年収200万円ダウンを選んだ40代社員に社長が憤った理由〜求められるのは「安定」ではなく「覚悟」 | 土井啓史の経済考察ブログ

こんにちは、土井啓史です。


ある日、40代の友人が私のもとを訪れ、「このまま今の働き方を続けて良いのか悩んでいます。転職すれば年収は200万円ほど下がりますが、精神的には楽になりそうで……」と相談を受けました。

私が驚いたのは、年収が下がること自体ではなく、その選択の背景にある思考と姿勢に危機感を覚えたからです。

40代は組織の中でも中心的な役割を担う層です。そこで思考停止が起きれば、組織全体の停滞に直結します。この記事では、「キャリアと収入の本質的な関係性」「組織が本当に求める人材像」「40代に求められる覚悟」について整理します。

キャリア中盤の「思考停止」が組織に与える影響

40代は職業人生の折り返し地点であり、業務経験やスキルが蓄積され、自身の専門性や役割も確立してくる時期です。一方で、身体的な疲労や将来への不安も重なり、「このままでよいのか」と自問する人も多くなります。

リクルートの『働く喜び調査』(2023年)では、「今後のキャリアに不安を感じている」と答えた40代は54.6%。この世代が大きな転機を迎えていることがわかります。

ただし、悩みが深まると行動が鈍り、転職を繰り返したり、現状にとどまりながらも挑戦を避ける「守りの姿勢」に入るケースが増えてきます。こうした傾向が中堅層に広がると、組織全体の活力が失われてしまいます。

年収ダウンを選ぶという決断の裏にある本質

冒頭の社員は、「年収が下がっても、自分らしく働ける場所を選びたい」と言いました。一見、前向きなようですが、私はそこに逃げの構造を感じました。

本当にやりたい仕事が見つかり、それに伴う収入減であれば納得できます。しかし、「今の仕事がしんどいから」という理由だけでの転職は、根本的な課題解決にはなりません。

厚生労働省の『転職者実態調査』(2023年)によると、転職後に「思ったより改善されなかった」と感じた人の割合は40代で最多でした。環境を変えるだけでは本質的な課題は解決しないという現実があります。

覚悟を持った人材は、「いまの環境で何ができるか」を自問し、行動で示します。それこそが真に自律的なキャリア選択です。

組織が求めるのは、環境に左右されない「自責の覚悟」

私はこれまで、いくつかの会社の立ち上げを経験してきました。その中で組織を支えたのは、能力の高さではなく「結果にこだわる姿勢」と「自責の覚悟」を持つ人たちです。

こうした人材は、収入や地位を「与えられるもの」ではなく「自ら勝ち取るもの」と捉えます。うまくいかなければ自身の行動を省みて修正し、再挑戦する。そうした姿勢こそが、組織の強さにつながります。

一方で、成果が出ない理由を環境や上司のせいにする人は、職場を変えても同じ壁にぶつかります。マインドセットが変わらなければ、結果は変わらないからです。

今、企業が最も求めているのは、「安定」を志向する人材ではなく、自分と組織の未来に対して責任を持ち、自ら動ける人材です。

結論:キャリアは与えられるものではなく、自らの手で築くもの

私は年収が200万円下がってもよいと言う人より、「ここで200万円上げてやる」と言える人に未来を託したいと考えています。

経済環境が不安定な今こそ、「不安定な状況でも挑戦し続ける人材」の価値が高まります。

40代という世代は、変化に直面しやすい年代です。「今の働き方に納得できない」「将来が不安」という気持ちは自然なものです。しかし、そこから逃げずに向き合い、主体的にキャリアを築こうとする姿勢が、その後の人生を大きく変えます。

キャリアを守るのではなく、創っていく。環境に流されず、自ら選び、動き、成果を出す。その覚悟こそが、これからの不確実な時代を生き抜く力になるのです。

◆土井啓史の実績・プロフィール


1979年神奈川県横浜市生まれ。
幼少期を米国で過ごしたのち、慶応義塾志木高等学校、慶応義塾大学総合政策学部(組織論と戦略人事を専攻)を卒業。2003年にNECに入社。
営業職で経験と実績を積み上げ、29才で独立起業。
流通、小売、メディア、ITサービス、不動産、人材などのベンチャーで経営企画に参画した実績をもち、2019年より転職エージェントである株式会社Career Artを創業、同社代表取締役に就任。2025年より訪問看護事業をおこなう株式会社グリーンメディカルを創業し、同社代表取締役に就任。


・wantedlyインタビュー記事
https://www.wantedly.com/id/keiji_doi_career_art
・連載コラム
20代からの仕事術
https://note.com/kay88/m/m771259df2325
チームの力を最大化する組織論
https://note.com/kay88/m/md55d6c5bd88a
経済考察
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