昨日(1月14日)で、2024年度大学入学共通テストが終わりました。

 

 文科省が公表している「令和5年度学校基本調査」を見ると、都道府県で大学進学率に大きな差があります。

 

【大学進学率上位】

1位 東京都   71.3%

2位 京都府   69.6%

3位 神奈川県 63.5%

4位 兵庫県  63.8%

5位 大阪府  63.7%

 

【大学進学率下位】

43位 大分県  42.2%

44位 宮崎県  41.8%

45位 秋田県  41.6%

46位 山口県  41.5%

47位 鹿児島県 36.2%

 

 大学進学率上位は、すべて首都圏と京阪神圏の都府県。下位はすべて九州・東北各県です。どうしてこうなるかと言えば、前者は地元に大学が沢山あり、後者は大学が少ないことが大きく影響しています。ショボーン

 

 このことについて、2020年11月に出版された「地方の論理」(小磯修司著)に、次のように書かれています。

 

【若者の偏在を加速する大学】

 地方にとって人口減少の大きな要因の一つは、大都市への若者の人口流入である。特に、「18の春」と言われる大学進学時に多くの若者が地方から首都圏に流れ込む状況がある。えーん大学生の分布をみると、2016年では、わが国全体の人口比では10%の東京都に、日本の大学生の26%が集中しているという極端な一極集中だ。(中略)

 東京に大学が集積している理由の一つに、日本では私学の割合が高く、また私学に対する助成の措置が欧米などに比べれば脆弱であることから、効率的な経営の観点から大都市部に集積してしまうことが挙げられる。ショボーン016年における東京都の大学生の割合は、国立が12.5%、公立大学が6.4%に対して私立大学は31.3%と極めて高い割合となっている。

 

 この本の著者は、元釧路公立大学の学長でした。この本をとおして、大学が若者の偏在を加速する役割を果たしていることについて、問題提起しています。

 

 近年、大都市、特に東京都特別区がふるさと納税によって住民税が流出していることに危機感を持ち、反対意見を表明していますが、地方の論理では、大学が東京都に偏在し、学費や仕送りで地方住民からお金を吸い上げていることは、ふるさと納税によって住民税を地方に再分配することの正当性を裏付ける材料になっています。

 

 北海道民の立場から言えば、ただでさえ都民に比べて所得が少ない道民にとって、生活費の高い都内の大学に子弟を送り出すことは経済的に大変なことです。せめて、ふるさと納税で取り返さないことには、地方は浮かばれません。