なでしこリーグ10節 ベガルタ仙台レディース vs 岡山湯郷Belle@会津総合運動公園あいづ陸上競技場

会津若松で行われた一戦。

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代表メンバー発表翌日のリーグ戦ということもあるのでしょうか。

たくさんのお客さんがスタジアムに訪れていましたね。

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このスタジアムは、2013年にINACと湯郷ベルが試合をしたことがありますが、仙台Lは初開催。


ベガルタ仙台レディースには、福島第一原発事故の影響で活動を休部した東京電力女子サッカー部マリーゼから移った選手が在籍していますが、安本紗和子選手(元TEPCOマリーゼ)は

「福島で試合ができることは、私たち元マリーゼの選手にとっては年に一回ですけれど、とても嬉しいです。今まではいわきとかJヴィレッジで試合をしましたが、会津は初めてです。Jヴィレッジはまだ使えない状態ですけれど、東京オリンピックに向けて再開しようとしているので、試合をしたりサッカー教室をしたりして、少しでも助けることができたら嬉しいです。私たちのことをずっと、マリーゼ時代から応援してくださっているサポーターの方も来ていました。マリーゼ時代のユニフォームを来て応援してくださっている方もいるんですよ」

と試合後、嬉しそうに話していました。

私もマリーゼのアウェイの試合を取材に行ったことが何度かありますが、ホームのサポーターを凌ぐ数の熱いサポーターの応援が忘れられません


1巡目の対戦(2節)では、湯郷に2-1で敗れた仙台。選手たちは、この試合でのリベンジを誓っていたそうです。

メインスタンドから臨むバックスタンドの奥に、雪を被った山の尾根が美しく見えました。


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5勝1分3敗の3位で前半戦を折り返した仙台L。
代表に選ばれた川村優理選手と、初選出の佐々木繭選手に注目が集まります。


一方、湯郷の折り返しは3勝1分6敗の6位。
4連敗中で、なんとしても連敗を止めたい一戦でした。


【仙台L】

      有町紗央里   浜田遥  
    
中野真奈美              小野瞳
       川村優理 岸川奈津希

   佐々木繭  市瀬菜々  北原佳奈  坂井優紀

     ブリトニーキャメロン


2トップの一角には、浜田遥選手が入りました。





【岡山湯郷Belle】

   岸野早奈   松岡実希

作間琴莉           葛間理代

     宮間あや  乃一綾 
  
中島千尋 川野紗季 高橋佐智江 北浦美帆
       
       福元美穂

ケガ人が多く、なかなかメンバー構成の苦労も続く湯郷。得点力不足もさることながら、4試合で失点8と、失点癖を改善したいところですね…。




3分 仙台L 左サイドバックの佐々木選手からのロングフィードを受けた浜田選手がボールを収めたかに見えましたが、こぼしてしまいます。それをさらに湯郷がクリアミス。そのボールを浜田選手が拾ってそのままターンからシュート。

4分 仙台L 中盤で宮間選手からボールを奪った川村選手がドリブルで持ち上がり、左サイドを駆け上がった有町選手へラストパス。福元選手との1対1のシュートは、福元選手に当たってゴールならず。

11分 仙台L 湯郷がゴール前でごちゃごちゃしたところで、クリアミスを川村選手がそのまま叩いてミドルシュート。クリアミスを川村選手が抑えて枠に飛ばしますが、これは福元選手が難なくキャッチ。

13分 仙台L 右サイドから小野選手のクロス。中でニアに浜田選手、ファーに有町選手が詰めるものの合わず、さらにファーから走り込んで来た中野選手のシュートはサイドネットへ。

16分 仙台L 川村選手が右サイドで縦に送ると、受けた坂井選手がクロス。中には合わず、セカンドボールを拾った小野選手が再び右サイドからクロス。中で浜田選手が足を振りますが、シュートは枠の右外へ。

17分 湯郷 カウンターのチャンス。最後は岸の選手がループ気味のシュートを放ちますが、キャメロン選手が難なくキャッチ。ここも

28分 仙台L 左サイドからの中野選手のクロスを中で坂井選手がヘディングで合わせますが、ミートせず、バーの上へ。


前半は終始、仙台の一方的なペースでしたが、ゴールネットを揺らすことはできず。0-0で後半へ。


HT 湯郷 葛間理代→森迫あやめ


49分 仙台 右サイドで受けた小野選手が一人交わして、マイナス気味のクロスを送ると、中野選手が落として川村選手が左足で抑えたシュート。枠を捉えますが、福元選手が素晴らしい反応で弾き出します。

52分 仙台 50分の場面で得たCK。中野選手が蹴った高めのボールを川村選手がゴール前で触ってネットを揺らし、仙台が先制!1-0

55分 湯郷 ゴール前で作間選手が倒されて得たFK。キッカーは宮間選手。直線的にまったく無駄のない弧を描いたボールは、ゴール右上隅へ吸い込まれていきます。ブリトニー選手の身体能力を持ってしても届かない絶妙のコースでした 1-1

61分 仙台 有町選手がバイタルエリアで体を反転させながらシュート。GK福元選手の正面。

62分 仙台 浜田遥→井上綾香

仙台は、前線に井上選手が入ったことでボールの収まりどころができ、攻撃に人数をかけられるように。両サイドバックも上がってサイド攻撃を強めます。


70分 仙台 小野選手が落としたボールを井上選手がシュートフェイントを入れてシュート。タイミングはばっちりでしたがミートせず、シュートは枠の左へ。


71分 仙台 中盤でこぼれたボールを有町選手が持ち上がり、 左足に持ち替えてシュート!ファーサイドを狙ったボールは。福元選手の死角になっていたのでしょう。伸ばした手の先をかすめてゴール左隅へ。仙台が貴重な追加点 2-1


74分 湯郷 作間選手が左からクロス。中で宮間選手がヘディングで合わせますが、これはキャメロン選手がキャッチ。


79分 湯郷 岸野早奈→田中麻由

81分 仙台 右サイドのスローインを受けた井上選手が縦にドリブル。右サイドの角度のない位置からファーサイドを狙いますが、ゴールを横切って枠の外へ。

82分 仙台 小野瞳→安本紗和子

86分 仙台 バイタルエリアで奪った有町選手から、右サイドをオーバーラップした安本選手へ。安本選手のシュートは、枠の遥か上へ…

88分 仙台 ブリトニー選手のライナー性のロングフィード。鋭く正確な軌道を描いたボールはゴールにはつながりませんでしたが、スタンドを湧かせます。

87分 仙台 井上選手から裏に抜けた安本選手が、福元選手との1対1。右上にゴールが決まり、3-1!

89分 中野真奈美→嘉数飛鳥

90分 湯郷 ハーフウェーライン付近で得たFK。福元選手の蹴ったボールにゴール前で高橋選手が飛び込みますが、足に当てることはできず。

このまま試合終了。
ベガルタ仙台レディースは2連勝で、今季はホーム無敗。一方の湯郷ベルは5連敗となってしまいました。

前半はなかなかプレスにいくタイミングが噛み合わない湯郷に対し、ベガルタはある程度余裕を持ったパス回しができていました。ミスが重なったことから生まれたシュートシーンも多かったです。仙台Lは、特に右サイドの小野瞳選手、坂井優紀選手のラインから縦に突破してクロスという形が効果的でした。

ベガルタの千葉監督は、

「終始自分たちのペースで試合を進められたのは良かったです。ただ、前半多くのチャンスをひとつ決めきれていれば、もう少し早く決められるゲームだったと思います」(千葉監督)

流れがきている時間帯に決めることが、勝敗の分かれ目になることもありますね。

先制ゴールを決めた川村選手も反省点として上げていました。

「前半のチャンスを決めていかないと難しい試合になってしまうというのが反省点です。ゴール前はいけていてもボールを取りきれない。その中で自分たちで試合を難しくしてしまったので。前半取れるうちに決めないと行けないですし、相手が引いた時にどう打開するのかもっと共通意識を高めたいです。(先制ゴールについて)チャンスはあると思っていたし、大きい選手が多いので、セットプレーは自信を持って入って行けました」

福島県会津までは仙台から車で3時間半かかるそうですが、多くのサポーターが駆けつけていました。

「仙台でも福島でも毎回大勢のお客さんが足を運んでくれるので、サポーターの方達とこうして勝利を分かち合えることをすごく嬉しく思います」(川村選手)


勝ち越しゴールを決めた有町選手。中野真奈美選手とともに、湯郷出身で、古巣対決でした。

「湯郷の攻撃は宮間選手が起点だというのはみんな意識していることだったので、良いボールが出ないように、中盤と前線で役割分担をして抑えようと。
(勝ち越しゴールは)チャンスが何回もあった中でなかなか決めきれなかったので、ゴールが見えたら打とうと思っていました。2点目3点目は自分たちらしいサッカーから点が取れて楽しめてもらえたかなと思います」

「献身的に守備も頑張ってくれる」(千葉監督)という有町選手ですが、連携で崩すだけでなく、個人としてもシュート技術の高さを感じさせるゴールが多いですね。
これで、チーム最多の4ゴール目。

「先制点が取れるとチームの雰囲気も良くなるので、毎試合決められるように常に狙いたいですし、結果を残せる選手になりたいです」(有町選手)


そして、後半途中から約10分間の限られた出場時間の中で2度の決定機に絡み、3点目も決めた安本選手。

「いの(井上選手)が振り向いた瞬間に、私はもう裏に飛び出していました。出してくれると信じて走って、決められて良かったです」

と。最初の決定機を外してしまいましたが、直後に来たチャンスを決める切り換えの早さも光りましたね。


後半、宮間選手のFKで流れを引き寄せた湯郷。このゾーンは宮間選手なら確実に決めるだろう、と思える角度と距離でしっかり決める。芸術的なFKでした。
ただ、追加点のチャンスもあったものの、GKブリトニー選手の安定したセービングもあり、追加点はならず。
逆に失点を重ねてしまいました。


試合後、責任感の強い宮間選手の言葉はずしりと重かったです。

「連敗から脱出しようと、最低でも引き分けを目指して頑張りました。いろんなことが上手くいかない状態ではあると思いますが、下を向かずにやりたいです。自分たちが前を向いてプレーする時は良いシーンが作れていると思います。今はチャンスの時にも消極的な選択をしてしまうことが今は多いので、修正していきたい。仙台は2トップの連携も良いですし、川村選手や中野選手の展開力も素晴らしいので、それを(湯郷が)上手くコントロールできませんでした。サポーターの皆さんと勝利を分かち合えないのはすごく苦しいです」


失点の多さについては、以前から連携面だけでなく、個人のところで課題を挙げていた宮間選手。その課題は、一朝一夕で解消できる部分ではありませんね。

「現代サッカーにおいて、チャレンジ&カバーは当然のことで、それを覆すだけの身体能力は日本人にはなく、それは私たちのチームも同じです。特にポジショニングについては、もっと綿密にやっていかないといけないなと思います。徐々にリーグのレベルも上がっている中で、仙台のように攻撃のパターンを持っているチームに対して、一つ一つポジションを変えなければいけない。逆に、それが、守備の快感だと思うので、そこを追求していきたいと思います」(宮間選手)

攻撃時のポジショニング、守備時のポジショニング。数センチずれるだけでも、プレスがかからなくなってしまうことがありますね。
それはピッチで、実戦の中で得るものも大きいと思いますが、その問題点を理解して修正に取り組む宮間選手のピッチ外での役割も大きいのだと思います。

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今日はひたちなかに遠征中です