映画「美しき諍い女」物語編(14) - その前日
「彼が?」
「じゃ明日,マリアンヌ,と。会うの?」
「君をモデルに絵を描きたがってるようだ。」
「いったい何の話?」
「君が受けるか聞かれた。」
「承知したの?」
「いいって答えた。」 「ふん!」 「マリアンヌ...」
画家が材料の準備を始めていると,
リズがお茶を運んできた。
「ハーブ・ティーよ。」 「メルシー。」
「明日,彼女と約束したの?」
「いい人たちだわ。彼は凄く才能ある?」
「そう言える。すごく熱心だ。私にやる気を起させてる。
二人といて意欲がわいた。久しぶりの気分だ...
また,やってみる。自画像は飽きた。」
「いいじゃない,名案だわ。」
「彼女を描く。彼女を...」
マリアンヌがシャワーを浴びている間,ニコラは考え込んでいた。
「聞けよ。」
「君に強制しているわけじゃない。」
「あら,そう。うれしいわ。」(皮肉っぽく)
「何の?
ポーズの仕方?きっとヌードよ。絵をみたわ。ヌードだとわかっていたんでしょ?」
「私を売ったのね!」
「足をどけてよ!」
「聞いてくれ,マリアンヌ。彼の描くのは肖像画じゃない。それ以上のものだ。彼を助けなきゃ。」
「傑作のためでも,こたえる必要はないわ。」
「傑作になるさ。なりうるよ。
『美しき諍い女』だ。10年前に断念した絵を君で描く。」
「だから何なのよ。あの男バカみたい。
『画家は真実を求める。真実は残酷だ。絵に血が通わねば...』なんて言っちゃって。(しぐさを真似している)
「....」
すっかり,怒らせちゃったなあ。(明日に続くのだろうか,探偵は心配)
注:この部屋にかかっている絵が,何故かさっきニコラが説明した「明確に仕上げた描線,やまぶき色と鮮烈な赤」の嚆矢に見えるのは探偵の考えすぎであろうか。エンドロールの解説によれば,これもベルナール・デュフォーの絵である。最初の回を参照。
























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