●参加まで
「時間があいたからボランティアに行ってこようかな~」
と思い立ったのが、7月の頭。
そこからあちこちで手頃なツアーがないかを探したところ、Facebookで見つけたのが Fukushima Kizuna Project (以下FKP)という団体のイベントでした。
日程は、7月6日(土)6:30集合、10日(日)20:00解散予定。
場所は、福島県いわき市。
活動内容は、お掃除と若者主催のイベントのお手伝い。
これまで行った2回はどちらも石巻だったので、福島県というのが新鮮でした。
さらに、行き帰りの足はもちろん宿泊場所と現地での食事をむこうで用意してくれ、長靴や手袋などもある程度なら貸してくれるという、至れり尽くせりの好条件。
最初にボランティアツアーに参加したとき、テントから寝袋、滞在期間中のすべての食料と水まですべてザックで担いで行ったのにくらべると、夢のようなお手軽さです。
参加費8,000円はこれまで参加したNGOのツアーにくらべれば少し高いのですが、この内容ならお釣りが来るというものでしょう。
書き込みを読むとNGOでもなんでもない個人の集まりのようですが、怪しい団体ではなさそうです。
前にボランティアで一緒だった人も参加するようですし、「まあ変な団体だったらそれはそれで話のネタにはなるだろうw」と考え、申し込みました。
●出発
そして当日。
前の晩に友達と飲んでいたため、寝不足気味のまま渋谷の109前に向かいました。
待っていたのはマイクロバス。
あとで聞くと、テレビなんかのロケバスに使われている車だそうで、知り合いの伝手で協力をお願いしたところ、運転手付きで貸してもらえることになったとか。
出発後、向こうでやることの簡単な説明と自己紹介タイム。
ちなみに今回行く久ノ浜と四ツ倉という場所がどの辺にあるのか一切下調べしてなかったため、福島の原発から約30kmと意外に近いことをこの時にはじめて知りました。
東京を出るときに少し渋滞に巻き込まれたものの、バスは問題なく進み、10:00頃福島のいわき市に到着しました。
約3時間で現地に着くというのは、宮城県の被災地にくらべるとかなり近いですね。
イベントの手伝いをする女チームを、会場となっている四ツ倉の道の駅で下車。
一方、瓦礫掃除を担当する男チームは、久ノ浜の諏訪神社という神社で車を降りました。
地元の人たちで結成された「北いわき再生発展プロジェクトチーム 」という団体の代表を、この諏訪神社の跡継ぎである高木優美さんが務めており、その関係から神社の境内や社務所を活動の拠点として利用しているということです。
ゴム手袋や長靴を持っていない人はここで借りられる上に、たくさんの飲み水まできちんと用意されていました。感謝。
●町の様子
3階建ての立派な社務所で作業服に着替えた我々は、道具を持ってテクテクと現場に向かいました。
海から100mほどしか離れていないこともあって、辺りにはいくつもの半壊、全壊した建物が並び、完全に更地となっている場所も少なくありません。
立っている建物もその多くが屋内を水によって破壊しつくされ、片付けたところで住めむことは難しいように思えました。
あとで聞いたところによると、津波は最高で1.6m程の高さまで達し、水が引いた後に火が出たところもあったそうです。
途中で見かけたスーパーも、建物自体は立派に立っていたが正面のガラス部分はすべてなくなり、中もそのほとんどが流されていました。
またある家の壁には、おそらく住んでいた人が記したのであろう『片寄家 築百年 長い間ありがとう』という文字が書かれていました。
家に帰ってからグーグルアースで見ると、こんな感じでした。
赤丸で囲んだ場所が、諏訪神社です。(※クリックで拡大)
右上の更地が続くあたりは、火事が出たのだと思います。
●瓦礫掃除
1件目の現場は、地震と津波で半壊しすでに解体が決まっているお宅で、屋内に残っている家具や荷物、畳、建具などを運び出しました。
これまで被災地で瓦礫の撤去や掃除をしてきましたが、それらはキレイにして使えるようにするための片付け作業でした。
しかし今回は解体のための作業。
最終的には新しく家などを建てることにつながるのでしょうが、壊すためにキレイにするというのがなんともさびしく感じられました。
所詮、外の人間の感傷でしかないのですが。
片付けは、その家の所有者のご夫婦、北いわき再生発展PT、そして我々FKP軍団の総勢20名ほどで行いました。
家の中から泥まみれの家具や布団などを次々と運び出し、大きなものは庭に並べ、小さなものは袋に分別してまとめていきます。
腐敗してあちこちに穴の開いた床、ありえない角度で床に刺さった冷蔵庫、そこいら中に散らばるガラス片など、津波の恐ろしさが伝わってくる凄惨な現場にも関わらず、現場の雰囲気は明るかったですね。
誰もがテンションが高く、時には笑いながらモノを運び出し続けていました。
かといって決して不まじめなわけではなく、手を抜いたりサボろうとしたりする人は、いなかったように思います。
昼ごはんはイベント会場に移動し、プロレスラーのハヤブサさんによる炊き出しのハヤシライスを食べました。
なかなか美味しかったです。
午後も同じ家に戻って片付け再開。
ほとんどのものを外に出し終わった後、この後解体するから本来必要ないのですが、せっかくだから最後までキレイにしようと床に積もっているドロも掃除しました。
ひたすらドロを集め、スコップで土嚢に詰め、庭に運び出します。
そのおかげで作業が終わったときは、最初とはくらべものにならないほどキレイになりました。
作業としてはあまり意味はないのかもしれませんが、少しでも所有者のご夫婦が喜んでくれたようなので良かったと思います。
その後、まだ時間があったので別の作業現場に行ってもうひと働き。
そこはそこで、腐った食べ物と小バエが詰まった冷蔵庫をテープでぐるぐる巻きにして封印をしたり、菅野美穂の写真集が出てきてみんなのテンションが上がったりと、なかなかやりがいのある現場でした。
●風呂と宴会
16:00頃にその日の作業は終了。
全員でバスに乗り込み、かんぽの宿へ向かいました。
以前はボランティアであれば無料で入浴させてもらえたようだが、今は500円かかるとか。
まあ、仕方ないですね。
風呂でお湯を浴びたとき、はじめて顔にひどい日焼けをしていることに気がつきました。
炎天下の中、日焼け止めも塗らずに作業していたのだから仕方のないのですが、まさか熱いお湯を浴びれないほどに焼けるとは。
長袖長ズボンにゴム手袋をしていたから他の部分はまったく平気なのだが、とにかく顔がヒリヒリと痛い。
太陽さまを舐めすぎていました……
入浴から上がったら、待ちに待った晩ご飯。
かんぽの宿の大宴会場に行くと、豪華な食事が運び込まれてきました。
しかもビール付き!
ボランティアに来て、まさかこんな宴会状態になるとは思ってもいませんでした。
風呂の後にビールだなんて、素晴らしすぎる!
宴会のとき、このイベントの主催者さんとはじめてゆっくり話をすることができましたが、
「カチッとしているボランティア団体もあれば、うちみたいにゆるーいところもあっていいんじゃないかな」
ということを言っていたのが印象的でした。
某NGO団体の災害ボランティアに参加したときに「あそこ軍隊方式にはついていけねえ!」とキレていた人もいましたが、そういう人はこのFKPみたいなグループが向いているのかもしれないですね。
もちろんどちらが良い悪いという話ではありませんが、ただこちらのグループに参加している人達のほうが楽しそうだな、という感じはしました。
単純に宴会があったせいかもしれませんがw
●宿泊場所へ
晩ご飯の後は、2グループに分かれて宿泊場所へ。
僕は、最初に着替えをした諏訪神社に泊まるグループに入りました。
社務所に戻ってきたら、宴会の第二弾がスタート。
といっても騒ぐわけではなく、高木さんや北いわき再生発展PTのメンバーさんを中心に、静かに話を聞くというものです。
震災当日の壮絶な様子やその後なかなか支援の手が伸びてこなかったこと、北いわき再生発展PTの活動にあたっての苦労など、被災した当事者しか知りえないような話を丁寧に語ってくれました。
そうした話を聞けただけでも、福島まで泊りがけで行ったかいがあったと思います。
ちなみに、高木さんが全国の神主さんが集まる研修会で今の彼女と出会った話、業界のタブーとも言える神主の跡継ぎ同士の結婚をいかに実現したか、そしてその彼女がとても綺麗な人で8月に結婚式を控えている、といった話もすごく盛り上がりましたw
●2日目開始
朝7:00起床。
オニギリで朝食を済ませ、本日の作業に。
この日も基本は男が瓦礫掃除チーム、女がイベント手伝いチームに分かれて活動することになっていましたが、せっかくだからイベントの方ものぞいてみたいと希望し、午前中だけそちらに混ぜてもらうことに。
男チームからの「裏切り者!」的な目は気にしないことにします。
●イベント準備
イベントでは、地域の農作物や特産品の販売、ステージ、被災者さんを対象とした衣類や日用品の配布、マッサージ、子供の工作教室、などが行われていました。
FKPのメンバーが担当したのは、衣類や日用品の配布とその受付。
全国から送られてきた衣類や日用品などの物資をフリーマーケットのようにならべ、地元の被災した方たちに持って行ってもらおうというものです。
僕がいたのは紳士服と子供服、おもちゃを配布するテント。
地元のスタッフと一緒に、ダンボールの中身をテーブルに並べ、載り切らないものはダンボールのまま見やすいように配置しました。
●地震と津波警報
そうして地元の方達がポツポツとやってきて受付に10人くらいの列ができ始めたとき、地震がやってきました。
僕自身は作業していた揺れに全く気がつきませんでしたが、震度3くらいはあったとか。
あたりに津波警報の放送が鳴り響き、あたりは騒然とした雰囲気に!
と思いましたが、よく見たら騒然としているのはイベントスタッフやFKPのメンバーばかりで、地元のおっちゃんおばちゃん達はいたって平然としてましたw
とはいえ、そのままイベントを続けるわけにもいかないので、並んでいた方たちには一旦引きとってもらい、自分たちも車で避難することに。
なかなか津波警報が解除されないのでやきもきさせられたものの、2時間ほどで警報は解除ました。
幸い、津波の被害はまったくなかったようです。
こんなことがあったからもう地元の人達はイベントに来ないんじゃないか、と心配しながら会場に戻ったところ、まったくの杞憂で、すでに多くの人が会場に集まっていました。
嬉しくなってバスから飛び降り、テントに向かって走りました。
●服の配布
最初の予定だと午後から瓦礫掃除チームに合流するつもりでしたが、午前中ほとんど何もできなかったことと、テントの撤収などでイベントの方も男手が足りないとのことから、今日は1日にイベント手伝いチームとして働くことにしました。
男チームからの「裏切り者!」的な目は気にしないことにします。
イベントには、子供連れの若い夫婦からおじいちゃんおばあちゃんまで、すごく多くの人が来てくれて、並べた紳士服や、子供服やおもちゃなどは次々にもらわれていきました。
●感謝
子供服をダンボールから補充していると、突然ひとりのおばちゃん「やっと見つけた!」と声をかけられました。
「あなた、昨日うちの片付けを手伝ってくれた方よね。本当にありがとうね」
聞くと、家の片付けを手伝ってくれた人にお礼を言いたくて、わざわざイベント会場に来てずっと探しまわってくれていたとのこと。
「ヒゲ生えていたから向こうの人と間違えちゃったわよ。聞いたら違うって言われちゃった(笑)」
おばちゃんは満面の笑みを浮かべながら、こちらが恐縮するほどお礼を言い続けていました。
正直あんまり覚えていなかったのですが、そういえば会ったような気もするし、なによりそんなに熱心にお礼を言われたことにうれしくなって、しばらくそのおばちゃんと話をしました。
そうしてひとしきり喋った後、やっぱり人違いだったということが判明w
ただ人違いであっても、あのおばちゃんにとって家の片付けを手伝ってもらったことが心から嬉しかったことに違いはないでしょう。
そして、昨日僕たちが片付けを手伝った家のご夫婦も、同じように喜んでくれてたと思います。
だったらまあ同じことかな、と素直におばちゃんのお礼を受け取っておくことにしました。
●撤収と帰宅
そんなこんなで、15:30頃から撤収開始。
残った物資をダンボールに詰め、テントをばらし、倉庫やトラックに運びこんでいきます。
すべての片付けが終わり、ガランとした駐車場を去るときは、祭りが終わった後のような一抹の寂しさを感じましたた。
神社に戻り瓦礫掃除チームと合流。
着替えを済ませ、みんなで写真をとった後、久ノ浜を後にしました。
そして20:00頃東京着。
バスを降りた途端にむっとした暑さを感じ、やっぱり福島の方が涼しかったんだな、と感じました。
●最後に
今回のボランティアでは、地元の人達と話したり一緒に作業したりすることが多かったのが良かったです。
これまで2回参加したボランティアでは、ピースボートや日本財団といった、現地で作業を続けるボランティアの人達と一緒になることはあっても、地元の人達と話す機会はほとんどありませんでした。
それが今回は、北いわき再生発展PTの人たちと一緒に作業ができたばかりか、一緒に酒を飲んで語り合う時間までありました。
さらにイベントの手伝いでは、ゆっくりと話をする時間はなかったものの、多くの地元の人達と接することができました。
この違いはすごく大きかったし、いろんなことを学ぶことができました。
北いわき再生発展PTは、県外からやってくるボランティアに対してすごく良い“場”を用意してくれていると思います。
ひとつは活動の拠点としての“場”。
ここはボランティア目的であれば、基本的にいつ行っても泊めてくれ、作業をされてもらえます。
こういう場所があるだけで、ボランティア活動はものすごくやりやすくなります。
もうひとつはもっと精神的な意味で、いつ行っても仲間として受け入れてくれる“場”にもなっています。
地元の外からやってきた設立メンバーの一人が、
「俺はボランティアをやっているつもりはない。ただ、仲良くなった友達が困っているから助けているだけ」
と言っていましたが、その感覚はすごくわかります。
そう思わせてくれる雰囲気が、北いわき再生発展PTにはある。
他の人がどう思うのかはわからないが、少なくとも僕はそう思います。
次回、8月27~28日にも同様のイベントが予定 されています。
予定が合えば、行きたいところです。
<参考LINK>
北いわき再生発展プロジェクトチーム
Fukusima Kizuna Project (Facebook)
今回のイベント
FKP@久ノ浜~四ツ倉 / お掃除&道の駅イベント応援見学 (Facebook)
次回のイベント
FKP@久ノ浜 / 花火イベントのお手伝い&瓦礫のお掃除 (Facebook)
























