2023 有馬記念(予想と買い目) | 競馬解読教室

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 今年の有馬記念は混戦ムード。なぜ混戦なのかと言えば、JCで①、②着し、有馬記念ファン投票でも第1位、第2位だったイクイノックスとリバティアイランドの2頭がこのレースを回避してしまったからだ。思い起こせば、今年、この2頭が勝った日本のGIはなんと6つ!!(宝塚記念、天皇賞秋、JC、桜花賞、オークス、秋華賞)。特に古馬中距離のGIは、すべて、イクイノックスが勝ったわけである。ゆえに、そのイクイノックスに牝馬三冠馬であるリバティアイランドが挑戦したJCが、今年の日本競馬界の頂上決戦であったことは、間違いない。ところが今年の有馬はソコでワン・ツーを決めた2頭の名前がない。その2頭がいないということは・・・・今年の有馬記念は「最強馬2頭が不在の中、3番手以下の実力馬による覇権争い」という色彩のレースなのである。

 

 イクイノックス、リバティアイランドの2頭は、ともに、ノーザンファーム生産馬。近年の日本競馬界をけん引し、また、席巻してきたのがノーザンファームだということに異論を唱える者はいないだろう。そのノーザンファームがその2頭をひっこめたということは・・・・一体何を意味しているのか??答えは、「ノーザンファームは、たとえあの2頭をひっこめても、2番手グループの精鋭でも有馬記念を勝てる!と考えている。」ということ。有馬記念もJCも①着賞金は5億円!。このレースは、②着でも2億円がもらえるというドリームレースなのである。ノーザンファームは本気でこのレースを獲りに来ている。JCと有馬の使い分け、それが直近の5年のノーザンファームの戦略なのである。

 

 そして、今年エントリーしているノーザンファーム生産馬は全部で7頭。古馬5頭、3歳馬2頭という強力な布陣である。この7頭の前走からの間隔と、前走を確認しておくと・・・

 

●古馬

シャフリヤール 中6週(Bカップ③着)

ドゥドュース 中3週(JC④着)

アイアンバローズ 中2週(ステイヤーズS①着)

ジャスティンパレス 中7週(天皇賞秋②着)

スルーセブンシーズ 中11週(凱旋門④着)

●3歳馬

ハーパー 中5週(エリ女杯③着)

タスティエーラ 中8週(菊花賞②着)

 

 近年のノーザンファームの使い分け戦略から考えると、ローテーションが厳しいドゥドュースとアイアンバローズは「本気度」が高いとは言えない。また、シャフリヤールの場合は、米国から帰国後、検疫終了後は外厩施設ではなく、競馬学校→中山競馬場で調整を行っていた馬であり、天栄でも、しがらきでも、山元トレセンでも調整を行っておらず、やはり、「本気度」が高いとは言えない。残る4頭のうち、ハーパーは同世代の牝馬同士でも勝ち切れなかった馬であり、有馬記念では苦戦傾向にある非GI馬。騎手の乗り替わり模様を見ても、やはりこの馬も「本気度」が高いとは言えない。残る3頭のうち、スルーセブンシーズは非GI馬ではあるが、今年イクイノックスを一番苦しめた馬であり、当代最高の中山巧者。今回は唯一のノーザンファーム天栄調整馬でもある。軽視はできない。ゆえに本命は、この馬とジャスティンパレスとタスティエーラの中から選びたい。ノーザンファームからの刺客の本命は、この3頭の中にいるはずだ。

 

 最後にレースの内容面から一言いっておきたい。有馬記念を勝つうえで最も重要な要素は、3~4角で加速できて、位置取りを上げることのできる機動力にあると思っている。中山芝2500mは直線が短いがゆえに、3~4角で加速しながらポジションを上げることができる機動力を持っている馬に有利なのである。ノーザンファームが無双状態を始めた直近の5年でいえば、2022年の①着イクイノックスと②着のボルドグフーシュ、2021年①着のエフフォーリア、2020年の①着のクロノジェネシスと②着のサラキア、2019年②着のサートゥルナーリア、2018年①着のブラストワンピースと②着のレイデオロは、いずれもこのタイプの差し馬だった。中山の重賞としては異例だが、インで脚を溜めて、直線で外に出して連対を果たした馬は、過去5年ではリスグラシューとディープボンドの2頭しかいないのだ。やはり、狙うのはインでうまく立ち回ることができる馬よりも、3~4角で脚を使える機動力タイプの方だろう。今年のノーザンファームの有力馬について言えば、スルーセブンシーズ(中山牝馬S)とタスティエーラ(皐月賞)は、すでに実際に中山の3~4角で機動力を発揮した実績がある馬。その点で、この2頭はジャスティンパレスを一歩リードしていると言えるだろう。

 

 ノーザンファームの「使い分け戦略」が確立し、無双状態が顕著となった2018年以降、ノーザンファームの有馬記念勝ち馬は次の2つのタイプしかいない。

2018 ブラストワンピース (3歳馬)

2019 リスグラシュー (同年の宝塚記念優勝馬)

2020 クロノジェネシス (同年の宝塚記念優勝馬)

2021 エフフォーリア (3歳馬)

2022 イクイノックス (3歳馬)

 

 今年の宝塚記念で、直線で大きな不利を受けながら、最強馬イクイノックスに肉薄し、宝塚の準優勝馬と考えてもいいスルーセブンシーズか、3歳馬有利の流れから浮上するタスティエーラか、勝つのはこの2頭のどちらかだと予想する。

 

 本命は◎タスティエーラとした。このレースのためだけに、ノーザンファームと堀調教師がムーア騎手を呼び寄せたのだから、ノーザンファーム生産馬の中でも、この馬の「本気度」がNO.1 だろう。前述のとおり、この馬はダービー馬ではあるが、中山の3~4角で機動力を発揮できるという異能のダービー馬。今年の皐月賞は、もし5F58.5の超Hペースにならなかったら、勝ったのはソールオリエンスではなく、タスティエーラだったハズ。2023年の有馬記念を勝つのに最もふさわしい馬は◎タスティエーラだ。相手本線は中山の鬼であり、有馬の鬼が騎乗する〇スルーセブンシーズ!調教の素晴らしい動きを見る限り、この馬が勝っても何ら驚けない。8枠15番は大きなハンデではあるが、近年の有馬記念は3~4角がタテ長になりにくいので、3~4角で持ち前の機動力を発揮し、直線まで脚を溜めに溜めれば、先行粘り込みを図るタスティエーラを捕まえるシーンがあったとしても驚けない。この馬が対抗だ。3番手は末脚の破壊力が魅力の▲ジャスティンパレス。もともとステイヤーと見られていたのに、イクイノックスが圧勝した高速決着の天皇賞秋で素晴らしい末脚を見せて②着。あのパフォーマンスは同じステイヤーのフィエールマンを彷彿させるもの。そのフィエールマンは天皇賞秋②着の後、有馬でも③着したように、中距離のスピード決着にも対応能力を示した今のジャスティンパレスなら、有馬記念でも好走は可能なはずだ。以下は押さえの評価になるが、△ライラック、△スターズオンアース、△ソールオリエンスまで。大穴に狙ってみたいのはライラックだ。府中牝馬Sの勝ち馬は、去年の④着であっと言わせかけたイズジョーノキセキのほかにも、クイーンズリング、サラキアなど、あっと驚く好走の可能性があり、侮れない。

 

 

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