2018 函館二歳S(スピードとスタミナのバランス:その2) | 競馬解読教室

競馬解読教室

競馬を解読する
GIを中心に予想します。今週はマイラーズCです!

函館二歳Sというレースは、他の芝1200mの重賞戦同様、必ず、前半の3Fの方が後半3Fよりも速くなる。そもそも中央競馬の芝1200m戦では、新馬戦を除けば、余程のことがない限り後半3Fの方が時計がかかる(注:これを「前傾ラップ」と定義する。)。例えば、昨年の函館二歳Sの勝ち時計は1100だったが、前後半3F34.535.5であり、後半の3Fの方が1.0秒も時計がかかった。後半上がり3Fの内訳は、11.611.612.3であり、御覧のとおり、ゴールに向かうほど時計がかかるような競馬であった。函館二歳Sに限らず、中央競馬の芝1200mは、前半が極端なSペースにでもならない限り、だいたいこういうラップ構成になるのがフツーである。ここで「こういうラップ構成」とは、「ラップはゴール板に向かって減速(11.612.3)する。」という意味である。しかるに、過去数十年間行われてきた函館芝1200mの二歳戦の中で、前傾ラップにもかかわらず、ゴール前の最後の1Fでラップが加速したレースが二つだけある。当方の調査が完全ではなく、もしかしたら未だ他にも該当レースがあるかもしれないが、少なくとも、そういうレースが「2レース」は存在する。その2レースとは次のとおりである。

 

2011713日(新馬戦) 勝ち馬:ファインチョイス

1:10:3 前後3F34.236.112.1-12.1-11.9

 

201771日(未勝利戦) 勝ち馬:カシアス

1:09:4 前後3F34.435.011.8-11.8-11.4

 

ファインチョイスの上がり3F36秒台であり、カシアスの上がり3F35秒台だが、時計自体はその年の馬場状態によるところが大きいので、気にしなくていい。むしろ注目すべきは「前傾ラップにもかかわらず、ゴール前1Fでラップが加速している。」という点である。実際に過去のレースの映像を御覧になれる方は見ていただきたいのだが、二頭とも、ゴール前1Fで後続馬を突き離し、着差を広げていることが分かる。何が言いたいのかというと、冒頭でレースを勝つための条件(高低差の大きなタフなコースに対応できるスタミナと、最近の先行馬有利の馬場傾向に対応できるスピードをバランスよく持っている必要がある。)を示したが、前傾ラップの芝1200m戦で、上がり3Fでラップが加速するようなレースを勝てるような適性を持った馬は、かかる条件を満たすことができるということ。それはファインチョイスと、カシアスが函館二歳Sを優勝しているという事実が証明している。函館二歳Sの長い歴史の中で、本番の前にこのような適性を示していた馬はたった二頭しかおらず、その二頭ともに函館二歳Sを勝っているのだから、異論はないであろう。そしてこれこそが、実は、カシアスが「未勝利組」出身の「スピードタイプ」であったにも関わらず、函館二歳Sを勝てた理由でもあるのだ。今後このようなタイプが函館二歳Sに出走してきたら、間違いなく、「買い!」である。