皇后杯準決勝2試合のレポートです。
※かなり長いのでご容赦くださいませG



かなり冷えこみましたが、天候は快晴青空


サッカー 天皇杯準決勝第1試合サッカー 天皇杯
INAC神戸レオネッサレオネッさ vs ベガルタ仙台レディースベガルタ仙台エンブ



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準々決勝では2ゴールで圧倒し、快勝を収めたINAC。
一方、ベガルタはPK戦の末に勝利を収め、このステージまで上がってきました。


両チームのスタメンは以下。


【INAC】

    高瀬愛実    大野忍
中島依美            川澄奈穂美
    伊藤美紀 澤穂希
  鮫島彩 田中明日菜 甲斐潤子 近賀ゆかり
       海堀あゆみ



【ベガルタ】

    有町紗央里  井上綾香
中野真奈美           嘉数飛鳥
     田原のぞみ 川村優理
 井出上麻子 千葉梢恵 山本りさ 坂井優紀
      ブリトニー・キャメロン



コンパクトに守り、細かくつなぐINACに対し、ベガルタは両サイドのスピードを生かし、縦に速い攻撃でスペースを狙います。

7分 ベガルタ 右のCKで、ショートコーナーから中野選手のクロスに有町選手がインサイドで合わせますが、ボールは浮いてしまい枠の上へ。

12分 INAC 中盤で澤選手のパスを受けた伊藤選手が4人に囲まれた中でシュートを狙いますが、ボールは枠の左へ。

22分 ベガルタ 中盤で人数をかけた攻撃。中野選手の落としを川村選手がミドルシュートで狙いますが、これは枠の左へ。

25分 INAC 甲斐選手のスルーパスに抜け出した大野選手がドリブルで持ち上がり、最後は高瀬選手が走り込みますが、ベガルタは身体を張ってクリア。

32分 ベガルタ 最終ラインからのパスを嘉数選手が狙い澄ましてパスカット。ゴール前の混戦からこぼれてきたボールを川村選手が強烈なミドルシュート!決まったかに思われましたが、海堀選手が横っ飛びで弾き、ボールはポストにはね返ります。素晴らしいシュートとスーパーセーブが同時に見られた場面でした。

39分 INAC CKを川澄選手が蹴り、ニアで高瀬選手がヘディングで後ろに逸らすと、左の大野選手がヘディングで押し込んでINACが先制!サッカーボール1-0


いつになく嬉しそうな表情で大野選手がガッツポーズを見せた理由は、このゴールに込められた多くの選手の思いを考えると分かる気がしました。

前節、2点を決めた高瀬選手が試合後に

「しのさん(大野選手)にゴールを取ってほしいという気持ちもあります。一番澤さんと長くやってきたからこそ、本人が一番取りたいと思っていると思いますから」

と話していた言葉が蘇ってきました。

その高瀬選手のアシストで大野選手が決めると、決めた大野選手は先ず一番にベンチに駆け寄りました。その大野選手を、伊藤(香)選手が自分のことのように大喜びで迎えて抱きしめます。
シーズンを通して、試合後のインタビューでは必ずと言って良いほど「出ていない選手の分も戦いたい」と話していた大野選手。

INACはこのゴールで、良い意味で硬さが抜けてのびのびと攻撃できるようになっていた気がします。

41分 INAC 川澄選手から、オーバーラップした近賀選手へ、裏への長いスルーパスが通り、近賀選手のクロスを高瀬選手がボレーシュート!完璧に崩した形でしたが、これはオフサイドの判定。

49分 INAC 相手ゴール前で高瀬選手がボールを奪い、大野選手へ。大野選手がスルーしたところで伊藤選手がシュートを放ちますが、DFに当たってゴールならず。
50分 ベガルタ ショートカウンターから、中野選手が自ら持ち込みシュートしますが、海堀選手が正面でがっちりキャッチ。

61分 右サイドの川澄選手と近賀選手で崩し、近賀状選手のマイナス気味のクロスを中島選手がファーサイドに流し込み、INACがリードを広げますサッカーボール2-0

終盤も一進一退の攻防が続き、点を取りに行ったベガルタはカウンターからいくつかのチャンスを作りましたが、ゴール前で人数をかけられず、決定機を生かすことができません。

64分 仙台 有町紗央里→小野瞳
67分 仙台 嘉数飛鳥→安本紗和子
74分 仙台 田原のぞみ→浜田遥
79分 INAC 大野忍→増矢理花

81分 仙台 右サイドからのクロスを中野選手が左足でボレーシュート!しかし、これは海堀選手ががっちりキャッチ。
82分 仙台 カウンターから井上選手が抜け出しドリブルで持ち込みますが、INACは3人で囲んで奪い返します。

85分 INAC 高瀬愛実→京川舞
京川選手は長いリハビリ期間を経て、久しぶりの復帰。

90分+add INAC ゴール前で川澄選手のスルーパスを増矢選手が絶妙の動き出しで受け、ループシュート!完璧なタイミングのシュートでしたが、ボールは左のポストをかすめてゴールならず。

ここで試合終了の笛。
結果は2-0でINACが完封勝利をおさめ、2年ぶりの決勝進出を決めました。


球際の激しさも準々決勝とはかなり違い、どちらも勝利への執念感じられました。そして、両チームともその思いが空回りすることなく、高いレベルでもしっかりと落ち着いて技術や戦術を発揮できる経験の厚みを感じさせました。

ベガルタは右の嘉数選手と井上選手のコンビネーションに有町選手が加わったトライアングルがよく機能していて、そこに後ろから川村選手や中野選手が絡んで来るなど、分厚い攻撃は今シーズンを通してどんどん磨きがかかっている印象さえありました。
キャプテンの嘉数選手がまとめ、試合の中では川村選手がリーダーシップを取り、ピッチの外でも、チームのとても良い雰囲気が伝わってきました。

ただ、今日はINACの守備への執念が上回った印象です。

INACは今シーズンの引退が決まっている澤選手のためにもなんとしても優勝で終えたいという気持ちがチームの一体感につながっている部分もありますね。
守備も攻撃も全力で、とにかく「出し切ろう」という思いが90分間のどこを切り取っても伝わってきました。

松田監督は、
「攻撃ではなかなかリズムは掴めなかったけれど、守備では全員の協力する意識やボールを奪うポイントが明確でした。全員の戦う意識がプレーの一つ一つに見て取れました」
と。
「全員が澤のことを思うだけでなく、横の繋がりも大事だと思っていますし、強い思いをうまく勝利に結びつけることも大事だと思っています。決勝は最高の花道を澤に、という強い思いは皆一緒だと思います」
とも話していました。


高瀬選手は

「リーグが終わってからの1ヶ月間、良い準備ができました。このチームで戦う最後の大会なので、必ず良い結果で終わりたいと話しています。(澤選手の引退が発表されて)みんなのモチベーションがまたぐっと上がりましたし、澤さんに相応しい形は優勝で終えることだと思います。全員で喜んで、澤さんの花道を作りたい。それは今までに感じたことがないほど強い思いです。澤さんはどんな時も100%で、手を抜かずにプレーする人なので、そこは絶対に私達が見習わなければいけないところですし、その難しさを同じ選手として知っているからこそ、偉大さを感じています。澤さんが見せてくれたものを引継いで行けるように、頑張りたいです」
とも話していました。


キャプテンの大野選手は、

「常に練習でも全力でやりきるということは、やろうと思うのは簡単かもしれないけれど、表現することは本当に難しいこと。若い選手たちにはギリギリまで澤さんのプレーを全力で吸収してほしい。それが自分たちにできる恩返しでもあります」と。

澤選手とダブルボランチを組む伊藤(美)選手にも、「澤さんとのダブルボランチを楽しんで」と伝えたそうです。

入団3年目でスタメンでも最年少の伊藤選手は、今季主力として定着。練習からボール回しなどでも積極的にベテラン組の中に入って吸収しようとする姿勢が印象的でした。U-23世代の合宿でもボランチで輝きを見せるなど、今後がとても楽しみな選手ですね!


今日の澤選手は、中盤で鋭い読みでボールを奪ったところからカウンターのチャンスにつなげる場面が何度もありましたね。豊富な運動量で、パスの潤滑油としても勝利を陰で支えていました。

泣いても笑っても、そのプレーが見られるのは27日の決勝戦がラストです。
日本女子サッカー界を支えたレジェンドのラストダンスをぜひスタジアムで堪能しましょう!


花花花花花


サッカー 天皇杯準決勝第2試合サッカー 天皇杯
日テレ・ベレーザ日テレ vs アルビレックス新潟レディース新潟



昨年皇后杯女王のベレーザは、今季はレギュラーシリーズとエキサイティングシリーズの両方でリーグを制し、盤石の強さを見せています。準々決勝も攻撃陣が爆発し、4ゴールを奪ってベスト4に進出してきました。

一方の新潟は、数年間をかけて熟成させてきた連携が熟成し、その中で個々がレベルアップしてチーム内競争が激化。
皇后杯は2011年度と2013年度の2度決勝進出があり、短期決戦を得意としている印象があります。
前節は攻撃の要である上尾野辺選手が華麗なテクニックで演出した2点目が印象的でした。
しかも、日テレに今季レギュラーシリーズで唯一黒星をつけたのが新潟ということもあり、因縁が漂います。

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スタメンは以下。

【ベレーザ】

    籾木結花  田中美南
上辻佑実            中里優
      阪口夢穂 原菜摘子
 有吉佐織 村松智子 岩清水梓 清水梨紗
      山下杏也加


【新潟】
      
       大石沙弥香
      上尾野辺めぐみ
山崎円美            佐伯彩
      山田頌子 阪口萌乃
 小島美玖 北原佳奈 中村楓 左山桃子
       福村香奈絵




2試合目は雨も降ってきてかなり冷え込みました雪だるま


しかし、試合は期待を裏切らない熱い展開にサッカーボール

ベレーザが細かいパスワークで繋ぎ、ボールを支配しますが、新潟もタイトな守備で寄せ、序盤はベレーザのリズムを作らせず。カウンターを狙います。


9分 新潟 上尾野辺選手が左サイドのタッチ際で、準々決勝の2ゴール目を彷彿させる華麗なテクニックで2人を交わしクロスを入れますが、味方には合わず。

10分 新潟 FKから、ゴール前でこぼれたボールに詰めたのは大石選手。
今季レギュラーシリーズの2試合でゴールを決めている「ベレーザキラー」でもある大石選手のゴールで新潟が先制サッカーボール1-0

22分 ベレーザ FKに村松選手が飛び込みますが、ボールが少し高く合わず。



33分 ベレーザ FKをゴール前で岩清水選手と中里選手がヘディングでつなぎ、田中選手が落としたところに再び中里選手が走り込み豪快に左足を振り抜いて決め、同点にサッカーボール1-1


このゴールでベレーザはより落ち着いてパスが回るように。
パスを出したら止まることなくどんどん抜けていき、あちこちにトライアングルができてパスが回ります。 


ベレーザ HT 清水梨紗→長谷川唯

59分 ベレーザ 上辻選手のFKからゴール前の混戦でこぼれたボールを村松選手がボレーシュートしますが、ゴール左へ。

60分 左サイドの原選手からのパスを中で受けた長谷川選手が反転からミドルシュート!これはGK正面。

61分 新潟 佐伯彩→渡辺彩香

85分 新潟 中盤で山田選手が奪って大石選手へ。大石選手が右の山崎選手に展開し、中へ絶妙のクロスを送りますが、味方には合わず。

スコアは変わらず1-1のまま、試合は終盤に突入。



新潟は一瞬のパスのズレも見逃さない新潟の積極的なプレスが光ります。
そんな新潟の堅い守備の前に、ベレーザはパスはつながるもののスペースを見つけられない時間帯が続きます。

78分 新潟 大石選手が最前列からプレスをかけて山崎選手が奪い、最後は上尾野辺選手が左足を振り抜きますが、GK正面。

83分 ベレーザ 籾木結花→荒川恵理子

87分 ゴール前の混戦から、最後は上尾野辺選手がシュートを打ちますが、GK山下選手ががっちりセーブ。

89分 籾木選手のシュートは枠の上へ。

ここでタイムアップの笛が鳴り、試合は全後半15分間ずつの延長戦に突入。

両チームとも疲れこそ見えたものの、延長に入っても試合の緊張感は失われることなく、両チームのゴール裏の応援も変わらず熱気に満ちていました。
そんな両チームの気迫のこもった守備が光り、ゴールは遠く…。


延長8分 新潟 上尾野辺選手のFKに左山選手がヘディングで合わせますが、山下選手が見事な反応でキャッチ。

延長戦HT 山崎円美→川崎咲耶

延長19分 ベレーザ 荒川恵理子→隅田凛


延長27分 長谷川選手が奪って前のスペースへ。
田中選手が全力で走り込みますが、GK福村選手が飛び出してセーブ。


ここでタイムアップの笛が鳴り、120分を終えても決着がつかず、勝敗の行方はPK戦に委ねられます。


そして、PK戦は…


2-1で新潟が勝利!!!

どちらも勝利に値するゲームだったと思いますが、新潟は最後まで粘り強く集中力を切らさずに戦い抜きましたねcandy☆
敗れたベレーザも、女王らしく、最後までリスクを負った攻撃で楽しませてくれました!


決勝戦は2011年と2013年に続く、INACと新潟の対戦となりました花



澤選手のラストマッチ、そして、何度もドラマを生み出してきた因縁の対決でもあります。


12月27日(日)14:00~

INAC神戸レオネッサ vs アルビレックス新潟レディース@等々力陸上競技場



ぜひ、当日はスタジアムへイエーイ♪