世界の巨石文化を見ると、もっとも有名なのがイギリスのストーンサークルで、「ストーン
ヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群」になり、これが紀元前(BC)3000~BC1000年頃の
もの。他にマルタ島にあるBC4000~BC2000年ほどに造られた「マルタの巨石神殿群」などの
ヨーロッパの巨石文化=巨石信仰。またチリのイースター島に見られるモアイ像なども同じ
ように祭祀用に造られたものとして存在します。
このように新石器時代(日本では先土器時代)から世界各地に巨石文化が広がり、日本でも
縄文時代から各地に神社の基礎となった磐座が祀られるようになったと考えられます。
また仏教系でも大きな岩に線画で仏像を書いたり、仏像を彫ったりする(磨崖仏=まがい
ぶつ)のも同じ文化と感じます。
小生は、磐座(いわくら)と磐境(いわざかい)の違いを磐座は自然に元々その場所に
あった岩そのものを祭祀を目的として信仰する、そして磐境は人為的に岩を他の地域から
移動してそれを祀ったものと区別しています。
奈良(大和)盆地は、西に生駒山脈(生駒山・二上山・葛城山・金剛山)、東に春日山脈
(大和高原・室生火山群)に囲まれています。ご存知の大物主神(大国主命)を祀っている
大神神社のご神体である三輪山に狭井神社の南側から登って行けば、大きな黒っぽい石
(角閃斑糲岩)がゴロゴロ転がっているのがわかります。(写真撮影禁止)
このような岩は、コアストーンの風化の途中と考えられます。コアストーンは火山活動で
できた一つの大きな岩が山となり形成され、これに長年雨水がしみ込み、まず大きく割れ
だします。それがさらに雨・風により割れてゴロゴロ石となって行きます。このゴロゴロ石が、
近年の異常気象による大雨での山崩れの一因となっているようです。
日本の磐座や磐境は、神社に限らずお寺でも男性器や女性器を表したものが結構多いように
感じます。やはり、子孫繁栄のために昔から、信仰の対象になったものと考えられます。
では、いくつかの磐座や磐境を紹介したいと思います。
参考BLOG:「=余談= 春日移しは、摂末社でもOKなの?」
※写真上は、笠置寺の虚空蔵磨崖仏 2016/07/29
※写真中は、大神神社拝殿 2013/12/15
※写真下は、大神神社摂社のその名もずばり「磐座神社」 2015/04/26