ペッカ・クーシストによるフィンランド音楽入門講座?? | だめ人間の暇つぶしです

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数日前、ついに禁煙1周年を迎えただめ人間です。。。スマホの禁煙アプリがご丁寧に知らせてくれました(笑)。。。はぁ、、、、いまだにたばこを吸う夢ばかり見ます、、、。たばこが恋しい、、。
誕生日まで我慢できたら、ご褒美に一本、、、とか馬鹿な考えで、なんとか保てている今日この頃です。。。

ところで!!フィンランドが誇るヴァイオリニスト、ペッカ・クーシストが数ヶ月前から非常に面白い一連の動画をアップしてくれているので、今日はそのことを、、、。

まず、7月にyoutubeにアップされた動画がこちら↓

ペッカが説明してくれているので、わざわざ書く必要もないかもしれませんが、、、

ロンドンのサウスバンクセンターでこの秋、大々的に北欧祭りが行われているそうなのですが、その中で明日9月28日から10月1日まで北欧音楽のイベント「Nordic Music Days 2017」という一連の音楽イベントが行われるそうです。で、そこにクーシストも参加するそうなのですが、そのイベントの一貫として、フィルハーモニア管の広報との共同でペッカ・クーシストが毎月1コづつ、4回にわたって動画でフィンランドの音楽(民謡等)を紹介してくれるという企画なのです!

Nordic Music Daysというイベントは、どうやら毎年行われているようで、これまでアイスランドやノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークで各年おこなわれていたようですが、今回は初めて北欧諸国を離れてロンドン↓(まあ、イギリスってなんか北欧好きですよね。)


今年はフィンランド建国100周年という記念すべき年でもありますが、9月28日、フィルハーモニア管とサロネンでシベリウスの交響曲等を演奏する演奏会にクーシストも登場するようです。
で、サロネン指揮でアイスランドのダニエル・ビャルナソンという作曲家のヴァイオリン協奏曲を演奏(UKプレミア)する予定とのこと。(詳細はこちら

で、なんとですね、、、、
そのサロネン&フィルハーモニア管との豪華な演奏会の後、フィンランドのイローナ・コルホネンという女性と一緒に、フィンランドのRuno-songを紹介するコンサートを、なんと無料で(?!!!)ひらくそうなのです!!!(詳細はこちら

広報動画はこちら↓

(フィンランド伝統の撥弦楽器、カンテレの起源を歌っています)

で、Runo-Songとは一体何かといいますと、Runoとはフィンランド語で「詩」なわけですが、特にカレワラ韻律で歌われるようなフィンランド語の民族叙事詩を指します。ですからruno-songというと、フィンランドの民族叙事詩の音楽。(うう〜、、、これ、私の愛する世界です、、、(≧▽≦))で、フィンランドの伝統に脈々と受け継がれたRuno-songは、多く即興で歌われる伝統があるようで、ペッカ・クーシストとイローナ・コルホネンの今度のサウスバンクセンターでのイベントでも、そんな創造的なフィンランド音楽の世界を味わってもらうため、8割はその場での即興で音楽を創り上げることになるようです。

で、とにかく、その音楽会との関連で、クーシストがフィンランドの民族音楽を紹介する一連の動画を、月に一回のペースでアップしてくれている訳です。フィンランド音楽を心から愛するペッカ・クーシストならではの企画ですし、イベントの一貫とはいえ、このような企画を無料で(!!)開催するというその太っ腹さも素晴らしい!!!(行きたい、、、。)

で、もう一つ面白いのが、動画の撮影場所がフィンランド南部のペルナヤのクーシスト宅(?)なわけですが、毎回彼は7時〜7時半くらいに同じ場所で録画してアップすると、言っているんですね。夏は太陽が沈まなくなり、真冬は北部では太陽が昇らない日まであるフィンランド、この季節、どんどん外が暗くなって行く様子を感じて欲しいとのことですが、、、

一ヶ月後の8月にアップされた動画はこちら↓

まだ、随分明るいですね。

そしてこれが今月(数日前)アップされた動画です↓

確かに、、、随分暗くなりました(笑)。
来月はきっと真っ暗でしょう。

で、演奏しているフィンランド音楽ですが、最初の7月の動画ではサムエル・リンダ=ニッコラという作曲家のコプシン・ヨナス(Kopsin Jonas)、今月も同じくリンダ=ニッコラのポルスカ(Polska)という音楽です。
このサムエル・リンダ=ニッコラ(Samuel Rinda-Nickola)という人、他で名前を聞いた事はありませんが、ペッカ・クーシストがしばしば取り上げる、彼のお気に入りの作曲家です。例えば、2015年にクリスチャン・ヤルヴィ&MDR響とライプチヒでシベリウスのコンチェルトを演奏した時の音源がyoutubeにあるのですが、その時もこのリンダ=ニッコラの曲をシべリウスのコンチェルトの前に演奏していたことがありました↓

この時は、コンチェルトを演奏する前に、クーシストが短いスピーチをして、シベリウスのヴァイオリン協奏曲を、ロマン派のヴァイオリン協奏曲の名曲群の延長としてだけでなく、北欧そしてフィンランドの伝統音楽のまさに発展形としても聞いてもらいたいという主旨から、シベリウスのヴァイオリン協奏曲の演奏の前に3つのフィンランドの伝統音楽を演奏するとので、リラックスしてひとつのんびり聞いて下さいな、、、と呼びかけて、サムエル・リンダ=ニッコラのコプシン・ヨナスを演奏し始めました。

まあ、面白いので上に貼ったyoutubeの冒頭だけでも聞いて欲しいのですが、フィンランド民謡を演奏していたと思ったら、そのまま続けてシベリウスのヴァイオリン協奏曲に突入します(笑)。で、アンコールではシベリウスのユモレスク4番。
自身ヴァイオリニストだったシベリウスはヴァイオリン協奏曲の他にもヴァイオリン曲がたくさんありますが、ヴァイオリンと管弦楽のレパートリー、ユモレスクや組曲を収録したペッカ・クーシストのONDINEの録音は、オススメです。(クーシスト指揮の白鳥姫組曲も収録)↓
シベリウス:ヴァイオリンと管弦楽のための作品集[Hybrid SACD]/ONDINE

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で、ペッカ・クーシストというヴァイオリニスト、色んな活動もしますし、超個性的で面白い人なわけですが、私が一つどうしても強調しておきたい事は、彼を所謂「イロモノ」ヴァイオリニストとは思って欲しくないという点です。

ペッカ・クーシストはフィンランドの名門音楽一家の出で、お祖父さんのタネリ・クーシストはシベリウス音楽院の学長まで務めたフィンランド音楽界の重要作曲家です。(フィンランドの合唱曲アンソロジーなどでしばしば名前を見かけます。)そして、お父さんのイルッカ・クーシストも作曲家、お兄さんのヤッコ・クーシストはペッカと同じくヴァイオリニストですが、彼は最近は指揮者としてのほうが名前を見かけます。

イルッカ・クーシストの交響曲とヴァイオリンコンチェルティーノ等が収録されたONDINEのディスクでは、ヤッコが指揮、ペッカがヴァイオリンを演奏しています。ジャケットの親子3人姿が、なんか微笑ましいです。(真ん中の奥がペッカ)↓
イルッカ・クーシスト:オーケストラ・ワークス (Ilkka Kuusisto : Orches.../BIS

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まあ、そんなフィンランド音楽界の超エリート環境に育ち、95年にはフィンランド人として初めて、シベリウス国際ヴァイオリンコンクールで優勝を果したという、フィンランドが世界に誇る大スター、超実力派ヴァイオリニストであるわけです。
(フィンランド版のヨーゼフ・スークみたいな感じ??ちょっと違うか、、、(笑))

とはいえ、やっぱり超個性派ヴァイオリニストであることは確かです。彼の演奏を聞きますと、なんというか、ほんとにフィンランド語なんですよ、、、。例えば、シベリウスのコンチェルトなんかも、ロシア系のヴァイオリニストたちの名演が我々聴衆の中で一つのあの曲のイメージになっていると思うのですが、全然違う。クーシストが弾くと、体をこわばらせるような緊張した節回しなんて、一つもないんですよ!!あの曲にですよ!!!全ての音、全てのメロディーが彼の内から湧き上がってくる音楽であるかのような、、、彼の鼻歌のような(笑)、、、そんな演奏なんです。

まあ、何を演奏してもクーシスト節というか、チャイコフスキーを演奏してもフィンランド語で歌っているような調子になるわけですが、、、、。でも、それもわざとらしいエキゾチックな節回しをしたりするわけではないし、また、よくあるテクニックの不安定さを過多な身振りでごまかすような表現では決してなく、常に体から自然に溢れるような流暢さがあります。まあ、もともとはテクニック的にも素晴らしく安定したヴァイオリニストの筈なんですが、最近は、なんかもう、ヴァイオリンヴィルトゥオーゾの正確さなんてものには目もくれないところがあって、、、、(笑)。勝手に音を足したり、大胆にミスったりもするのですが、、、なんか、もはやそんなところで勝負していない感があるのはあります(笑)。

そして、もう一つ!!ペッカ・クーシストのもつ不思議な魅力は、彼の音楽を聞いていると、とにかく楽しくなるということ♪とにかく、音楽の歓びに溢れているんですよね。そんな彼の音楽に対する態度が、演奏中も演奏していない時も、彼の全身から溢れているような感じで、、、とにかく、この人を見ていると楽しいんです!!

ペッカは去年、BBCプロムスデビューを果たしたのですが、そのコンサートがもの凄く魅力的でした。彼の魅力が一目でわかる演奏会で非常に評判も高かったですし、あれでイギリスでの評判を上げたことが、もしかすると今年のサウスバンクセンターでの諸企画にも繋がっているのかもしれません。

BBCスコットランド響&ダウスゴーとチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を演奏したのですが全篇の動画が最近またyoutubeにあがっていましたので貼っておきます。(めっちゃ面白いです!!)↓

始まる前に既に笑いを取ってるし、、、。演奏中も空気が異様に良いんですよね。オケのメンバーにアイコンタクトを送ったり、演奏していない時もオケを聞きながらノリノリになっていたり(笑)。
びっくりするのが、カデンツァでなんども会場が湧いているという、、、あり得ないですよね、、、(笑)。ペッカ本人が演奏しながら楽しくなってしまっているもんで、ニコニコしたり、演奏しながらアイコンタクトをとっちゃったりしてしまうもんで、、、(笑)。そんな彼の空気にお客さんもすっかりやられて、第一楽章が終わった途端、盛大な拍手も湧き起こってしまいます。

超個性的なチャイコフスキーの演奏とその独特の雰囲気はもちろん、さらに好評だったのがアンコールです。上の全篇の動画でもアンコールが入っていますが、アンコールだけの様子を後日BBCがyoutubeにアップしたのがこちらの動画↓

アンコールでカレリアの民謡をヴァイオリンを弾きながら歌ってくれたのですが、まずジョークも交えながら、演奏するフィンランド語の面白い歌詞の民謡を解説して、途中からはコンミスのお姉さんも巻き込み、更にはロイヤル・アルバート・ホールのお客さん皆を巻き込んでしまいます。
これで、どうもすっかりイギリスの聴衆たちはペッカに心を鷲掴みにされてしまったようです(‐^▽^‐)

ペッカ・クーシスト、見た目もなんか可愛らしいですしね(笑)。(とはいえ、この人、もう40歳なんですけどね、、、)
最近やっと、ちょっと太ってきて(?)少し歳を取ってきた気がしますが、以前はずっとほんとに少年みたいな見た目で、、、身長もそれ程大柄じゃないし、、、、なんか、可愛い、、、。
同じくフィンランド出身のサロネンもそうでしたよね。彼も最近やっと歳を取ってきましたけど、いつまでたっても雪国の少年みたいな感じだったじゃないですか。
私はサロネンやクーシストのようなタイプのフィンランド人をフィンランドの妖精系と勝手に命名しています(笑)。

なんか、支離滅裂でちょっと収集がつかなくなってきましたが、、、
せっかくなので、日本語字幕付きの素晴らしいペッカ・クーシスト&フィンランドの冬特集の動画があるので貼っておきます。クーシストやフィンランド音楽はもちろん、フィンランドという国に少しでも興味をお持ちの方、是非とも見てみて下さいまし♪
前編↓

後編↓


まだまだ全然語り足りないし、色々紹介したい事があるのですが、、、また長くなってしまうといけませんので、とりあえず涙を飲んで今日はこの辺で、、、。
とにかく、今年はフィンランド建国100周年のアニバーサリーイヤーでもありますし、ペッカ・クーシストの案内と共に、フィンランド、そしてフィンランド音楽に思いを馳せてみてはいかがでしょう!
それでは、また!!!

〜おまけ〜
フィンランド建国100周年記念ボックス、SUOMI!!!↓
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