戯曲?『月は無邪気な夜の女王』 (7) | たまらなく孤独で、熱い街

戯曲?『月は無邪気な夜の女王』 (7)

※舞台中央に椅子がふたつ。
※教授と設楽がそれぞれに座っている。

 

教授:どうかね、仕事は慣れたかな?
設楽:ええ。でも、まだまだ正木准教授の足手まといですね。
教授:最初の頃と正木君に何か変化はあるかい?
設楽:は?と言いますと?
教授:まあ、君だから言うが、正木君がここに入った頃はまさしく学究の徒というか、研究オタクのようでな。若い女性に話しかけられたら、顔を真っ赤にして俯いていたもんじゃ。
設楽:ええ~~?信じられませんわ。
教授:そうじゃろ。しかも、将棋は全く知らなかったのじゃ。
設楽:何か心境の変化があったのでしょうか?
教授:そうではないんじゃ。正木君が「サイコダイバー」だというのは、前に話したが、それが影響しているようなんじゃ。
設楽:サーチした人の精神の状態が准教授に影響を及ぼすのですか?
教授:うむ。そうとしか考えられないほど正木君は以前と変わったんだが、問題は正木君がそれに気付いていないことじゃ。
設楽:気付いていない・・・。
教授:このまま「眠り病」患者のサイコダイブを続けると、正木君に深刻なことが起こりそうでな。前にそれとなく中止するよう言ったんじゃが、本人が頑として断ってな。
設楽:深刻と言うと?
教授:それが分からんから悩んでいるんじゃ。正木君に誰かをつければ、事態が好転するかもと思って君をつけたんじゃが。
設楽:教授、本心は違うのではありませんか?
教授:本心?
設楽:ええ。教授は正木准教授がどう変わっていくかを期待して見ているのではないのですか?
教授:ば、ばかな。
設楽:私にはそうとしか思えませんが。

教授:・・・・・・

設楽:正木准教授は私が守りますので、教授はご心配なく。
教授:お前、まさか正木君に・・・
設楽:変な勘ぐりは止めてください。

 

※設楽は椅子から立ち上がり退場する。
※腕組みをして設楽が去ったあとを見続ける教授。