備忘録 67. 大仏次郎の 『帰郷』 | 映画探偵室

備忘録 67. 大仏次郎の 『帰郷』

このスチールは探偵の宝です 左のスチールは「ふらり道草―幻映画館」さんから拝借しました。佐分利信に男の色気を感じる探偵はヘンタイかもしれない。しかし、この映画のシブさを理解していただける映画ファンがネット上にいらっしゃることは歓喜に堪えないところである。


ふらり道草―幻映画館

歸郷(1950年)- 大庭秀雄
Youtubeへの投稿者Ped Iyaさんに深く感謝です。

2015/11/08 に公開
製作:松竹映画株式会社 - 大船撮影所 公開:昭和25年(1950年)11月25日 監督:大庭秀雄 / 脚本:池田忠雄 / 原作:大仏次郎 / 撮影:生方敏夫

吉永版「帰郷」 「帰郷」はその後吉永小百合と森雅之主演で再映画化されました。こちらはこちらでまた一見の価値があると思います。

トップカスタマーレビュー
5つ星のうち 5.0小百合さんの新たな一面を見る
投稿者 港町奉行 VINE メンバー 投稿日 2013/1/16
Amazonで購入
初DVD化ということで、自分も初見であり楽しみにしていました。
小百合さんは外交官の父に生き別れ、義父と母とに育まれた雑誌記者を演じています。

主たる物語となるのは、死んだはずだった森雅之演じる父親と小百合さんの一時のふれあいであり、そのあいだに交わされる緊張感を孕んだ視線と言葉の交錯です。
全てに高圧的に臨む、昭和の権威者の典型のような芦田伸介の義父と、彼の下にあって支配を受けるだけの哀しい高峰三枝子の母のはざまで、小百合さんは精一杯明るくふるまい、家庭の灯を守り抜こうとします。
それだけに、揺れ動く彼女の父への許されない慕情は、小百合さんの懸命な演技で否応なしに燃え上がる形を成してゆきます。
その陰影を帯びたたたずまいは、演技者である彼女の新しいスタートラインともなってゆきました。

小百合さんの朗らかな演技に魅せられた多くのファンにとって、この側面もまた新鮮であったことでしょう。
時代背景の見える家庭描写も含めて、気づかされることの多い一枚です。