2024 天皇賞春(阪神大章典組の取捨) | 競馬解読教室

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 近年の日本競馬における「勝ち時計の高速化」にはすさまじいものがある。主要競馬場(東京、中山、阪神、京都、中京)の芝のレースのレコードタイムは、そのほとんどが近5年で更新されている。例えば東京競馬場の芝コースには全部で8つの施行距離が(1400、1600、1800、2000、2300、2400、2500、3400m)設定されているが、更新が最も古いものでも2018年(アーモンドアイの芝2400m)であり、それ以外の距離のレース(7レース)は、すべて2019年以降にレコードが更新されている。では、主要競馬場のうち、もっともレコードが更新されにくい競馬場がどこであるか?ご存じだろうか?答えは京都競馬場である。京都競馬場の芝コースには全部で11の施行距離(1200、1400内、1400外、1600内、1600外、1800、2000、2200、2400、3000、3200m)が設定されているが、2019年以降にレコードが更新されたものは1600内(2020年)、2200m(2019年)のたった2つしかない。芝1200m、1400内m、1800mのレコードが更新されたのは今から10年以上前の2014年であり、2000mのレコードが更新されたのは2011年。2400mに至っては、最後のレコード更新は今から20年以上前の2000年である!これが何を意味しているかお分かりだろうか?答えは、「もともと京都はJRAの主要競馬場の中では最も勝ち時計が速くなりやすい競馬場であり、スピード能力に秀でた馬でないと京都コースでは勝てない!」ということ。「京都巧者=下り坂が得意な馬」だけではない。京都巧者とは、「下り坂が得意で、速い時計の決着に対応できる馬」なのだ。

 

 以上は芝3200mの長距離戦である天皇賞春にも当て嵌まること。長距離戦とはいえ、スタミナだけではなく、スピードがないと勝てない、それが天皇賞春というレースなのである。では、各馬が天皇賞春でも通用するスピードを持っているか否か、どうやって判断すればいいだろうか?ここでは阪神大章典を例にとって説明しよう。

 天皇賞春のステップレースの王道といえば、芝3000mで施行される阪神大章典であるが、この阪神大章典と天皇賞春の関係から、どのような阪神大章典が天皇賞春とリンクしやすいのか?を確認してみよう。以下は2000年以降、昨年までの阪神大章典の勝ち時計を、前0.4=60.76後5Fに割ったものである。

 

2023 64.9=63.3=57.9

2022 63.1=62.9=59.0

2021 62.9=63.2=61.7

2020 62.6=60.3=60.1

2019 59.3=63.6=63.6  

2018 60.1=63.3=60.2

2017 61.5=60.4=60.7

2016 61.6=64.4=59.8

2015 60.4=65.0=60.5

2014 63.2=63.1=60.3

2013 61.2=62.1=61.7

2012 64.9=64.3=62.6 

2011 61.0=63.6=59.8

2010 61.8=64.0=61.5

2009 63.1=63.7=66.4

2008 63.8=65.9=59.0

2007 65.1=64.1=59.1

2006 60.9=64.3=63.6

2005 60.4=65.3=60.5

2004 63.8=65.4=59.2

2003 61.6=64.8=59.5

2002 60.1=63.9=57.9

2001 59.8=63.4=59.3

2000 60.3=66.6=62.5

 

 いうまでもなく、阪神の馬場は京都の馬場よりも時計がかかる。換言すれば、その阪神でも速い時計をマークできるくらいのスピード能力を持つ馬は、京都でも十分通用すると言うこと。それを証明するのが上記である。2000年以降、過去24回の阪神大章典において、前中後を3分割した際の後半5F(1000m)で59秒台以下の速い時計が記録された年は全部で10回あるが、この10回中、天皇賞春①~③着馬が出たの年は9回もあるのだ!やはり、上りが高速決着になった年の阪神大章典組の天皇賞春における好走確率は高いと考えていいだろう。右に対しては、「阪神大章典と天皇賞の相性が良いことは周知の事実であり、9/10回馬券に絡む馬が出ても不思議ではないのではないか?」という反論があるかも知れない。しかし、阪神大章典組①~③着馬が天皇賞春で1頭に馬券に絡まない年もたくさんある。2000年以降でいえば、2004年、2009年、2010年、2012年、2013年、2014年、2019年、2020年の計8回が該当するが、このうち後半5Fが60秒を切ったのは2004年だけ。他の7回はいずれも上り5Fに60秒以上時計がかかった年だった。以上から、相対的に言って、後半5Fの速い阪神大章典が天皇賞春にリンクしやすいと考えて間違いないだろう。

 とはいえ、上りの速い阪神大章典組を闇雲に勝っていても、馬券はプラスにはならない。というのも、前記10回阪神大章典①~③着馬30頭のうち、天皇賞春に出走し、完走した馬は24頭いるのだが、その24頭の成績は{2・2・6・14}に過ぎないからだ。勝率8.3%、連対率16.7%、複勝率41.7%は必ずしも素晴らしいいとは言い難い。他方、前記10回の勝ち馬にのみにフォーカスすると{2・1・5・2}であり、勝率は20%、連対率は30%、複勝率は80%に跳ね上がる。つまり、今年の阪神大章典で②着以下に0.8秒の大差をつけて圧勝したテーオーロイヤルが天皇賞春で③着以内に好走する確率は非常に高いと考えていいだろう。他方、②着以下に負けた馬たちの期待値は決して高くはない、ということである。

 

 

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そしてその傾向は、近年の競馬界全体のスピード化によって増々強まっているのである。