糞虫といえばフンコロガシ、そしてセンチコガネにニジダイコク…この辺りを結構紹介してきましたが、大ボスとも言うべきものがおります。
ナンバンダイコクコガネ Heliocopris です。


世界に50種が知られ、その体長は最大種のH. dominusでは70ミリに達します。
これまでにも少しずつ紹介してきましたが、現時点では21種が集まりました。しかし珍品も多く、来てもあと1,2種でしょう。
そんなナンバンダイコクコガネについて、今回から数回に分けて手持ちの標本を少しばかりまとめます。


 ナンバンダイコクのグループ分け

ご紹介する情報は、TAITA社から出版されている図説『ナンバンダイコクコガネ属のモノグラフ』に基づきます。
本書で知りましたが、ナンバンダイコクは便宜上いくつかのグループに分けられるようです。
この本では、2013年、2017年にそれぞれ記載されたH. werneriとH. smithi以外の全48種が標本写真(一部写真なし)とともに解説されています。
今回はギガスナンバンダイコクのグループと、1種だけグループに振られていないタイラヌス H. tyrannus をご紹介します。

ギガス・グループ(gigas group)

本属最大種のH. dominusはギガスグループ(gigas group)と呼ばれるグループに分類されます。
H. gigasに代表されるように胸部背面から板状の突起が1本出るほか、側面からも1対突起が出るのが特徴的です。
頭角は左右から上方向に伸びます。H.dominusでは大型個体でも頭角はあまり長くならず、短い突起が左右1対ずつ見られます。
また前胸前面にはオレンジ色の剛毛が生えており、これも本グループの特徴の1つと言えます。


ギガスナンバンダイコクコガネ
H. gigas
ギガスとは名が付くものの、ナンバンダイコクの中では特大種とは言えません。次のアンダーソンの方が大きくなります。
タイプ産地はエジプトとのことですが、分類は混迷を極めているとか、いないとか…
極稀に生き虫での入荷もあります。そちらも確か、エジプト産でした。


アンダーソンナンバンダイコクコガネ
H. andersoni
恐らく、ナンバンダイコク一番人気は本種でしょう。
ギガスの亜種とする研究者もいるそうですが、独立種とする説が主流です。
頭角はギガスよりも発達し、左右の頭角の間は大きくくぼみます。


上記2種はアフリカのナンバンダイコクですが、オウサマナンバンダイコクはタイ等アジア圏に分布します。


オウサマナンバンダイコクコガネ
H. dominus
この個体で66.5ミリほど。最大70ミリに達する本属における最大種です。
アジアゾウ等、大型哺乳類の糞に集まるそうです。
ナンバンダイコクの仲間は巣穴を掘って糞の下に住まっていますが、そこに水を流すと穴から出てくるそうです。水攻め…なんとも可哀想な採集方ですが笑



■テイオウナンバンダイコク(分類無し)



テイオウナンバンダイコクコガネ
H. tyrannus

マレー半島〜インドネシアに分布します。
先のギガスグループの種とは違い、前胸前面は毛が無くツルンとしています。また、全身艶消しの黒色という体本属ではも特徴的です。
本種も60ミリを超える大型種ですが、頭角も胸角もあまり発達しません。
現地では、アジアゾウが生息するような原生林で見られるそうです。



さて、恐らく4回ほどでまとめられると思いますが、実は今新たに2種頼んでいまして…
少し期間を開けながらやっていきます。