【読書メーター】 2018年1月分 | たまらなく孤独で、熱い街

【読書メーター】 2018年1月分

2月はNPBがキャンプインの日ですね。

まだまだ寒い時期ですが、球春きたり。

 

1月の読書メーター
読んだ本の数:18
読んだページ数:5,926



拾った女 (扶桑社文庫) 拾った女 (扶桑社文庫)感想
読み返す時にこれほど風景が変わるであろう小説は記憶にない。それほどまでにラスト2行の衝撃は大きかった。書かれてから60年以上経っているのに、意識にはほとんど変化がないんだなということも。お互いがアルコール依存症のヘレンとの自堕落な生活。これは愛ゆえなのか共依存のためなのか。こんな生活が続くはずもなく、金も尽きたある日破綻してしまう・・・。前半は退屈な恋愛ものと思えなくもないが、作者の技巧(と悪意)はあちらこちらに散りばめられていることだろう。読者が回収するのは2周目で。335ページ
読了日:01月01日 著者:チャールズ ウィルフォード
パルプ (ちくま文庫) パルプ (ちくま文庫)感想
最低の私立探偵ニッキー・ビレーン。いわゆる飲む打つ買うのために生きている男。人外な奴らから依頼された奇妙な事柄は、ビレーンには解決できない。それでも誰もビレーンを憎めないだろう。時たま口にのぼる哲学めいた言葉に不思議な魅力があるためでもあるか。東山彰良の解説もブコウスキーに惚れ込んでいていい。解説の最後に「上手く世渡りができず、(中略)それでもなお悪いのは自分なのだと知っているすべての者のために、この小説はある」とある。当然私のための小説でもある。東山彰良も読むべきか。325ページ
読了日:01月03日 著者:チャールズ ブコウスキー
クロニスタ 戦争人類学者 (ハヤカワ文庫JA) クロニスタ 戦争人類学者 (ハヤカワ文庫JA)感想
「自己相」によって個々人の認知や感情を人類全体で共有することができるようになった世界。だが、それに抗う難民と呼ばれる人たちを「自己相」に取り込もうとする軍隊。ここまではいいけれど、人類学者シズマと謎の少女の出会いでなんとなく話の行く末が見えちゃうんだよなあ。それに軍隊を敵に回して無事でいられるかも疑問だし、サブキャラが今一つ。ラストに驚愕の真相が語られるのだが、そこへ行くまでが長かった。でも、作者が伊藤計劃を乗り越えて素晴らしい作品を書いてくれるであろうことを期待してますよ。414ページ
読了日:01月05日 著者:柴田 勝家
死の鳥 (ハヤカワ文庫SF) 死の鳥 (ハヤカワ文庫SF)感想
未だにエリスンの良さが分からないのだが。いや、一つひとつはいいんだけど、短編集全体を思い起こすと散漫な印象が残る。暴力もあれば純粋さもあるし、神への憎悪も感じられれば子供への愛情も感じられる。色々と混在していて本人もまとめ切れてないような印象が。もっとストレートに物語を紡いでゆけば、きっと素敵な小説がいくらでも書けたと思うんだけど(たとえ表面上はそうでなくても)。エリスンは何に怒っていたのか(どうかは知らないが)、秩序か神か世界にか自分にか。412ページ
読了日:01月07日 著者:ハーラン・エリスン
少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫) 少女地獄 (夢野久作傑作集) (創元推理文庫)感想
『ドグラ・マグラ』には手がでないので、夢野久作の入門編らしきこちらを。なかなかいいんじゃないかな。「死後の恋」からいい感じに読めて、「瓶詰の地獄」はなにが地獄って、そりゃアレですよアレ。中編の「氷の涯」はミステリっぽい。『少女地獄』三本立てもバラエティに富んでて、思いつめたような女の恐ろしさが迫ってきます。385ページ
読了日:01月09日 著者:夢野 久作
夢巻 (双葉文庫) 夢巻 (双葉文庫)感想
この作者には期待しているんだけど、なかなか「これ」というのに当たらない。この本も半分はなんとか読めるが、ツライものも多い。「大根侍」や「ギタリスト」には脱力したし、日常に異物を放り込んでかき混ぜるパターンにも飽き飽きした。ほとんどが日常を舞台にしているが、なんかせせこましい(方言?)印象を受ける。世界はもっと広いじゃないか。空想の世界ならなおのこと。285ページ
読了日:01月10日 著者:田丸 雅智
庵堂三兄弟の聖職 (角川ホラー文庫) 庵堂三兄弟の聖職 (角川ホラー文庫)感想
死者の弔いと遺族へ形見のために、遺体を解体して色々な「製品」に加工するお仕事を家業としている庵堂家。父親の七回忌に、どう見てもフツーじゃない三兄弟が揃うが・・・。表面的にはグロいし下品だが、つりこまれて読みふけるとあら不思議な感覚が。読後は清々しくなってしまうというホラーでした。318ページ
読了日:01月12日 著者:真藤 順丈
死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫) 死と呪いの島で、僕らは (角川ホラー文庫)感想
伊豆諸島の東端にある須栄島というところが舞台で、島民から疎まれている打保椰々子という女子高生と、彼女のことがとても気になる白波杜弥という同級生。序盤はいろいろな怪奇現象が起こり興味を持たせてくれたが、中盤からゴチャゴチャしてきて少しまとまりに欠けた印象。青春ホラーに始まり、青春もので終わったかな。381ページ
読了日:01月13日 著者:雪富 千晶紀
丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1) 丘の屋敷 (創元推理文庫 F シ 5-1)感想
長らく病弱な母親の世話をしてきたエレーナは32歳。長らく外に出たこともなく姉の家族も大っ嫌いな彼女に訪れた転機は、幽霊屋敷でしばらく暮らすことでしたが・・・。屋敷に着いた時から「なにか」に憑かれちゃったのかな。ホラーとは言っても直接「なにか」がでてくることはありませんが、それだけに不気味さが少しは感じられた。だけど、この作者とは合わないな。忖度できない自分としては、間接的な「お城」や「屋敷」よりも、直接的な「くじ」の方が分かりやすかったせいかも。332ページ
読了日:01月15日 著者:シャーリイ・ジャクスン
桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫) 桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)感想
読んでいる間もさまざまな感情が浮き沈みしていましたが、読み終えた後も言葉にならない「なにか」が胸に沈んでます。警察官も一人ひとりは真摯に努力されているだろうことは想像するまでもないですが、「組織」という得体のしれない妖怪のなかでは自己や組織の保身が優先されてしまうのか・・・。「運命」と片付けるには、ストーカーに殺され、救いを求めた警察に裏切られ、さらに印象操作までされた詩織さんが哀れでならない。あとがきがさらに涙を誘う・・・。お二人のご冥福をお祈りいたします。418ページ
読了日:01月17日 著者:清水 潔
ロルドの恐怖劇場 (ちくま文庫) ロルドの恐怖劇場 (ちくま文庫)感想
恐怖芝居専門のグラン・ギニョル劇場で座付作家として名を馳せたのが、アンドレ・ド・ロルド。超自然的なものよりも、悪く言えば即物的な精神異常や錯乱や猟奇的なものが多く、怖いというよりは後味が悪い・・・。面白いのも散見されたが、劇場で見ると小説とは違った怖さ面白さがあったかも。263ページ
読了日:01月19日 著者:アンドレ・ド ロルド
不連続殺人事件 (角川文庫) 不連続殺人事件 (角川文庫)感想
作家などのいわゆる自由業で色々と込み入った関係の人たちが、山奥の豪邸でひと夏を過ごすことになったのですが、連続殺人が起きてしまう・・・。大勢の登場人物や次々と起こる殺人にあっけにとられるばかりで、頭の中の整理が追いつきませんでした。それでも300ページ少々にまとめてあるので、文体に慣れれば読みにくくはなかった。作者の自信のほどがうかがえる一編です。329ページ
読了日:01月21日 著者:坂口 安吾
ブラック・リバー (創元推理文庫) ブラック・リバー (創元推理文庫)感想
主人公の元刑務官60歳は昔気質の男。かつて刑務所の暴動に巻き込まれた時に指を折られて、もうフィドルを弾くこともできないし日常生活にも支障をきたしている。亡き妻との約束を果たすために18年ぶりにブラック・リバーへ戻るが、かつての「しがらみ」と折り合いをつけることができるのか・・・。これが俺の生き方なのさと言われればそれまでだが、ストイックさに息が詰まりますな。340ページ
読了日:01月23日 著者:S・M・ハルス
少女禁区 (角川ホラー文庫) 少女禁区 (角川ホラー文庫)感想
バンアレン帯から取ったかのような筆名だが、SFのアンソロジーで結構読ませてもらってます。一作目は、財閥の姉弟が絶対的権力者から逃げて、生活の糧を得るために私生活を切り売りするのだが・・・。ラストが少し面白かったかな。表題作は、魔術師並の呪術の遣い手である少女と、彼女にいいように扱われている男の子。和風ホラーっぽくてこれも面白かった。しかし、この2編やアンソロジーのいくつかを読んだけど、あとあとまで印象に残るようなのは今のところなかったな。今後に期待。173ページ
読了日:01月25日 著者:伴名 練
爛れた闇 (角川ホラー文庫) 爛れた闇 (角川ホラー文庫)感想
粘膜シリーズ以外を初めて読みました。自分が何者か分からないままに拷問を受ける陸軍兵士と、どんなんやねんとツッコミたくなるほどの性欲のかたまりの母親を持つ高校生の話が交互に語られ、当然ながら最後は合流するのだが・・・。相変わらずグロさは健在ですが、登場人物はクズばっかりなので安心しして(?)読めますね。314ページ
読了日:01月26日 著者:飴村 行
チューイングボーン (角川ホラー文庫) チューイングボーン (角川ホラー文庫)感想
小田急ロマンスカーの展望車から進行方向の風景をビデオカメラで撮ってと頼まれた男は、指定の時間にロマンスカーに乗りビデオを回すが終着間際のところで「事故」に遭遇してしまう。これは偶然なのか故意なのか・・・。こういうのこそ、答えは出さずに超常現象か得体の知れない何かにして欲しかったな。せめて依頼者は未来が見えるとか。324ページ
読了日:01月28日 著者:大山 尚利
迷宮1000 (創元推理文庫) 迷宮1000 (創元推理文庫)感想
1000階建ての建物の内部は丸々一つの国か世界のよう。階段で目覚めた男(探偵)はタイトル通り迷宮の世界を姫を守るために彷徨う。90年前に書かれたことを肝に銘じて読むべきとは思うが、なんだかとっ散らかっている印象が。ディストピアな恐ろしい世界ではあったが、ラストはご愛嬌かな(伏線らしきのは散見されたが)。333ページ
読了日:01月30日 著者:ヤン・ヴァイス
三丁目の地獄工場 (角川ホラー文庫) 三丁目の地獄工場 (角川ホラー文庫)感想
『牛家』所収の「瓶人」がとても良かったので、こちらにも期待なのだが、全体的に発想というか着眼が今ひとつかな。「牛家」のようなシュールさはあるのだけど、どれも中途半端な感じ。今後に期待は持てそうだが・・・。245ページ
読了日:01月31日 著者:岩城 裕明

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