3日の夜にテレビで中国の100年の政治についてのドキュメンタリーが放映された。

 

毛沢東の紅軍時代からの秘書であった人の手記から見える中国の政治の闇を詳しく説明していて、誠に興味深く、また恐ろしいノンフィクションであった。

 

毛沢東は、中国の農民の悲惨な生活の向上を願い、土地所有者からの搾取を辞めさせるべく共産主義にのめり込む。それに共鳴した同志達と中共軍を結成し、中国に進出していた日本に宣戦布告し、賛同する同志を増やしていく。(ただし、日本と戦っていたのは国民党軍であり、中共軍は逃げまくりながら同志を集めただけであった。)

そして、日本が破れ国民党が主権を得たのだが、中共軍は膨大な数の貧しい農民が同志となっていて、国民党軍と戦い勝利して中華人民共和国を建国した。

ここまでは、美談である。

 

農民からの絶対的な信用を得た毛沢東は、支配階級であった者達や教師などの粛清を進め膨大な人数を処刑し、また、投獄していく。

そして、自身を崇拝させる為に毛沢東語録を作成し、すべての国民に与え、服従させていく。

 

この過程で、紅軍時代から一緒に戦ってきた幹部から、本来あるべき農民解放とは違うと異論が出されるようになったが、一切耳を貸さず、異論を唱えた幹部を続々処刑していき、一部は投獄する。

今回のドキュメンタリーの手記を書いていた人も投獄され、解放されるまで約20年かかったそうだ。

 

この独裁は毛沢東が死ぬまで続くのだが、毛沢東曰く”私の言う事がすべてであり、逆らう事は出来ない”と公言していたとの事である。

 

毛沢東の後に主席になったのが鄧小平である。彼は経済の向上を目指し、特別経済特区を設け、外国資本を受け入れ、代わりに安い労働力を提供したのだが、これにより目覚ましい開発、発展がもたらされた。だが、賃金格差がものすごく広がった事により、平等を求める人々のデモが増えてきた時に、武力でデモ隊を制圧する。(天安門事件)

その後は経済発展は許すも、意見を言う事は許さず、デモはなくなっていく。

この時点から、国民の興味は蓄財だけとなり、収賄、贈賄、脱税などが横行し、賄賂無しで出来る事はなくなっていく。

 

そこで鄧小平曰く、”私の言う事がすべてであり、逆らう事は出来ない”と宣言している。

 

今の主席は習近平。彼のスローガンは汚職の撲滅。鄧小平時代に溢れかえった汚職を撲滅させる事は人民の平等の為に必要なのだが、それだけではなく中国を世界で一番強い国にすべく強権で支配地域を増やそうとしており、その成就の為に、自身の任期を終世(死ぬまで)と変更した。

 

これらの指導者のやり方は、昔からの中国皇帝の手法で、"トップは一人、誰も逆らえない"という、中国四千年間の独裁体制であり、この体制は変わらないと手記を書いた人は結んでいる。

 

手記を80年近く書き続けていた人は一昨年亡くなったそうだが、理想に燃え、挫折し、壮絶な人生を歩んだ人の冷静な分析力に大いに感動致しました。