王維詩「送祕書晁監還日本國」
唐代の詩人、王維がその友人阿倍仲麻呂帰国の際に送った古体詩と言われています。
その前半部を書きました。
今でこそお隣の国、中国ですが、唐代の当時、日本からも中国からもお互いは遠い遠い海の果てにある国でした。 遣唐使で19歳のとき入唐した阿倍仲麻呂も、帰国は叶わず、72歳で没するまでとうとう祖国日本の地を踏むことはできませんでした。 天才の誉れ高く、唐において科挙に合格し玄宗に仕えた阿倍仲麻呂。互いの国の威信をかけた中にもった詩人王維と阿倍仲麻呂の友情。
壮大な歴史のロマンを持つこの詩に、書の古典をかけ合せることを試みる。
現代的ロマンチシズムと古典との融合。
まだまだ、私自身の今後の課題が多く残った作でした。
古典への勝手な解釈、悪い手癖。叙情に流され単体への配慮に欠ける。抵抗感の少なさ。字粒の大きさに対して放射の少ない文字。浅く、若書きで渋りのない線。
いってしまえばまだまだ繁雑です。反省するばかり。
「筆を持っている」「書をやっている」「展覧会に出品している」「10年、20年」
そんな程度では、まったく、「あそび」の域を出ない。痛感した展示でした。
これを機に、もう一歩の幅をひろげられればと思う。
釈文
積水不可極 安知滄海東 九州何處遠 萬里若乗空 向国惟看日 帰帆但信風
現代語訳 ※引用
「大海原の水はどこまで続くのか、見極めようが無い。
その東の果てがどうなっているのか、どうして知れるだろう。
わが国の外にあるという九つの世界のうち、
最も遠い世界、それが君の故郷、日本だ。
万里もの道のりは、さながら空を旅してるようなものだろう。
ただ太陽の運行と風向きに任せて進んでいくほかはないだろう。」