『さらば偽りの竹座敷』 | たまらなく孤独で、熱い街

『さらば偽りの竹座敷』

2011-01-03 (Mon) 20:26:18 [投稿者名:je ]

 

マサムネ・シマウミは拳銃の掃除を欠かさない。ここは生き馬の目を射抜く街、シズオカ。

ハードな街だ。

マサムネの探偵事務所は木造建築の2階にある。1階はヤクザの事務所だ。3階はゲイシャのザシキで、4階は銀行だ。

賑やかなもんだ。シズオカは眠らない。

ノックの音がした。マサムネはすばやく拳銃を桐タンスに仕舞った。

「開いてるぜ」

依頼人のようだ。




 

2011-01-04 (Tue) 10:51:58 [投稿者名:kei ]

 

冴えない中年のおっさんがきょろきょろしながら入ってきた。

探偵事務所が珍しいのだろう。

マサムネは立ち上がって依頼人を迎え、擦り切れたソファに座らせた。

「ご用件はなんでしょうか」

依頼人は少し迷っていたようだが、話し出した。

「わしはハママツに住む、カイドウ・ソンという者じゃが、実は・・・ネコを探してもらいたい」

「ネコですか?」

「そうじゃ。ここは凄腕の探偵事務所と聞いてきたのだが」

「ネコ探しはやったことがありませんが」

「それも聞いておるが、なんとか頼みたい」

男はアタッシェケースを開けると、札束を2つとネコの写真をとりだした。






 

2011-01-04 (Tue) 21:03:25 [投稿者名:je ]

 

マサムネは札束には目もくれない演技をしながらネコの写真を手に取った。

ガクランを着て、頭には日の丸のハチマキ。「なめんなよ」とふきだしに書かれている。

「なるほど、こういう格好のネコなら探しやすい」

カイドウは慌てた。「ノンノ・ノンノ。それはモデル時代のノブテルでして」

ネコはノブテルというらしい。しかしネコがモデルだと?

マサムネは写真をムシャムシャ食べて札束の上でブレイクダンスを踊りたい衝動にかられた。

「わかりました。しかし金はこんなに要らない。一日100円プラス諸経費だ」

三ヶ月も家賃を払ってない探偵が言えたことではないと思いつつマサムネは100円札の束を押しやった。




 

2011-01-05 (Wed) 20:39:07 [投稿者名:kei ]

 

「いやいや、これは必要経費としてお使いください」

カイドウは100円札の束を再び押しやった。

「で、これが1週間前のノブテルの写真ですが」

丸々と肥えたネコの写真を取り出した。

「栄養が行き届いてますね」

マサムネはうんざりしつつも感想をもらした。

「いやあ、これでもかなり痩せたんですが」

「そうですか。少し時間をいただいて探してみましょう」

「どれくらいで見つかりそうですか?」

「ネコ探しは経験がありませんが、人なら1週間以内には見つけてます」

カイドウは天井を見上げて考えているようだったが、

「分かりました。それではよろしくお願いします」

と言って、事務所を去った。




 

2011-01-05 (Wed) 21:44:54 [投稿者名:je ]

 

マサムネはどうしたものかと思案しながら、タバコを巻いた。

するとドアが開けられた。

「忘れ物かい?」

ふりむくと、見知らぬ男の2人組だった。人相が悪い。スジモノだろうか。

「あんたがマサムネか」

「そうだと言ったら?」

「ネコの件から手を引いてもらおう」

さっそく来たか。これだからハードな街なんだ。マサムネはため息をついてすばやくルガーを抜いて2人組に向けた。

「いいか、伝えたぜ」

2人はあわをくって退散した。だが怪しい雲行きになってきた。どうやらあの相棒の力が必要らしい。

マサムネは電話をかけた。




 

2011-01-06 (Thu) 20:13:39 [投稿者名:kei ]

 

呼び出し音が8回鳴って、切ろうかと思ったところで相手がでた。

「ヤイヅの、相変わらず電話にでるのが遅いのう」

「シズオカのか。何の用だ」

「ちょっと時間がとれないかな」

「隣りの若奥さんが飼っているネコが行方不明になってな」

ネコ?今日はネコの日か?

「ヤイヅのはネコは好きか?」

「いや、食ったことはない」

「俺もネコ探しを頼まれてな」

「シズオカのはネコは好きか?」

「いや、食ったことはない」

「少しあとに寄らしてもらうわ」

「おお、頼む」

マサムネは受話器をおろすと、渋い声で言った。

「誰だか知らんが、ドアは開いているぜ」






 

2011-01-07 (Fri) 00:35:58 [投稿者名:je ]

 

まったく来訪者の多い日だ。

マサムネが新たな客を見ると、椅子から落ちそうになった。

それは絶世の美女であった。

シルクのようにやわらかに流れ落ちる黒髪。物憂げで深みのある瞳、細く高い鼻梁。高い頬骨。

身長は5フィート4インチといったところだろう。スタイルも完璧で、いつでもナンバーワンのゲイシャになれるはずだ。

マサムネは動悸を抑えながら聞いた。「依頼人ですか」

「私はマサコ・ソン。カイドウ・ソンの娘です」

なんとね。




 

2011-01-07 (Fri) 21:40:59 [投稿者名:kei ]

 

「それで?」

マサムネはさりげなさを装って聞いた。

「父の探しているネコが見つかったら、真っ先に私に知らせて欲しいんです」

「今日はやけにネコが人気らしい」

「事情は聞かないんですか?」

「いや、私は依頼人は一人と決めていましてね。あなたの父親が依頼人ですから」

マサコは少しためらっていたが、マサムネに近づいた。

「おっと、それ以上近寄ると、骨抜きにされそうだ」

マサムネは手が震えなければいいなと思いながらタバコに火をつける。

そこへヤイヅが入ってきた。

「あ、あなたは?」

ヤイヅはマサコを見て驚いたように言った。






 

2011-01-08 (Sat) 22:47:47 [投稿者名:je ]

 

しかしマサコのほうが驚きが大きかったと見えて、目を1円コインのように丸くしていた。

無理もなかろう。突然身の丈6フィートもある虚無僧が飛び込んできたのだから。

「あー、紹介しよう、マサコさん。こちらはヤイヅ、みての通り禅に詳しい男だ」

するとヤイヅがマサコを指差していった。

「この人は全日本ナンバーワン和歌読みのマサコ・ソンじゃないか」

なんとね。

和歌というのは、古今ジャパニーズソングアンソロジーなどに古くから編纂されている歌だ。

かつてバショウやイッキュウなどのハイクラスニンジャが歌っていた。未だに伝えられているのだから清らかな歌声だったに違いない。

ヤイヅがこちらを向いて(籠で顔が見えないが)言った。

「さすがマサムネ。連続殺ネコ事件が血塗られし伝説の和歌になぞられているとつかんだか」




 

2011-01-09 (Sun) 21:04:38 [投稿者名:kei ]

 

そこへ、のっそりとネコが入ってきた。

どこにでもいるような、黒白のトラネコといわれる日本ネコだ。

「今日は千客万来でネコまで来たよ」

マサムネは笑った。

ヤイヅ(ヤイヅ在住、本名不詳)も笑った。

マサコは蒼い顔をしている。

「ん?このネコがどうかしましたか?」

マサムネが訊く。

「早くネコを追い出して!」

「はあ?」

「早く追い出してちょうだい!」

「はあ」

マサムネがネコを捕まえようとするが、ネコはマサムネの腕をかいくぐってマサコの足元でスリスリする。

「ネ・・・ネコが・・・・」

マサコは気を失った。






 

2011-01-09 (Sun) 22:34:17 [投稿者名:je ]

 

ヤイヅが笛を吹いた。

「マサムネ、ネコが怖いくせにネコを探してくれってどういう依頼人なんだ」

「わからんなあ」

マサムネはぐったりしたマサコを3階にゲイシャザシキに運んだところだった。ゲイシャのホシコと顔なじみで、こういうトラブル解決には役に立つ。

「しかし連続ネコ殺しが和歌にちなんでいるだって?」

笛の音が止まった。

「うむ。焼津で散るらむ、とかそんな歌だ。古今和歌集から抹消された呪いの歌だとか。それにちなんで6つの殺ネコがあった」

「最後の呪いの歌は?」

ヤイヅが歌が書かれたメモを取り出した。そして詠んだ。

「シズオカに・・」




 

2011-01-10 (Mon) 22:15:10 [投稿者名:kei ]

 

「静岡に緑の黒髪梳く(すく)夜は 背(せな)で泣いてる愛しき稚児よ」

「訳分からん和歌だな」

「まったくだ」

「で、殺ネコの状況は?」

「長い黒髪を束ねたやつでネコの首を・・・」

「・・・」

 

そのとき、古時計がボーンボーンと鳴り出し、生暖かい風が緩やかに吹いてきた。

「シ、シズオカの、これに関わっちゃダメじゃないかな」

「うん、ヤイズの、俺もそう思う。今日は店じまいしよかな」

 

コンコン

 

かすかにドアをノックするような音が・・・。






 

2011-01-10 (Mon) 23:07:28 [投稿者名:je ]

 

ヤイヅが飛び上がった。

「ひぃー」

マサムネも座布団を頭にかぶって「ナムアミダブツ」と怯えだした。

「オ、オカルトにはさすがの名探偵も手が出せない」

「悪霊退散悪霊退散」

「ヤイヅ、お前は僧なのだから霊はまかせたぞ」

「ぬかせ。俺はまだ修行中の身で・・」

ドアがそっと開いた。

「きゃー」マサムネとヤイヅは抱きあった。

マサコがそれを見て固まった。「・・お邪魔したかしら」

「は、いや、オカマいなく」

「そ、それより、和歌の世界に名だたるお嬢さんが殺ネコ事件に関わるあらましを聞きましょう」




 

2011-01-11 (Tue) 21:14:13 [投稿者名:kei ]

 

「それよりも、あのネコを何とかしてください」

マサコの視線の先には、さっきのネコがいた。

「あら、まだいたのね」

「おい、シズオカの、あのネコの首輪に紙が結わえてあるぞ」

「あ、気付かなかったな」

マサムネは紙を取り、ネコを追い出してから広げてみた。

「なになに、燃え盛る山の緑にいざなわれ 愛しき人よ今日はいずこへ」

「和歌のようですね」とマサコ。

「まさか、次の殺ネコ予告ではあるまいな」とヤイヅ。

「ふーむ」

三人は顔を見合わせた。

「何か焦げ臭いような」

マサコがキョロキョロして言う。






 

2011-01-11 (Tue) 23:00:31 [投稿者名:je ]

 

「て、てやんでぃ! ヤクザ事務所が火事でい」

1階のヤクザの事務所から大声が聞こえてきた。

マサムネたちや、3階のゲイシャ、4階のガッショウ銀行の職員たちがバケツに水を汲んで火を消し止めた。

「すまねえ、カタギのみなさん」ヤクザの親分は見栄を切った。

「困ったときはきっと助けにいきやすぜ」

なんだかんだでヤクザとコネが出来たようだ。

「しかし放火だぞ、これは」ヤイヅが言った。裏口に燃焼促進剤と見られる、灯油の容器が捨てられ、火の気の無いところが激しくこげていた。

「まさか、和歌にちなんで俺たちを?」マサムネが言った。

「そ、そうなのです」とマサコ。「謎の和歌ストーカーに困っているのです」そう言って怪しい和歌を取り出した。

「目に青葉 背いて故郷 マサコさん からくれないに 水くくるとは」

明らかに殺害予告である。




 

2011-01-12 (Wed) 20:56:36 [投稿者名:kei ]

 

「ふーむ」とヤイヅ。

「ネコ殺しは目くらましで、本命はマサコさんかも」

マサコの顔が恐怖でおののく。

これがまた可愛いとマサムネは思った。

「お父上はこれをご存知ですか」

「いえ、知らないと思います。なにしろ父はネコを文字通り猫可愛がりしてますから」

「あのノブテルをですか」

「ええ」

マサムネはノブテルの写真をもう一度見た。

「このネコがねえ・・・」

 

そこへヤクザの親分が現れた。

「そう言えば、さっき極道組の若い衆がこちらへ来たようだが、知り合いかい?」

「いえいえとんでもない。ネコを探すなといって脅されましたよ」

「ほほー」




 

2011-01-12 (Wed) 22:07:23 [投稿者名:je ]

 

親分はどっかりとソファーに正座して、昔話をはじめた。

「戦後、闇市、マッカーサー・・。そのころ新宿は焼け野原で」

省略。

「つまり、極道組とワシらの気合組は元はといえば同じ組。いつの間にか2つの家にわかれてしまった」

極道組は金にさえなればカタギにも平気で手を出す悪者集団だそうだ。

「ネコと、ストーカーと、和歌。そして極道組、いったいどう繋がっているんだ」

ヤイヅが混乱して笛を吹いた。

「笛はよせ、それよりも動こう。ネコを探せば状況が変わるはずだ」

二人は街に繰り出した。

近くの電信柱の影に新聞を読むフリをして事務所を見張っていた男が、そっとマサムネたちの後をつけはじめた。




 

2011-01-13 (Thu) 20:46:38 [投稿者名:kei ]

 

二人はシズオカの商店街をブラブラと歩いた。

もちろん四方に気を配っているので、尾行がいることには気がついている。

二人は路地へ曲がった。

尾行者があわてて路地へ行くと、二人が待ち構えていた。

「なにか用かい?」とヤイヅ。

「いえ、トイレを探していたんですが」

「組へ帰って、尾行は失敗したと言うんだな」

「・・・」

「でもなあ」とマサムネが言う。

「せっかく尾行してたんだから、証拠を持って帰らないとまずいんじゃないか?」

「と言いますと?」と尾行者。

「そうだなあ、このバリカンでお前のリーゼント頭を少し刈らせてもらうか」

尾行者の顔が蒼ざめる。

「そ、それだけは」

「お前も手ぶらじゃ帰れないだろ」

マサムネは尾行者の頭をとら刈りにして路地からたたき出した。

「わしらも舐められたもんよの」とヤイヅ。

と、そこへ一陣の風が吹き、太ったネコを抱いた男が現れた。






 

2011-01-13 (Thu) 23:56:27 [投稿者名:je ]

 

木の葉が舞い上がった。

そして道路の向こう側には肥ったネコを抱いた男がいた。

そいつはサンド・アンブレラを深く被っていて、顔が見えない。男は大きな声で言った。

「一陣の 風吹き荒れし この街に 真実はいずこ どこにあるやら」

なんと上手い歌だろうか。

マサムネとヤイヅが感動している間に男はクルリときびすを返し去っていった。

「追うぞ!」

しかし赤信号に妨げられて道路の向こうに行けない。

「ヤイヅよ、やはりネコは赤いニシンだ」

「な、なんだ赤い二審って。カープファンの内野の審判か?」




 

2011-01-14 (Fri) 21:34:22 [投稿者名:kei ]

 

マサムネは突然歌いだした。

「ニシン来たかと カモメに問えば わたしゃ立つ鳥 波に聞け・・・」

「は?」

「ヤイズの、わからんのか。エンカだよエンカ。和歌を理解するにはエンカも知らなきゃダメなんだよ」

「はあ」

「和歌もストーカーもマサコも極道組も気合組もイントロに過ぎないのさ」

「はあ」

「これは深い、深いぞ。俺やお前じゃ太刀打ちできないほど、この事件は深いぞ」

「シズオカの、お前頭をどうかしちゃったんじゃないのか?」

「俺はマサコを守る。お前はあいつを追え。俺は、俺はマサコのためなら○ねる」

「あー、これがかの有名なマサコ症候群ってやつか、シズオカのも罹っちまったか」

ヤイヅはマサムネの目のすぐ前で手をパチンと叩いた。

「はっ」

「シズオカの、気がついたかい」

「俺は何をしていたんだ?」

「まあ、いいってことよ」




 

2011-01-16 (Sun) 09:28:50 [投稿者名:je ]

 

ヤイヅは籠の中から不機嫌な声を出した。

「マサコってのはな、月刊和歌やマンガ・マガジンの表紙を飾ったり、年末のテレビの赤白和歌戦争の審査員を務めたりする有名人なんだ。ファンクラブの会員番号はすでに6ケタに達しているらしい」

「知らなかった」

「まあ、セケンに疎いお前ではしかたない。美女に免疫がないから日本トップの芸能人の魅力に参ってしまうのもな」

「なぜお前は平気なのだ」

「修行の成果だ。おなごを見てもそうそう興奮はしない」

ヤイヅはふんぞりかえった。もちろんそんなことをしているうちに怪しい男は消えていた。

 

一方その頃。真犯人(シルエット)はアジトに帰ったところだ。さて、真犯人の独白を聞いてみよう・・。




 

2011-01-16 (Sun) 21:41:32 [投稿者名:kei ]

 

その前に。

 

自宅へ帰ったカイドウ・ソンは深いため息をついた。

ノブテルは元気にしてるだろうか。

あの探偵は大丈夫だろうか。

 

悶々としていると、ふとマサコが気になった。

あいつはネコ嫌いだからとノブテルに近づきもしなかったが、

もしかしてノブテルとひと悶着おこしてしまったとか。

でもマサコはあちこち飛び回っていて、ここ数年ここへは顔も見せたことがないからな。

 

カイドウは再び深いため息をついた。

 

(では、真犯人の独白を聞こうじゃないか)




 

2011-01-16 (Sun) 23:15:35 [投稿者名:je ]

 

ぽぴー!

ぽぴぽぴぽぴー!!

ボクちゃんのマサコちゃんに、ついに変なムシが付いちゃった!

私立探偵に虚無僧だとぉ? ゆるさんぞう。ボクちゃんだってあんなにおしゃべりしたことないのに!

マサコちゃんがネコ嫌いだと知って一生懸命ネコを殺してるのに、それを和歌で伝えてるのに!

振り向いてくれないなんて、ぽぴー!

しかもカイドウめがネコを飼うなんて、マサコちゃんがかわいそうだからついでにこのデブネコも殺して・・いや、まてよ?

こんなデブネコ殺すのは簡単だもん。それより、カイドウだ。マサコちゃんが嫌いなネコを飼う鬼!

ヤツを・・バラしてやるか。よし、虐殺の和歌を書くぞ。




 

2011-01-17 (Mon) 20:44:17 [投稿者名:kei ]

 

「ヤイヅの、冷えてきたなあ」マサムネは両手を擦り合わせて言った。

「まったくだ、今夜は引き上げるとするか」

「熱燗に湯豆腐・・・はハードボイルドな俺たちには似合わんな」

「やはり、ギムレットかな。飲んだことないけど」

「見たこともないけどな」

「なんでもいいから、あったまろうぜ」

二人は目に付いた小料理屋に入っていった。

 

それを見届けた男。

ケイタイでどこかへ連絡をしている。




 

2011-01-17 (Mon) 21:16:30 [投稿者名:je ]

 

怪しい男は携帯電話ですばやく連絡を取った。

「ぼっちゃま、探偵と虚無僧が居酒屋に入りやしたぜ」

「殺戮のー 名こそ流れて・・」

「ぼっちゃま?」

「ぽぴー! なんだよもう誰!」

「え、えーと、私です、若頭のボンドウです」

「和歌かしら、って、そうだよ、和歌だよ。虐殺の和歌だ」

「え、虐殺を若? 私が虐殺? いえ、私はコロシはちょっと・・。もうとっくに塀の中でオツトメはしやしたんでハクも付いてるし」

「何をごちゃごちゃ言ってんの!? 切るよ!」

ボンドウは半泣きでベンツの中で携帯電話を握り締めた。「くっそー、組長の息子があんなだもんな!」


 

2011-01-18 (Tue) 20:20:43 [投稿者名:kei ]

 

若い男がマサムネとヤイヅのテーブルにやってきた。

「気合組の者です。親分の命令であなたたちをガードしてます」

「なんと、義理堅い親分ですね」

「そこに惚れて組員になりました」

「なるほど。で?」

「ええ、少し離れたところに極道組のベンツが停まってますから、おそらくあいつらもあなた方を見張っているようですよ」

「ネコを探しているだけなんだがなあ」

「そういえば、極道組のボスの息子は血も涙もない冷血漢だという噂ですよ。あいつに目をつけられたらお仕舞だと」

「うーむ」




 

2011-01-18 (Tue) 23:22:38 [投稿者名:je ]

 

煮込み卵や、ハンペンを食べながら3人は談笑した。

「極道組の組長の息子は、たしかタロウ・ゴクドウって言うんですがね、悪質なやつでして」

「ほう、しかし俺たちの事件とは何の関係も無いからなあ」

「これ、タロウの写真です」

「げ、なんで男の写真なんか持ってるんだ」

マサムネはハンペンを吹いた。

「か、勘違いしないでください。気合組が警戒する危険人物ですから」

「ヤクザが警戒するって、どんなやつなんだ」ヤイヅが聞いた。

「別に拳銃を持って暴れたりゃしません。ただプツーンと切れるタイプでして、しかも組長がネコかわいがりしてる。ボンボンが気に入らないやつがいたら、組をあげて総攻撃ってことに・・」

「そりゃ、かなわんのう」

そこにそっと、若頭が店を覗き込んだ。




 

2011-01-19 (Wed) 21:07:01 [投稿者名:kei ]

 

「あ、てめえはボンドウ」

気合組の若いのが極道組の若頭を捕まえて戻ってきた。

「こいつがさっき話したタロウのお目付け役の若頭ボンドウですよ」

若頭はしょんぼりしている。

「我々を見張っていたのに違いない。どうなんだ?」

若頭はボソボソ喋りだした。

「確かにぼっちゃまの命令で見張りはしてましたが、いいかげんぼっちゃまに振り回されるのにウンザリしてきました」

「ふむ」

「この際組を抜けてみっちゃんと田舎で暮らそうかと」

「みっちゃん?」

「はい、いい子なんですよ」

「惚れたおなごか」

「はい、これからみっちゃんと夜汽車に乗って田舎へ帰ります」

「極道組やタロウが黙っちゃいないぜ」

「はい、隠れて暮らします。見つかったら覚悟はできています」

ボンドウの顔は晴れ晴れとしてきたようだ。

「で、さっきぼっちゃまと電話したときに、「殺戮」とか「虐殺」ということを言ってましたので、ぼっちゃまがまた何かたくらんでいるのではないかと」

「虐殺?」

「はい」

ボンドウは出て行った。

残された3人は思わず顔を見合わせた。




 

2011-01-20 (Thu) 22:10:33 [投稿者名:je ]

 

ボンドウは合掌をして去っていった。

「ふぅむ、殺戮とか虐殺とかを口にしていたとな」とマサムネ。

「おいおい、忘れておらんか? お前の探偵事務所に極道組の連中が脅しに来たことを」

「そんな偶然なんてないだろうな」

「ということは、2足す2は、・・だ。ジョージ・オーウェルの小説じゃあるまいし、その答えが書かれてないなんてことは無いだろう」

マサムネとヤイヅは立ち上がった。

「若いの」

「あ、はい」気合組の若いのは言った。

「さっそくタロウに会いたい」

「タロウはクサツという村にワラブキ・ハウスを構えているようです。難攻不落だとか」

「うーむ・・」




 

2011-01-22 (Sat) 17:18:53 [投稿者名:kei ]

 

その頃、マサコは瀟洒なセレブ御用達のマンションに戻った。

心を落ちつかせるためにお茶をたて、少し和歌を詠んでみた。

 

「忍ぶれど 色にでにけり わが恋は それにつけても ネコの怖さよ」

「七重八重 花は咲けども いたずらに それにつけても ネコの怖さよ」

 

「ああ、もうダメ。和歌が浮かばない。そうだわ、若様に電話してみましょう」

 

ポピーポピーポピー

若様「ポピーポピー、なんですか誰ですかそうですか」

マサコ「あの、マサコですが」

若様「ああ、野菊のようなマサコさん」

マサコ「若様、和歌がでないんです」

若様「便秘ですか」

マサコ「まあ、お下劣なことを仰ってはいけませんわ」

若様「失礼いたしました。つい思ってもいないことを口ばしって」

マサコ「どうしたらいいのでしょうか」

若様「便秘がですか?」

マサコ「いやいや、そんなこと言ってはいや」

若様「重ね重ね申し訳ありません。そんな時は好きなものを思い浮かべるのですよ」

マサコ「好きなもの・・・春の野辺に咲くたおやかな花、夏の噴水で遊ぶ子供たち、秋の七草、猪鹿蝶・・・」

若様「そうです。そして嫌いなものを忘れてしまうのです」

マサコ「ネコを・・・・きゃー、思い出してしまいましたわ」

若様「じゃ、そゆことで」

 

マサコも電話を切った。

少し心が軽くなったような気がした。




 

2011-01-22 (Sat) 23:24:48 [投稿者名:je ]

 

「む、タロウが出てきたぞ」

ワラブキハウス前で張り込みをしていたマサムネ、ヤイヅ、若いのは緊張した。タロウはニッサンに乗った。

ヤイヅは「ノブテルがまだ生きてるかも知れん」と、こっそりとタロウの家に侵入した。

マサムネと若いのは、ホンダに乗ってこっそりとニッサンの後をつけた。

するとセレブ御用達のマンション前にやってきた。

「マサムネさん、タロウのやつ双眼鏡で何か見てますよ」

二人がタロウの目の先を見ると、10階あたりに下着を干すマサコの姿があった。

「おおっ」二人は興奮した。マサコの姿が消えるとタロウは移動した。

「今度はカイドウ・ソン氏の豪邸だ」

「おっ、タロウが何か書いた紙をポストに入れたぞ」




 

2011-01-23 (Sun) 19:54:49 [投稿者名:kei ]

 

ヤイヅはワラブキハウスにそっと近づいて中の様子を探った。

するとドタドタ走り回る音や物をぶつける音、「ギャー」という悲鳴も聞こえてきた。

不思議に思って入るのをためらっていると静かになった。

 

ヤイヅは思い切って入ることにした。

玄関をそうーっと開けて入る。

誰もでてこない。

土足のまま正面のフスマを開けると、何人かの男が倒れてうめいている。

驚いて見回すと肥えたネコが撒き散らかされた刺身らしきものをガシガシ食べている。

ジロッとヤイヅをにらんだ。

ヤイヅは手近な男に「どうしたんだ」と聞くと、

「ぼっちゃまに言われてネコに刺身をやろうと檻の扉を開けたら、ネコがいきなり飛びかかってきて・・・」

「ふーむ、窮鼠猫を噛むじゃなくて、窮ネコ人を引っかくか。よほど腹を空かしていたらしいな」

ヤイヅがしばらくネコを見ていたら、ネコは満足したのか大あくびをして丸くなった。

「寝ちゃったよ、さて・・・」

ヤイヅはあたりを見回して縄を見つけるとネコをぐるぐる巻きにしてかついで外へでた。

「仕方ない。歩いてマサムネのとこへ戻るか。しかし重いなあ」




 

2011-01-23 (Sun) 21:59:24 [投稿者名:je ]

 

ヤイヅはひょいっと顔から籠をはずした。誰もみたことがない素顔だが・・暗くて判別できなかった。

そして籠にネコを入れた。

「ふむ、これで楽だ」

 

一方そのころ。マサムネはカイドウ邸からタロウの謎の手紙を抜き取った。

「こ、これは!」

 

 虐殺や ああ虐殺や 虐殺や

    ネコのたたりで あなたは散るらむ

 

「ネコのたたりって、こいつだろ、ネコ殺したのは」

絶句しつつも、ようやく犯人確定、そして次のタロウのターゲットが判明したのだ。

「カイドウ氏が危ない。ここで反撃の準備だ!」

「マサムネさん、気合組も力を貸しやすぜ。これは街を二分する精力の闘いでもあるんだ」

そこに笛の音。ヤイヅの帰還だ。




 

2011-01-24 (Mon) 20:53:06 [投稿者名:kei ]

 

タロウは鼻歌まじりでニッサンを運転(ころが)していた。

ぽぴーぽぴーぽぴー

ぽぴー

 

ところがワラブキハウスに戻ると・・・。

「なんじゃこりゃー」

玄関先でうめいているチンピラの尻を蹴飛ばして聞いた。

「なんがあったん?」

「ネ・・・ネコが・・・」

「ネコがどうした」

「ガク」チンピラは再び気絶した。

 

「ちっ、使えない。パパに応援を頼もう」

タロウはパパとのホットラインに電話した。

ぽぴーぽぴー

「なんじゃい」ドスが効いて誰でも震え上がるような声である。

「あ、パパ、僕だよ」

「おお、タロウかい」一転して猫なで声。

「あのねえ・・・」

タロウはマサコの父の非道なことを話した。

「わかった、タロウは家にいなさい。そんな野郎は子分どもに任せよう」

「うん、お願いね、パパ」

 

極道組の組長は葉巻に火をつけると、湯飲みを壁にぶつけた。

「へい、お呼びですか」若いのが来た。

「ボンドウを呼べ」

「ボンドウの兄貴とは連絡がとれませんが」

「なにー」

「あ、あの、探してはいるんですが・・・」

組長の怒りが爆発した。




 

2011-01-24 (Mon) 23:37:12 [投稿者名:je ]

 

「こんなときに居ないボンドウなんて必要ない! 全員集めろ! カチコミじゃい」

子分たちが蒼ざめた。

「お、親分。ゴロマキのボンドウさん無しでなんてムリっす」

「極道組の戦闘力の95%はボンドウさんで持ってるようなもんですし・・」

「やかましいわ! 全員出撃じゃ! タロウのためじゃ!」

ミッドナイトを漆塗りのベンツが次々とカイドウ邸に向かって走り出した。

 

マサムネたちは笛の音の方を見た。暗くて顔は見えないが、ヤイヅが籠にデブネコを入れているようだ。

「おお! ノブテル!」

マサムネが叫ぶと、カイドウ邸から大声がした。

「な、なぬ! ノブテルって聞こえたぞ!」

カイドウが飛び出してきた。「おおお、ノブテルや! 会いたかったぞ!」

カイドウはネコを抱きしめた。「もう離さないっ!」




 

2011-01-25 (Tue) 21:28:01 [投稿者名:kei ]

 

「すぐにでも極道組がやってくるでしょう、ひとまず避難しましょう」

マサムネはノブテルの尻尾を見ながら言った。

「え?極道組がなんで」

「後で話します」

マサムネはカイドウとヤイズと気合組の若いのを乗せて出発した。

もちろんノブテルはカイドウの腕の中だ。

 

「マサムネ、どこへ行く?」

「事務所なら気合組も下にいるし」

「そうだな」

 

途中で10台近いベンツとすれ違った。

「奴らも行動が早いな」

「うむ」

 

マサムネたちは事務所に戻った。

若いのは下の気合組の事務所へ行った。

「長い1日だな。まだ終わらないのか?」マサムネはあくびをした。

するとテルノブもあくびをした。

 

「何がどうなっているんでしょうか」

カイドウが問いかける。

「連続ネコ殺事件の犯人はタロウだったのさ」

 

電話が鳴った・・・。




 

2011-01-26 (Wed) 19:58:36 [投稿者名:je ]

 

「はい、マサムネ探偵事務所」

マサムネが電話に出ると、向こう側から「ぽぴーぽぴー」と笑い声が聞こえてきた。

「なんだ、お前は!」

「ポピー! お前が私立探偵だな。虫め」

「いきなり虫とは何だ。誰だお前は」

「俺の名前は、タロウ・ゴクドウ」

マサムネは押し黙った。「なるほど? 何の用件かな? ネコ探しの依頼かね?」

タロウはポピーと叫んだ。

「減らず口をたたくんじゃあねえ! これを聞け!」

「マサムネさん! た、助けて」

「マサコさんっ!?」

「この人が、ネコを・・、うう、やめて!」

「ネコが嫌いなんだろう? ホラ、虐殺!」

「よすんだ!」マサムネは叫んだ。

「うるさい! お前一人でシズオカ埠頭に来い! 1時間以内だ。さもなくばマサコを殺す!」




 

2011-01-26 (Wed) 21:44:55 [投稿者名:kei ]

 

シズオカ埠頭に車が1台止まっている。

遠くで汽船の霧笛が聞こえる。

ぼー、ぼー

 

「若様、いえタロウ様、おやめください」

「うるさい。あんたのために和歌を始めたんだ。あんたのためにネコを殺したんだ。あんたのためならネコを可愛がるクソオヤジも邪魔をするマサムネも殺してやる」

「タロウ様、私なんかのために、そんなことはしないでください」

「あんたが、いやマサコさんが好きだからだよ」

「それでも私のようなつまらない女のために無茶はしないでください」

「うるさい。あんたのためなら地獄へでも行く」

「今ならネコ殺しだけですけど、人を殺めたら刑務所ですよ」

「あんたがそれで幸せになれるなら、それでもいいんだ」

「幸せ?お父様を亡き者にされて幸せな娘がどこにいますか」

「う・・・」

「タロウ様のためならネコも好きになります。だから・・・」

「俺は好きになれんのか?」

「え?」

 

車が1台近づいてきた。




 

2011-01-26 (Wed) 22:34:30 [投稿者名:je ]

 

「来たな! 探偵」

タロウはふところから拳銃を取り出して、車に向けた。

「やめてください!」

「うるさい! 離せ!」

タロウはマサコを突き飛ばした。

「俺はゴクドウ組の御曹司・・、結局マサコさんとは違う人生なんだ」

車がブレーキをかけた。ドアが開いて誰かが降りてきた。

「ぼっちゃん」

「ボ、ボンドウじゃないか!?」

「ゴクドウ組が壊滅したそうじゃないですか」

タロウはうつむいた。「だって、まさかカイドウ邸にカチコミに行ったら気合組のやつらが護ってるなんて・・、お、お前どこに行ってたんだよ」

「ぼっちゃん、あたしはこの国から消えますぜ」

フェリーが近づいてきた。

「ボンドウ、まさか密航か?」ボンドウはそれは色々な罪状で指名手配中なのだった。

「みっちゃん・・、いや、スケに逃げられました。いやなもんです。もう未練はありやせん」

「ボ、ボンドウ・・」




 

2011-01-27 (Thu) 21:30:50 [投稿者名:kei ]

 

ボンドウは漁船に乗って行ってしまった。

タロウは漁船が見えなくなるまで手を振っていた。

 

「さてと」

「ねえ、もうやめましょうよ」

「組は壊滅し叔父貴のボンドウまでがいなくなり、明日からどうしたもんかな」

タロウはタバコに火をつけて、煙たそうに吸った。

「なんか、ど演歌でも聴きたいな。ロックやポップスじゃなく演歌を」

「こんな時にあなたを慰める和歌でも詠えたらいいんですけど」

「いや、もう和歌はいい」

「そうですね」

 

霧にむせぶシズオカ埠頭。

薄暗い街頭の灯りが、少し離れて立つ二人を照らしていた。

 

そこへ抜き足差し足で近づく影があった・・・。




 

2011-01-27 (Thu) 22:04:29 [投稿者名:je ]

 

「そぉい!」

マサムネは気合い一閃、ヤイヅの虚無僧籠(?)をタロウの顔面にはめ込んだ。

「げ、なんじゃこりゅあ!」

タロウは悲鳴をあげて籠を取ろうとしたが、取れない。

「はっはっは、うまくいったな」

ヤイヅが朗らかに笑った。

「その籠は清水寺で作られた改心するまで取れない籠なのだ」

「そ、そんな都合のいい・・」タロウは絶句した。

「さあ、マサコさん帰ろう」

しかしマサコは動かなかった。

「タロウさん、改心してください。改心して籠を取って、そして、そして・・」

タロウとマサコは籠越しに見詰め合った。

「俺、改心するよ」

「タロウさん、いえ、若様・・!」

二人が抱き合うと、マサムネとヤイヅの目が点になった。

「なんでこうなってんだ? そして最終回は近そうだ」マサムネは呟いた。



 

(Fri) 22:28:59 [投稿者名:kei ]


 

マサムネとヤイズがこそこそ話している。

「タロウがマサコ症候群に罹るのはわかるが、マサコはなんで?」とマサムネ。

「うーん。おそらくマサコには男の免疫がなかったかも」

「あんなにずっと近くにいて色々と話もしただろうしね」

「一時の気の迷いならいいんだが」

 

タロウとマサコも話している。

「早く改心してくださいね、待ってますわ」

「改心といっても、どうやって証明すればいいんだろう」

 

そこへカイドウがやって来た。

もちろんノブテルは離さない。

「おお、マサコ、無事だったか。良かった良かった」

「お父様、私、和歌は辞めて花嫁修業をしますわ」

「この被り物をしてる男が相手か?」

マサコの頬がポッと朱に染まる。

 

「しかし、マサコはいい女だよなあ。俺じゃいかんのか?」とマサムネ。

「俺でもいいじゃね?」とヤイズ。

儚い恋のライバルとなった二人は、お互いが「けっ鏡を見てから言え」と思ったのだった。






 

2011-01-29 (Sat) 16:40:43 [投稿者名:je ]

 

「どうぞどうぞ! 謝礼です、これでも足りん!」

カイドウ・ソンは百円札の束を次々とマサムネに押しやった。

「もう結構、料金なら最初に充分いただきました。お返ししなければならないくらいです」

「何をおっしゃる!」

マサムネとカイドウがそんなやり取りをしているころ、虚無僧となったタロウはシズオカ寺で修行をしていた。

タロウもヤイヅもいつの間にかネコ供養の第一人者となってしまい、今では日本中のネコ愛好者から引く手あまたである。

マサコは和歌を封印し、「私、イッパンジンに戻ります」と宣言しTVから消えた。

マサムネは街の暴力団をつぶした男として「赤い収穫の探偵」「コンチネンタル・マサムネ」などと呼ばれ、いまでは仕事に事欠かさない。

それでもマサムネの心にはポッカリと穴が開いていた。

「ネコでも飼うがよいぞ」

すっかり坊主になったタロウがネコを持って来た。

「妻はネコが嫌いだからな。はっはっは。ポピー」

マサムネは黙ってタバコをふかして夜の街を眺めた。ネコと一緒に・・。

 

「さらば偽りの竹座敷」完。






 

2011-01-30 (Sun) 13:57:44 [投稿者名:kei ]

 

毒者からお便りが続々と・・・。

 

「終わりましたか。楽しみが一つ減りました」77歳女

 

「シズオカならフジヤマを出さんかい」33歳男

 

「マサムネ、かっこいい」24歳女

 

「シリーズ化するんですか?」50歳?






 

2011-01-30 (Sun) 18:00:26 [投稿者名:je ]

 

さらに毒者からお便りが

 

「最初はどうなるかと思ったけど途中からまとまってびっくりしました」3歳 男

 

「面白かった、もっと書かんかい」 51歳 馬

 

「SF,ハードボイルドときたら、次は新たなジャンルですよね」 34歳 牛

 

「おまいら天才なんですけどwwwww」 101歳 男