ただでさえ長くなりがちなこの試合レポートですが…なんと、今日は3本立てです。
そんなわけで、前半と後半に分けてお伝えします




【NWSL(米プロリーグ)11節 シアトルレイン vs ボストンブレイカーズ】



川澄奈穂美選手と宇津木瑠美選手が所属するシアトルレインの試合が、11時(現地時間19時)にキックオフ⚽️


残念ながら現地には行っていませんが、youtubeで90分間ライブでチェックしました(試合後も、90分間見られます)。


※まだご覧になっていない方はこちらから
https://m.youtube.com/watch?v=OsOfa7BxvUY

まず、試合映像のクオリティの高さに驚きました。2014シーズンも見ていましたが、当時よりもカメラ台数が多くなったのか、様々なアングルから試合の迫力を伝えてくれます。これも、アメリカのカナダW杯優勝効果のひとつと言えるかも(予算増額)?
スタンドにはたくさん、子供たちの姿が映っていました。

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(YouTubeより)

背番号「36」川澄選手はメンバー入りし、なんとスタメン&フル出場。2ゴールを挙げて、プレイヤーオブザマッチに選ばれる大活躍でした。
渡米後4日とは思えない躍動ぶりでしたね。

ここまで10試合を終えて、シアトルは3勝3分4分で7位。4位までがプレイオフに(そのうち2チームがチャンピオンシップに)出場できるため、上位との勝ち点差を確実に縮めるためにも勝利が必要な一戦。

ブルーのユニフォームに身を包んだ川澄選手は、4-3-3の右FWとして出場。

左サイドのBEVERLY、中央のKIM LITTLE選手との相性の良さも見え、縦の関係でオーバーラップする味方の動きを待って切れ込んだり、相手の裏を狙ったクロスを上げるなど前半から積極的なプレーが光りました。左サイドのCKやFKではキッカーも。


1点目は前半14分。
右サイドで相手陣内からドリブルを開始。30mぐらい運ぶと、右サイドをオーバーラップしたMANON MELIS選手にパス。MELIS選手の折り返しが相手DFの脚に当たり(クリア)、中央にこぼれたボールに走り込んだ川澄選手が左足で流し込み、先制!⚽️
「Welcome back to Seattle reign Naho!(ナホ、おかえり!)」
と、実況も興奮気味。



44分には中盤に切れ込んだBEVERLY選手が右サイドの川澄選手に展開。すかさずクロスをあげると、PA内のKIM選手がヘディングで合わせたボールがポストに弾かれる場面も。


2点目は62分。

オフサイドギリギリの高い位置をとり、KEELIN選手のロングボールをPA右前で受けた川澄選手。右サイドをオーバーラップしたELLI REED選手を囮にして中央に切れ込むと、少し前に出ていたGKのポジショニングのミスを見逃さず、左足でループ気味のシュート。

これがGKの上を抜いてゴール中央ネットを揺らし、2-0⚽️

その後もシアトルは相手ゴールを脅かす場面を何度か作ったものの、試合はこのまま終了。

2-0とシアトルが勝利し、川澄選手はPlayer of the matchに選ばれていました。

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(YouTubeより)


前線で上下を繰り返し、持ち前の運動量も生かして90分間躍動していましたねアップ

youtubeでは、NWLSのすべての試合が見られるようで、アメリカ代表選手のプレーも見られて得した気分です。

移籍初戦で大きなインパクトを残した川澄選手。
次戦も楽しみですねアップアップ





【U-15なでしこアカデミーカップWEST第8節  INAC神戸U-15 vs セレッソ大阪堺】


神戸総合公園ユニバー記念競技場でINAC神戸レオネッサ vs 日テレ・ベレーザの大一番を取材に。

試合は17時からなので、10時から行われた15歳以下の「U-15なでしこアカデミーカップ」も見に行きました。


この大会の参加チームにはいくつかの規定があり、

「なでしこリーグとチャレンジリーグ所属チームの下部組織であること」
「2001年4月2日以降に生まれた選手であること」
「先発メンバー11名には中学生を最低6名以上含まなければならない」
など。


WEST、EAST、CENTRALと3ブロックに分けられた各グループのうち、上位2チームが決勝トーナメントに上がり、ノックアウト方式で優勝を争うレギュレーション。

決勝は10月15日、なでしこリーグ1部17節のジェフL vs 浦和Lの前座試合として行われます⚽️


この年代は夏に行われるU-15の選手権がありますが、その他に定期的(月1回ペース)で公式戦があることは、成長著しい選手たちにとっては貴重な機会ですね合格

WESTでは、ここまで3連勝中のINAC神戸U-15(I神戸U)とセレッソ大阪堺ガールズ(C大阪U)がしのぎを削っています。


試合時間は前後半30分間ずつの計60分間。
身体が大きい選手も多く、トップチームの選手よりも高さのある選手が結構いました。


トップのサッカーのスタイルを踏襲するように丁寧にボールをつなぐI神戸Uに対し、C大阪Uは縦への推進力が印象的なチーム。裏に抜けるスピードのある選手や、重戦車のようなドリブルをする選手が前線に揃っていました。

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主導権を握ったのはC大阪U。
前半14分に前線で繋いで、ゴール前で落ち着いて決めて先制。

その後は攻め急がずブロックを作るセレッソに対し、INACが攻める時間が増えます。しかし、I神戸Uはミスが多く、後半9分(39分)にはC大阪Uが右サイドから崩し、ファーサイドで合わせて追加点。2点を決めたセレッソはより守備に比重を置きゴール前を堅めますが、後半25分に、押し込んだところから決めてI神戸Uが1点を返します。

しかし、このまま試合は終了。
2-1でセレッソ大阪堺ガールズが上位対決を制しました


試合後にI神戸Uの指揮官、元INACのレジェンドプレイヤーでもある米津美和監督に話を聞きました。

ーー試合を振り返って
「圧力をかけてくる相手に失うことはあるけれど、奪い返した後にすぐに奪われるようだと流れに乗れないよ、と伝えて、1週間準備してきたんですけれど、上手く発揮できませんでした。
良い奪い方ができていないこともありますが、単純に、技術が足りないです。フリーでもパスミスをしてしまったり、慌ててつっかけてしまう。そういったところが今のチームの課題でもあります。(練習の中で)対面パスをやってもトラップが浮いたりパスがずれたりしてしまうので。セレッソはゴール前で身体を投げ出してきたけれど、うちはそこも足りなかったと思います」

ーーこの年代は、メンタル面から来る好不調の波もありますか?
「メンタルコントロールは一番難しいところです。練習の中で気分良くさせたり、怒るところはバシッと怒って締める。そこは意識しているんですが、緊張してしまうのはこちらがコントロールできないところです。一回緊張してしまうと、こちらが盛り上げても顔が固まったままだったり(笑)意気込みすぎて空回りしてしまうこともあるので。
ただ、私も結構緊張するタイプだったので、『気持ちは分かるよ』と言うんです。試合の前日は寝られなかったこともありますから。でも『緊張するのは準備が足りないから』と言われてきました。
今(指導者の立場から)は、普段の練習の中で自信を与えて、気持ちをほぐしてあげたいと思っています。
モチベーションが一番大事で、動機づけしてあげれば、いくらでも子供達は力を発揮するので。セレッソさんと対戦したりするとすごく気合が入るんです。
以前に比べてかなり成長したと思いますが、まだまだメンタル面はか弱いなぁと思いますね。今年の3年生は優しいんですよ。周囲に要求することができない」

ーー米津さんは気迫溢れるアタッカーでしたが、選手としては優しさが裏目に出てしまうという点も理解できますか?
「はい。ただ、サッカーに対して誠実で一生懸命なところは選手たちの良さでもあると思うので、消したくないなと。
その分、より洗練されたサッカーを目指そうと考えています。相手に身体をぶつけられる前に、ボールを技術ではたいて運んでいく。少ないタッチで相手のプレッシャーをはがしながらゴールを狙う形にトライしています」




ーーこの歳からプロを目指しているという選手がいると聞きました。
「はい、います。ただ、もっとそこ(プロ)を目指す選手が増えるクラブにならなければいけないと思っています。
最初は夢見て入団しても、段々現実が見えてきて、自分は無理かな…と逃げ道を作ってしまうこともあります。進路は個人の自由でもあるので、こちらはどうしようもないところでもあるんですが…でも、まだそのレベルということなので。
みんながチームに残りたい(上のカテゴリーに上がっていきたい)と思って、こちらが選ぶ、ぐらいのレベルにならないといけないなと。

今、アカデミーはセレクションなどを始めて4年が経ちました。今年の中学生は選りすぐって集めてきた選手たちでもあるので、充実してきていますし、全国大会にも出られるようになっています。次のステップに向けて取り組んでいきたいと思っています」



選手たちの成長に何が必要なのか、全力で考え、指導に当たっている米津監督。現役時代のスピード溢れる迫力あるプレーは今も印象に残っています。

好きな選手だったので、実は…取材というよりは、米津さんと話したかっただけなんですが(笑) 

試合に敗れ、厳しい言葉を重ねながらも、選手たちのことを考えると自然と優しい眼差しになってしまうところが米津さんらしい気がしました



リーグも今年から育成年代の強化を促進するような形式が導入され、試合数も増えていますし、各チームのアカデミーの動向にも引き続き注目していきたいと思います


 


 夕方からのリーグカップ INAC vs 日テレの試合レポートは、また後ほどアップします