■■【経営コンサルタントのトンボの目 恋の季節は声切なく ~ 鹿の角きり ~

  経営コンサルタント事務所
  B・M・S・21代表 山本 修 先生
  日本経営士協会 専務理事 関西支部長

 山本先生は、美容サロンを独立開業され、その経験を元にサロン経営者に「商品管理」「顧客管理」「計数管理」を提案し、サロン経営の生産性向上に成果を上げてこられました。近年は中小企業のコンサルタントとしてもご活躍中です。

 また「日本経営士協会 専務理事」という重責を担うとともに「関西支部長」としても活躍されておられます。

 ※筆者詳細情報→ http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/0060.htm

 

 

◆  恋の季節は声切なく  ◆
   ~ 鹿の角きり ~


 奈良公園(奈良市)は次第に秋めいてきている。奈良といえばやはり鹿。秋の季語でもある。茶褐色に白い斑点(鹿の子模様)の夏毛から、雌は灰褐色に、雄は濃い茶色へ。   公園や街を歩く鹿で季節の移ろいを感じるのは如何にも奈良らしい。雄は角が伸びるのだが、秋が深まるにつれ発する鳴き声は何故か切ない・・・。

 横断歩道を鹿がゆっくりと渡っていく。ごく自然に人とすれ違う。奈良では当たり前の光景だが県庁すぐそばであることを思えば随分と不思議だ。 

 いらいらしながら歩いていても、鹿につぶらな瞳で見つめられると思わず心が和む。こんな街は世界でも唯一だろう。  奈良市の財団法人「奈良の鹿愛護会」によると、国の天然記念物でも有る鹿の総数は千数百頭。鹿の行動圏は3キロ程度で、若草山や春日大社、東大寺、興福寺周辺で暮らしている。


■ そもそも何故この地にこんなに鹿がいるのか

 実は奈良の鹿はただの鹿ではない。

 春日大社の神「タケミカヅチノミコト」は白い鹿に乗って鹿島(茨城県)から降り立ったと伝えられ、神の使いとして神聖視されてきたのだ。平安時代、春日大社を詣でた貴族らは鹿に出会うと吉祥の証として拝礼したという。

 鹿は姿が季節によって変化するのが特徴の一つ。毛色や角が変わり、江戸時代後期にはそんな鹿を精微に描き分けた内藤基淵という絵師もいたほどである。

 秋、角が伸びた雄鹿は気が荒い。それもそのはずで、恋の季節、つまり発情期なのだ。(秋萩の散りのまがひに呼び立てて鳴くなる鹿の声の遥けさ)これは「万葉集」に収められた奈良時代の歌人、湯原王の歌。ハギが散り、鹿の声が聞こえてくるという寂しい情景が浮かんでくる。その声は「妻恋ひ」(求愛)で「フィーヨー」 といったように聞こえ、どこか切なく響く。

 さらに秋の鹿を詠んだ有名な歌といえばこれだろう。

 おく山に紅葉ふみわけ鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき。「小倉百人一首」ある秀歌。鹿の鳴き声はやはりもの悲しさと結びつき、深まる秋を実感させるのだ。

 雄鹿の伸びきった角はさすがに立派だが、奈良では人が怪我をしないよう切られ、10月には江戸時代から続くという伝統行事(鹿の角きり)も行われる。可哀そうな気もするが、鹿と人とが一緒に暮らす奈良ではだろう。
   
参考文献 産経新聞掲載 「岩口利一著」より

 
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