千金 (春宵しゅんしょう一刻いっこく値あたい千金せんきん)
花有清香月有陰 (花に清香せいこう有り月に陰有り)
歌管楼台声細細 (歌管かかん楼台ろうだい声こえ細細さいさい)
鞦韆院落夜沈沈 (鞦韆しゅうせん院落いんらく夜よる沈沈ちんちん)
[現代語訳]
春の夜は短い時間も千金の価値がある
花の清らかな香りがただよい月はおぼろに霞んでいる
歌や音曲の聞こえていた楼台も今は静まり
ブランコが庭にのこされて夜は更けていく
【東坡肉】
東坡肉(トンポーロウ)とは、豚肉を調理した中華料理である。北宋の詩人蘇軾が考案したとされ、料理の名前は彼の号である「蘇東坡」に由来する。