コーディネートは着物から?
それとも帯から?

母は
着物を誂える時それに合わせて帯も購入するといった具合に
鉄壁のコーディネートを用意していたものだった。
それともいうのも
お出かけ着には
茶会や上司の奥さま方との会食など
格式の必要な気の張る場面が多かったからだろう。


けいあゆの着物生活は

六十代を前に
洋服のおしゃれに倦んで
欲しい服、着たい服がない、
という甚だ不健康な状態に陥っていた時に

親友Mに触発されて始まったもので

それはもう
百冊以上の着物参考書を読んで猛勉し
着物でも帯でも小物でも…
イイと言われるものを片っ端から手に入れて

今思えば
ずいぶん無駄な授業料も払ったのだが、

おかげで
似合うものも分かって
自分らしいコーディネートも楽しめるようになったのだった。



そんなけいあゆの
着物コーディネートは
母よりは遥かに勝手気まま、

小紋の着尺で羽織を仕立てて
羽裏にエルメスのスカーフを使ったり

着物でもイヤリングは欠かさない
といった具合だ。


上差しこの記事で締めている袋帯は
母が遺したものの中で一番のお気に入りで
それを生かしたくて黒地の江戸小紋を合わせている。


その江戸小紋は

着物始めの頃仕立ててもらって

帯の引き立て役として多用している一枚。





実は仲間たちとの新年会

この着物を着ようと思って

吊るしてシワを取っていたものだが、



何しろ許容範囲の広い着物、

合わせる帯もいろいろあって


才勝精秀さんの雪持ち椿の塩瀬帯とか






今はなき銀座ちた和の銀の椿の塩瀬帯とか





春先取りの水仙の縮緬帯とか、






…迷いは深くなるばかり。



それともいうのも骨折のせいで

通算三ヶ月ほど着物から離れていたせいで


明日の一枚に

再生の喜びを込めたい…

つまり

ひとり快気祝いの気持ちがあるからだ。



ならば、と

しばらく眠っていた

宝尽くしの小紋を

取り出してみた。

宝尽くしは

正月(睦月)限定、

あるいは祝い事限定のめでたい柄だ。




そう思ってみると

ライトグレーの地色が

いかにもウメハルらしく思える。


合わせる帯は迷わずこの一本。


格天井にとりどりの花を織り出した袋帯。

祖母や母の好きな白梅もある。




地色が黒っぽい曖昧色なのもいい。

それに

中心には我が家(実家)の家紋である花菱が織りこまれている。




というわけで

今日になってコーディネートも決まったので


あとは自分のケア。


頭(かしら)の雪を追い払いに行く。


新年会の幹事役のM始め女友だちが

私の脚の具合を心配してくれている。


「もちろん出席」とLINE。



このところの自主リハビリの甲斐あってか

脚の調子は概ね良好。


深夜から朝方に

脚の重だるさに悩まされることはあっても

動き出せばそれも解消する。


というわけで

本日も美容室まではバスで往復。


バス停までは徒歩だが

敢えてリハビリウォーキングと

バス停一つ分歩いてみたりもした。


冷たい風のふく街だが

ヒートテックを着込んで

遺憾ながらフラットシューズで行く。






今は

3,000歩ほどで

疲れを残さないのがいいようだ。


ヘアマニュキュアで

老いを退(しぞ)けて


今回はトリートメントも念入りに。






もちろん着物を着る時は

髪はアップにして

昨夏孫からプレゼントされた簪を挿したい。



お支度着々と整い

目下の悩みは

三ヶ月ぶりのアルコールの問題。


ちなみに医師からは

もうキズも完全に癒えているからアルコール解禁、

リハビリの医師からは

アルコールで血行がよくなると不具合の箇所が痛み出すこともある、


などと言われている。


まことに悩ましい。



これが現在の"麗しきキズ跡"とその中身だ。

折れた骨はほぼ再生している。