今年の札幌は記録的な猛暑で、8月7日(土)に開催された東京オリンピック女子マラソン競技は、開始時間を1時間繰り上げたほどでした。皮肉なことに、8日(日)の男子マラソン競技が終わって間もなく猛暑は終わり、さわやかな北海道の夏にもどりました。ニヤリ

 

 あれから1か月余りが過ぎて、すっかり秋になりました。読書の秋なので、「氷点」(三浦綾子著)を読み返してみました。この小説には、旭川市と札幌市の樹木のある風景が描かれており、旭川市の見本林、札幌の道庁前庭、北大、北大植物園がその舞台です。北大構内には、初代教頭だったクラーク博士の胸像がありますが、その場所については次のように書かれています。

 

【クラーク像 斜めうしろのキハダの大樹】

 陽子(注:主人公)は、辰子(注:母の友人)から入学祝いにもらったベージュ色の大きな革のバッグをぶらぶらさせて、右手の芝生の小径に入っていった。クラーク博士の胸像の斜めうしろにキハダの大樹がある。その根本に白いハンカチを広げて陽子はすわった。芝生がやわらかく、ふくらはぎにふれた。

 

 実は、先日、キハダの実(アイヌ語でシケレペ)を使ったカレーを作っている女性が、「北大にシケレペがあると聞いたので、見てみたい。」と言っていたことを思い出して、クラーク博士の胸像の斜めうしろにあるというキハダの大樹を探したところ、すぐに見つかりました。びっくり

 

【キハダの大樹から見たクラーク博士の胸像】

 

 今から60年近い昔に、「氷点」に書かれたとき既に大樹だったキハダの樹は、堂々たる太い幹を持った巨木でした。そこからクラーク博士の胸像を撮影したところ、葉陰をとおして台座だけが写りました。シケレペカレーの女性には、次に会ったときに教えてあげようと思います。