悪女か天女か ルクレツィア・ボルジアの肖像を巡って | 映画探偵室

悪女か天女か ルクレツィア・ボルジアの肖像を巡って


謎の肖像画、モデルはチェーザレ・ボルジアの妹と判明 AFP BB News
ー【11月25日 AFP】(写真追加)作者もモデルも分かっていなかったルネサンス期の絵画が、ドッソ・ドッシ(Dosso Dossi)によるルクレチア・ボルジア(Lucrezia Borgia)の肖像画であることが判明した。オーストラリアのビクトリア国立美術館(National Gallery of Victoria)が25日、発表した。
 1965年に同美術館がロンドン(London)で入手した楕円形のこの絵画(探偵註)は、現存する唯一のルクレチアの肖像画である可能性もあるという。
 ルクレチアは、1492年から1503年までアレクサンドル6世(Alexander VI)としてローマ法王に就任したロドリゴ・ボルジア(Rodrigo Borgia)の非嫡出子。ボルジア家は腐敗とスキャンダルで知られる名家だ。
 この絵画が20世紀に公の存在となって以来、多くの専門家がその作者とモデルを突き止めようと努力してきた。長年、ある若者が書いた作品だろうと考えられてきたが、専門家による数年に及ぶ技術的、絵画史的研究の結果、ルネサンス期の画家ドッシの作品だと結論付けられた。
 今回の研究を行った専門家によれば、ルクレチアを描いたブロンズ製のメダル(1502年製)に描かれた顔の特徴とこの絵画に表れている顔の特徴が酷似しているという。
 同美術館ではこれまで、この絵の展示場所に「ある若者の肖像画。作者不明」との説明を付けていたが、26日からは「ドッシが描いたルクレチアの肖像画」との説明を付ける。(c)AFP

実はこの肖像画は「チェーザレ・ボルジアとその周辺」と題するHP(http://cesareborgia.ciao.jp/index.php?%E8%82%96%E5%83%8F%E7%94%BB#o068cbe3)の「ボルジア家の肖像 - ルクレツィア・ボルジア」の中に含まれています。その他の肖像画は以下:
ピントリッキオ。
ヴァティカン、ボルジアの間第5室、壁画の一部。
バルトロメオ・ヴェネト
フランクフルト、シュテーデル美術館。
「婦人像」。
花を手にしていることから古代の花の女神「フローラ」とも言われる。ポーズから「高級娼婦」ではないかという説もある。
が、一般的にルクレツィア・ボルジアの肖像として名高い。

バルトロメオ・ヴェネト。
上左:ロンドン、ナショナル・ギャラリー。
「Ritratto di gentildonna o Presunto ritratto di Lucrezia Borgia」。
婦人像、もしくはルクレツィア・ボルジアの肖像。
上右:バルトロメオ・ヴェネトによる肖像画のコピー。
フランス・ニーム、美術博物館(Musee des Beaux-Arts)。
 作者不明。16世紀末。
ウルビーノ、ドゥカーレ宮殿(Galleria Nazionale delle Marche)
貴婦人の肖像。(Ritratto di gentildonna)
ルクレツィア・ボルジアであるという説がある。

ドッソ・ドッシ 
メルボルン、ヴィクトリア・ナショナル・ギャラリー(National Gallery of Victoria)。
長年、作者不明の絵画であったが、2008年になってドッソ・ドッシによるルクレツィア・ボルジアの肖像画であると結論づけられた。
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti) 1860年~1861年。「Lucrezia Borgia」。
ロンドン、テートギャラリー。
夫アルフォンソ・ダラゴーナに毒を盛った後、手を洗っているルクレツィア。
腕と首元が筋肉質に描かれ、彼女の行った殺人の無慈悲さを表している、そう。
背景の鏡には、アレクサンデル6世が毒の回りを早めるためにアルフォンソを歩かせている様子が描かれている。
ロセッティは、絵の完成後も数年に渡ってルクレツィアの顔に手を入れ続けたらしい。
ジョン・コリア。1893年。
イギリス、イプスウィッチ、イプスウィッチ美術館。
「A Glass of Wine with Caesar Borgia」の一部。
教皇アレクサンデル6世の紋章の描かれた豪奢な部屋。テーブルの向こうに、左からチェーザレ、ルクレツィア、アレクサンデル、と並んでいる。
チェーザレは、毛皮のローブをまとった若い男の持つグラスに、おそらく毒の入ったワインを注ごうとしている。
アレクサンデルはブドウを食べながら、ルクレツィアは酷薄な表情をして、それを見ている。下は全体。

すると、まさか、あのポスターは???

 楕円形(卵形)に縁取られた緑色の肖像画。そう、「ニューシネマ・パラダイス」中で使われたポスターに関連して唯一出所が確定していなかったあの映画。やはり「ルクレツィア・ボルジア」でしたね。
拙ブログの記事「映画『ニューシネマ・パラダイス』中のポスター、その16. 謎のポスターその2」で取り上げました。
 そこでは
ーでは左側は?というと「ほわり」さんは
ー 1940年アメリカ映画「快傑ゾロ(The Mark of Zorro)」かな?
 監督:ルーベン・マムーリアン
 主演:タイロン・パワー、リンダ・ダーネル
として、楕円形と緑に拘って間違って「怪傑ゾロ」の映画に誘導してしまいましたが、恐らく「ルクレツィア・ボルジア」だったのだろうと確信します。ただし、対象となった映画が当時イタリアで上映されていた筈のマルチーヌ・キャロル版であったかどうかは定かではありません。なにせ手を替え品を変え何度も映画化されていますので。しかし、兄妹の接吻シーンがあるとなれば、カタブツ神父が「カット!」と命じたのもむべなるかな、ですね(汗と涙)。
   
 
邦題は「ボルジア家の毒薬」
マルティーヌ・キャロル (出演), クリスチャン=ジャック (監督), ペドロ・アルメンダリス (出演)

フル版は「またしても」Youtubeからは削除されていますので、ok.ruから。
Lucrece Borgia (ボルジア家の毒薬)、英語字幕入り