◆◆【時代の読み方】全人代に見る中国のこれから 2016/03/22 

 時代の流れを時系列的に見ると、見えないものが見えてきます。NHKの放送や新聞・雑誌などを見て、お節介心から紹介しています。

 

◆ 全人代に見る中国のこれから 2016/03/22

 今年の全人代につきましてNHKの加藤青延解説委員がわかりやすく解説していました。それを基に整理してみました。

 毎年3月に開催されます「全人代」全国人民代表大会は、一院制議会制度の中国におけます憲法上、国家の最高権力機関および立法機関として位置づけられています。

 代表の定数は3000人を超えてはならないと憲法に記載されています。各省・自治区・直轄市・特別行政区の代表および軍の代表から構成されています。その約70%が共産党員です。もちろん、一般国民が選挙によって選べるわけではありません。

 開幕初日には、政府代表の李克強首相が、日本で言います施政方針演説にあたる「政府活動報告」を行いました。

 今年の全人代は大きく2つのテーマが中心であると言っても過言ではありません。5カ年計画と今年の政策です。

 2020年までの5カ年計画では、中期的視点におけます経済体質改革で、当然痛みを伴います。今年の政策は、現在直面しています経済減速にいかに対処するかです。当然のことながら、この両者を推進するための具体策となれば、両者相容れない面が出てきます。

「2020年のGDP・国内総生産などを、10年前の2010年の2倍にする」というかつての池田総理の所得倍増計画を掲げました。しかし、これを実現するために最低でも6.5%という高い成長を維持しなければなりません。

 一方で、「ゾンビ企業対策」といわれます国営赤字企業の対策が吃緊の課題です。ところが、これを実施すれば180万人の失業者が生まれてしまいます。並行して、サービス部門やイノベーション送信のための投資中心の政策、環境問題への取り組み、都市と農村の格差解消等々を、経済減速化で実施しなければならず、1000万人の人への影響が出るという予測もあります。

 しかも「海洋強国」をめざすと明言していることから軍事費の増大は必定です。

 日本をはじめとする近隣諸国との摩擦はさらに増すでしょう。その結果、近隣諸国は、アメリカに接近して対抗せざるを得なくなり、それは決して中国にとっても好ましいことではないはずです。

 中国は、いずれ経済面でもアメリカを抜いて世界最大の経済大国になるでしょうが、大国意識が、リーダーとしての責任を無視しますと、世界から孤立しかねません。インドに追い抜かれる時期が早く来ることになるという危機意識を持つべきでしょう。

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