自由な女、強い女  ラ・ファイエット夫人の『クレーヴの奥方』 | 映画探偵室

自由な女、強い女  ラ・ファイエット夫人の『クレーヴの奥方』

Wikipedia; ラ・ファイエット夫人
 ラ・ファイエット伯爵夫人マリー=マドレーヌ・ピオシュ・ド・ラ・ヴェルニュ(Marie-Madeleine Pioche de La Vergne, comtesse de La Fayette、1634年3月18日(洗礼日) - 1693年5月25日)、いわゆるラファイエット夫人(Madame de La Fayette)は、フランスの女流作家。近代フランス心理小説の祖と言われる。その代表作が『クレーヴの奥方』、右はそのモデルとされた女性の伝記。
 
フランス革命前夜の宮廷の婦人たちがスカートの下に下着を着けていなかったという話は有名ですね(汗。
 前の鹿島茂の『最強の女』でも、この『クレーヴの奥方』をジャン・コクトーが映画化した話が出て来ます。それを後押ししたのが「最強の女」の一人である、つまり、コクトーをも手玉にとったルイーズ・ド・モルヴィランでした。
 
lucinaさん
5つ星のうち5.0 For those who like Cocteau
 A french classic put on screen by Jean Cocteau. In French only.
The costumes and the décor are beautiful, the characters move with grace, I am surprised it is not better known.
ok.ru: La Princesse de Clèves

「自由で自立した女性」がテーマですから、このコクトー作の後も各時代ごとに次々と原作の映画化が試みられました。
☆ La Lettre, 1999 (クレーヴの奥方)
17世紀フランスの古典的恋愛小説を、現代に置き換えて映像化。監督・脚本は『メフィストの誘い』のマノエル・ド・オリヴェイラ。本作で1999年カンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞している。
美しい上流階級の娘カトリーヌ(キアラ・マストロヤンニ)が家柄も人柄も申し分のない歯科医に見初められて結婚するが、とあるパーティでライブ演奏をした人気ロック歌手と一目で惹かれ合ってしまう。カトリーヌはロック歌手を想いながらも彼の誘いには乗らず、夫への貞節を守るが、夫にその想いを打ち明けてしまう。そして夫は悲しみのあまり病死してしまい…。
感情を表に出さない登場人物ばかりを配し、絶妙なタイミングで物語の合間にタイトルを入れ、登場人物の心情を簡潔に説明していく独特なスタイルをとった本作。そのせいか、古典的な貞節の物語を現代に移してはいても、メロドラマ的な悲哀感とともにユーモラスな風情さえ匂ってくる。主人公が熱烈に恋するロック歌手が、エルトン・ジョンかと見紛うハデな衣装にスキンヘッドの中年男という設定も、なかな意味深い。主人公カトリーヌを演じたキアラ・マストロヤンニは、カトリーヌ・ドヌーブとマルチェロ・マストロヤンニの娘というサラブレッド。喪服を着ても感情を抑えても匂いたつ官能をにじませている。(茂木直美)

(英語字幕選択可能)

☆ La Fidélité, 2000 (女写真家ソフィー)
『女写真家ソフィー』(原題:La Fidélité)は、アンジェイ・ズラウスキー監督による2000年のフランス映画。原題のfidélitéは「忠実」「誠実」「貞節」を意味する。『クレーヴの奥方』を現代に翻案したものである。 日本では、第8回フランス映画祭横浜2000にて『フィデリテ』の題で上映されたものの、劇場未公開のままビデオ・DVD発売となった。.

Wikipedia: リー・ミラー
本作は確かに「クレーヴの奥方」を下敷きにしてはいるが、実は鹿島茂が「最強の女」の1人に数えているリー・ミラーを描いているかのようである。彼女はヴォーグのモデルとして出発した後、記者、写真家、音楽家、画家、料理家としても活躍し、シュール・リアリストのマン・レイが「ソラリゼーション技法」を発明した時のモデルでもあった。
ok.ru: La Fidélité (2000)

☆『美しいひと』, 2008
(La Belle Personne) は、クリストフ・オノレ監督による2008年のフランスの青春恋愛映画。ラファイエット夫人による17世紀末の小説『クレーヴの奥方』を、現代(映画公開当時)のフランスの高校を舞台に翻案している
日本では劇場未公開であるが、2009年のフランス映画祭で『美しい人』の題名で上映され[1]、『美しいひと』としてDVDが発売されている。


探偵の格言:いや、何もありません(汗。